虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第一回コラボイベント後篇 その08
「……『星鑓[ロンゴミニアト]』を装備、そのまま『騎士王』でアタック」
「ち、チートだろうが!!」
「……本当に、すみません」
現在、『カードバトラー』で勝利を重ねている俺。
だが、本来予定していた勝率六割のデッキは使わずに『騎士王』デッキを使っていた。
理由はなぜか、それは勝利すればするほど相手もまた強いカードを出していたから。
勝利数に応じたランク戦のようなもので、自動的にマッチングが行われるシステムだ。
当然、勝利数の多い者ほど、強力なデッキが構築されているわけで……。
全対戦者を想定しての六割では、だんだんと追い付かなくなっていた。
なお、負けず嫌いが働き、『SEBAS』に助力してもらっていたので無敗ではある。
そして、途中から『騎士王』と【魔王】を主力にしたデッキを交互に使っていた。
「しかしまあ、なかなかにリアルなステージだよな。通常版の時もそうだったけど、こっちはこっちで知っているモノだからこそのリアル感があるというか……」
デュエル系、バトル系のカードゲームのアニメなどを想像してほしい。
基本、強力なカードほど巨大化するあれだが、EHO版はまったく違う。
カードになった存在の本来のレベルが、反映されているので大きさなど関係ない。
巨大なカードを召喚してもなお、小柄な人に一撃で捻じ伏せられる……なんてことも。
この『カードバトラー』はライフポイント制で、自身のカードの攻撃力と相手のカードの防御力の数値などでもダメージが決まる。
……そんなとき、攻撃力∞などというチートカードが出てきたら、もう絶望しかないだろう──優れたバトラーは、対策となる魔法カードなども持っているんだけどな。
「……ふぅ、あのタイミングで『騎士王』がドローできて助かった。次のターンでおそらく負けていただろうからな」
《私の演算でも、そのような結果が。ですがそれを覆し、勝利されたのはさすがです》
「これもルリの祝福のお陰かもな……いつも助かってます、ありがとうございます」
命運の女神として宗教の開祖になっているルリ、その神としての力は判定操作能力。
九割以上の確率で、大抵のことは上手くいくというチートな加護。
ただし、相対する者同士が加護を持っていた場合はその限りではない。
……が、祝福を持つ者は限られているのでかなり優位に勝利できていた。
「俺は自力で防衛できないからな。こうしないと、負けちゃうし」
この『カードバトラー』、装備カードを自分が装備して場に出ることも可能だ。
プレイヤーに装備できる数が多かったり、
プレイヤー限定の装備などもある。
EHO版では、これに自身のステータスも一部反映されるのだが……うん、俺の場合は虚弱だからな。
ライフは反映されていないが、攻撃力や防御力などが極めて低い。
なので、すべてカード頼り……その点、強い人たちは自分も出てくるんだよなぁ。
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