虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベントその後 その02



 一匹の兎がアイドルに嵌まった。
 彼の顛末についてはともかく、しばらく住処の近くにアイラブコラボ関連のグッズを並べておくとしよう。

 他にも住民がそれぞれ、俺が各コラボで得たアイテムを確認している。
 バトラーコラボのカードや、ロードコラボのミニチュアフィギュアなどだ。

 そして、他のコラボで得たアイテムも、住民たちが目を通している。
 …………残念ながら、魔物たちの大半は食べ物にしか意識を向けていないけども。

「マイマスター、こちらの武器についてご説明をお願いできますでしょうか?」

「銀花か……ああ、モンパズコラボのアイテムだな。正直、俺もよく分からないんだ。今はまだ、模造品に過ぎないからな。本来の性能を使いたいなら、これから何度も強化を重ねる必要がある」

 コラボイベントで得られるアイテムの中でも、装備系はほとんどが弱体化している。
 正確には、イベント中に機能していた補正がすべて無意味になっているのだが。

 だが、コラボイベントで交換可能な素材などを注ぎ込むことで強化が可能な仕様だ。
 なお、素材の一部はイベントでのポイント交換が必須なので:DIY:でも無理だな。

「一先ず、気に入ったデザインが無いかを探してみてくれ。その装備を可能な限り強化してみて、他の装備の使用勝手をある程度把握することにしよう」

「畏まりました……でしたら、こちらなどどうでしょうか?」

「……うん、デザインは銀花に一任しよう」

 モンパズコラボのアイテムは、どれもプロが仕上げているのは大変質が良い。
 ……がしかし、俺が持ってもあんまりしっくりとは来なかった。

 なぜか、それは作務衣姿の男だとファンタジー装備が似合わないから。
 それに対し、メカチックな少女が巨大な武器を握る姿のなんと映えることか。

『ギャウ!』『ガウッ!』

「メカドラ、メカトラ。お前らは……まあ、誰も見ていないしいいと思うぞ

『ギャウ!』『ガウッ!』

 願望機、生物の姿を模した願いを叶えてくれる機械たちが見ていたのは──家電。
 イセ村コラボで得ていたそれらを、ジッと見ていたのだ。

「……『SEBAS』、アレをどう思う?」

《おそらく、自身に無い機構を取り込むことで新たな進化を促そうとしているのでは?》

「家電でパワーアップってか……それ、いろいろと大丈夫なのか?」

《おそらくは。もしかすると、各家電ごとに取り込むごとに、能力を一時的に変化させることができるかもしれません》

 仮に『SEBAS』の主張が正しいのであれば、願い以外にもメカシリーズに可能性が増えるわけだが……とりあえず、既存の家電にどう反応するのか確かめてからだな。


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