虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
生産世界初訪 その14
俺の存在が外部に漏れ、『生者』を求める各ギルドの長が魔材ギルドの総本部へ。
魔材ギルドの長曰く、彼らはそれぞれが彼と同じく特殊な技術の使い手らしい。
「場所は……」
「さすがにここはな、それ用の場所がきちんとある。それにしても、本当に良いのか?」
「構いませんよ。どのようなお考えかは分かりませんが、おおよその予想は付きます。一つ尋ねますが……彼ら、何かいい物をお持ちですかね?」
「……それもあるだろうな」
いい物、つまりは特典素材。
それも、ということは他にもある……それはまあ、:DIY:スキルがあるからこそなのだろう。
たしかに生産世界はその理によって、他の世界に比べて技術が進んでいる。
──それでも、:DIY:は創造神の権能の一部、元より格の差が存在していた。
事実、:DIY:の知識はあらゆる過去に通じている。
知識だけあってもどうにもならず、それを加工するための道具にも縛りがあった。
加工時に必要な道具は、現在基準の物に限られていたが……それも昔の話。
神代の加工技術を参照に、いろんな道具を製作済みだ。
正直、今の技術よりも遥か昔の方がかなり優れているんだよな。
だがそれらは、何らかの事情によって今に伝承されてはいない。
分かっている限り、方法が非常に困難かつ生産者が限られることが理由だったようだ。
多くの生産者が神代の技術を捨て、今の技術に移り──今に至る。
「それにしても、私は人気者ですね……」
「だな。どうだ、いっそのことこの世界に永住するというのは?」
「……申し訳ありませんが、その案は辞退させてもらいましょうか。冒険世界には、多くの友が居りますので」
「そうか、残念だな。気が変わったらいつでも言ってくれ、もちろん魔材ギルドにな」
やれやれ、しっかりとしているな。
だが、俺がその選択をすることは無い。
アイスプル以上に居心地のいい場所は、無いわけだしな。
◆ □ ◆ □ ◆
会談室、多くの意見交換が行われているという部屋。
魔材ギルドの総長と共に部屋へ入ると、そこにはすでに人々が座っていた。
「いやー、遅れてすまんすまん。彼に作ってもらったアイテムについて、詳細を聞かせてもらっていてな。大変参考になって、つい時間を忘れてしまっていたよ」
『…………』
あからさまな挑発、座る者たちとは別に護衛なのか立っている者たちが眉を顰める。
魔材ギルドの総長もそれを分かっているうえで、言っているんだろうな。
「で、どうしてここに来たんだ? 話をしようじゃないか」
──そして、彼らもまた口を開いた。
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