虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第一回コラボイベント後篇 その13
豪雨の中で行う釣り。
ゲーム的システム補正が無ければ、魚を釣り上げることができない貧弱な俺だった。
「よし、だいたい釣れた。インテリアとして飾るのは…………うん、無しだな。寄贈一択にしよう」
わざわざ豪雨の中で釣った魚だが、サイズ的に問題のあるモノも多い。
……一部の個体は、魚と称していいのか分からないファンタジー個体だしな。
そして何より、生物の配置はイセ村のハウジング的にあまり高評価にはならない。
……何もしないと発生する、害悪極まりない『G』もカウントされるぐらいだし。
「チッ、嫌なことを思い浮かべたな。とにかく、コンテストに向けてそろそろ仕上げだ。最後まで頑張るぞ」
《承知いたしました。ところで旦那様、最終イベントはどのゲームに参加しますか?》
「イセ村はハウジングやその他の大会、バトラーは上位ランカーによるトーナメント。そしてロードは速度と評価によるランキング制で、アイラブとモンパズは全体で行う課題への挑戦……だったっけ?」
イセ村以外、略称を紹介していなかったのだが……まあ、こういう感じだ。
現在、取り組んでいるのはイセ村のみ、他のイベントに特別準備はしていない。
「バトラーは……うん、無理。ガチ勢には、チートカード有りでも五分五分かそれ以下の勝率だったし。ロードも……この体じゃ、さして意味も無いだろう」
《では、残された二つに?》
「そうするか。景品はあくまで、名誉と大量のポイントだけ、勝者のみの限定アイテムは無いって明言されているから、そこまで固執する必要は無いだろう」
コラボイベントにおいて、そういう特別待遇が成されると……荒れるからなぁ。
かつてそれをやらかしたネトゲが、かなり面倒なことになったことを思い出す。
幸いにもルリが居たため、大規模な騒動は起きなかったけども。
もし彼女が騒ぎの根幹に居たなら、多くの企業が崩壊していたかもしれない。
「とりあえず、情報の確認だ……アイラブもモンパズも、行うのは指定されたモノに挑むこと。アイラブなら楽曲、モンパズなら最後に追加で出されるモンスター。それをクリアした際の評価の合計で合否が決まる」
《一回クリアするだけで固定のポイントを獲得、また貢献度に応じて更なるポイントが加算されます。パーティーではなく、レイドでの参加も可能です》
「逆に大人数の方が盛り上がれるか? 一度は、野良パとして参加してみるのもいいかもしれないな」
《畏まりました。では、[掲示板]で行われている募集を──》
とまあ、これからのことが決まってしまえばどんどん時間は過ぎていく。
──そして、五つのゲームタイトルが同時に最終イベントを開始した。
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