虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベント前篇 その17



 イセ村コラボ内のイベント、ハウジングのコンテストに参加することを決めた。
 並べる家具に制限はあるのだが、捕獲した生物を並べるだけでもいいらしい。

 まあ、それはそれで並べ過ぎると減点になるようだけども。
 家具との量のバランスを考え、かつレア度などを考える必要があるわけだな。

「──ふぅ、こんなところだな」

 一日でできることをやってみた。
 コラボイベントの期間中であれば、望まない限り何度でも同じ村に入ることができるらしいので段階を踏むことに。

 アイテムを集め、生産魔法“クリエイト”で家具として作り直す。
 それを売ったり交換したり、この村の住民とのやり取りを何度も行った。

 結果として、金で得られるアイテムはほぼすべて、そして非売品の物も物々交換でそれなりに……後日、我が家に大量のアイテムが届くことになるだろう。

 もし吉もローン云々で得られなかったお金がたっぷり手に入ったので、満足げな笑みを浮かべていたよ。

「家具の配置については、『SEBAS』に任せるよ。頭のいい休人は、これまでの作品でもやっていたコンテストを参考にするだろうから、オリジナル感を出してくれ」

《畏まりました》

「……ただ、全部『SEBAS』任せにするのはアウトな気がするしな。うん、一部屋は自分なりにやってみるとするよ」

 コンテストは一部屋ずつの評価だ。
 それは増築をした者とそうではない者の条件を、平等にするためだろう。

 たしかに部屋の数が多い方が、試す数は増やせる……それでも、その分だけ一つずつに掛けることができなくなる。

 そんなルールなので、『SEBAS』にはコンテスト用の部屋を任せておいた。
 だが一つだけ、自分の趣味丸出しの部屋があってもいいのではないか?

「そう考えると、いろいろとアイデアが浮かび上がってくるな……家電は全部最新型で揃えて、食べ物とかも並べておこう。あとは音楽も…………そうだ、なぜかこれがこっちでも使えたんだよな」

 それは、『アイドル・ラブ・ユー』コラボで得た新曲が記録された結晶。
 取り出して触れると、そこから音楽が流れ出した。

 イセ村にも、音楽を流すことができるアイテムは存在する。
 どうやらそれと同じ仕組みを、反映させているのだろう。

「なら、『モンスター&パズル』とのコラボアイテムも……あっ、イケた。なるほど、つまりこれは全部置けるってことだな」

 まだ進めていなかった、残り二つのコラボイベント。
 そちらで得られるアイテムも、イセ村に持ち込むことができた。

 コンテストとしての評価は知らないが、俺個人として普通にやってみたくなる。
 ……湧き立つ意欲を胸に、俺は一度イセ村コラボの空間から退場するのだった。


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