虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
称号獲得実験 前篇
アイスプル 迷宮『永久の楽園』
今までの俺が得ることのできなかった、生や死に関する[称号]。
その情報を得ることで、改めて獲得しようという意欲が湧いてきた。
「──はい、というわけでいろいろと試してみようと思います。参加者の皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
『……おい、なぜ私を連れてきた』
「えー、今回は『冒険の間』にていくつかの実証実験を行います。戦闘に関しては大してございませんし、ポーションをお配りしますので消耗したらそちらを自由にお使いください。いくらでも供給しますよ」
『おい、話を聞け!』
騒ぎ立てる一匹の兎を無視して、俺は伝えるべきことを伝えていく。
他にも執事服を纏う人形、魔族の幽霊などもこの場に居る。
だが時間が経つにつれて、兎──風兎の主張が激しくなり無視できなくなっていく。
……実験を始める前に、物凄い勢いで死にまくっております。
「ふぅ……単純な話、今回俺は[称号]を意図的に獲得したいんだ。劣化するだろうが、それを解決する方法がこの世界にはある」
『…………それを頼りにするなど、なんとも烏滸がましいものだ』
「使える手段は何でも使う。失名神話の皆様は許してくれると思うんだがな」
『くっ……否定はできない』
風兎もまた、失名神話の神々から恩恵を受けた存在。
よく『神・世界樹』に通うがゆえに、繋がりができていた。
「条件を満たすために集まってもらったが、実際のところ前提条件が全部分かっているわけじゃないからな。それを特定するところか始めて、[称号]を集めていくって寸法だ」
『それで、私たち三人なのか?』
「そう、セバヌスとカルルと風兎。全員在り方が違うからな、ただパーティーを組めば条件を満たせるか分からないから、実際に教えられた方法で[称号]を得られるか試してみたい」
無機物であり、『SEBAS』が宿った人形セバヌス。
幽霊の魔族かつ仮でも隷属状態のカルル、そして普通に生きている風兎。
庇ったりするにしても、どういった判定で条件を満たすか分からないからな。
だからこそ、三人を呼んで誰かが条件を満たしてくれれば良い状態にした。
「──さて、それじゃあ始めようか。基本的には俺が庇って、その間に一定距離を取ってくれればいい。何回かそれを繰り返して、何か[称号]が取れているか確認する……準備はいいか?」
『……ハァ、手短に済ませるんだぞ』
「分かってるって」
まあ、それなりに時間は掛かるだろう。
風兎の懸念は元森の住民たち、彼らがどうしているかだろう……あとでモニターを出してやれば、何も言わなくなるだろうな。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
59
-
-
127
-
-
1512
-
-
440
-
-
23252
-
-
124
-
-
22803
-
-
0
-
-
2
コメント