虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベント前篇 その16



 イセ村定番のキャラに会い、ついに住居を確保する。
 また、本来なら困難な言語解析も、先んじて『SEBAS』がやってくれていた。

 本来、言語に関するスキルを所有していれば、ゲームと同じように翻訳された文面が出てくるらしい。

 なのでコラボモードをプレイしたい場合、スキルを持つことは必須ともいえよう。
 ……役場の方は使える魔法が分かったようで、だからこそ俺に驚いていた。

 使える魔法は生産系と情報系のみ。
 言語に関する魔法はゲーム中では登場しておらず、役場の人によると専用の魔道具を来訪者には渡していたらしい。

 まあ、装飾具の枠をごっそり使うなど、デメリットはあるのだけれど。
 いちおう、そこまで派手な戦闘は無いはずなので、問題は無い……と思う。

「この翻訳アイテム、この世界の言語以外にも対応していたなら、かなり便利だったかもしれないなぁ」

《修正が完了しました。翻訳アイテムと同等レベルの言語理解が、可能となりました》

「おっ、ありがとう……解析で向上したものはあるか?」

《すべて運営製の品々と同じ仕組みのため、複製などはできないようです。しかし、判明したことが一つ。翻訳結果は[ログ]に映し出される仕組みだからか、[ログ]へ干渉するコードを確認できました》

 大きな一歩だろうか。
 いちおう課金アイテムは、無償で得られる手段でそれなりに集めていた。

 だがそれでも、[メニュー]系のシステムに手を加えられるものはそこまで無い。
 ほとんどがバフや経験値促進など、戦闘や成長に関するものばかりだし。

 前に使った撮影用の課金アイテムは、そういった意味ではかなり便利だった。
 なお、そちらを解析した結果、ドローンの映像を直接持ち出せるようになったぞ。

「イベント中に完成したハウジングを、コンテスト形式で発表する……なんてこともやると言ってたな。まあ、せっかく家も最大の状態にできたし、参加してみるか」

 役場にて宣伝が行われていた、そんなイセ村コラボ内のイベント。
 選ばれた作品は家の情報を複製され、観覧できるようになるんだとか。

「問題は家具か……オリジナルは禁止、あくまでクリエイト魔法で作れる物か、もし吉の店で売っている物、それか……住民との交渉で得た物に限るってルールだな」

 決して、生産職ならば無双できる……というわけではない。
 戦闘職ならば貴重なスタミナが多めで、幅広く活動可能だ。

 その活動で得られる生物を展示するなどでも、評価をしてもらえるらしい。
 なので油断はできないが……部屋の数が多い分、俺は有利だからな。


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