虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベント前篇 その19



 運転体験ゲーム『ザ・ロード』。
 コラボステージでEHOに関する乗り物に挑戦したのだが、虚弱な体ではまったく耐えられなかった。

 それでも、景品がイセ村で飾るアイテムとして最適なこともあり、めげずに何度でも挑戦した……もちろん、一度目以降は結界の強度を最大まで高めているけども。

「そうして、各乗り物のフィギュアとプラモデルを手に入れることができました」

《各乗り物ごと、条件を満たすことで実物サイズのサンプルが交換可能になるとのことですが……》

「ああそれ、出るだけでポイントが尋常じゃなく高いってオチだろうから無視で。むしろこのフィギュア、これを基に解析した方がいいと思うぞ」

 本物同様に動く、とはアイテムの説明テキストに書いてあった。
 仕組みは違うだろうが、動かすことができる以上動力を確保してあるのだろう。

 ビックにするライトは無くとも、一度解析した物を大きくし直すことはできる。
 運営製のアイテムなので時間は掛かるだろうが、それでもやってみる価値はあるな。

「まっ、それはともかくとしてだ──最後のゲームを始めるとしようか」

《『カードバトラー』、複数のカードゲームに対応したゲームアプリですね》

「VRも始まって、カード系の会社も変化を要されたんだよ。結果的に、VR系に移るか複数を一つに纏めるかを選んだわけだ」

 古来より、カードゲームはアニメ化などがされると迫力のバトルが行われていた。
 それを現代では、VR技術によって再現可能になっている。

 だからこそ、アプリでカードゲームというのはこれまで通りではいられなくなった。
 その結果、『カードバトラー』ではさまざまなカードを一つのルールに纏めている。

「実際にやってみれば分かるよ。たぶん、普通の方は市販のヤツでやるんだろう」

《これまでの法則からして、EHO版の場合はこの世界の存在がカード化していることになりますね》

「……『騎士王』とか居たら、それこそ召喚さえしたら無双確定なんだろうなー」

 そんなことを話し合いながら、最後のコラボステージを選択。
 ゲームタイトルに吸い込まれた俺は、リアルな世界を体験することになった。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 今回は通常版をプレイしたが、死ぬことなくバトルを行うことができる。
 ……が、勝てるかどうかは別、勝ったり負けたりを繰り返しながらポイントを稼ぐ。

 最初は構築済みのデッキをいくつか渡されて、ポイントやトレードなどでカードを増やしてオリジナル感を出していくようだ。

 これもこれで、イベント最終日まで楽しんでいられるな。
 ……本当、どうして五つも注ぎ込んだのか不思議でいっぱいだ。


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