虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第一回コラボイベント前篇 その07
十周の周回で『モンスター&パズル』コラボは切り上げ、次の場所へ。
再び戻ってきた初期地点で、どこのコラボステージに入るかを考えていた。
「うーん、次は……これかな?」
《『アイドル・ラブ・ユー』、リズムゲームですね》
「アニメの方は知っているんだが、これはあくまで概要しか知らないんだよな……まあ、用意された曲に合わせて、画面をタップするのがゲームの方の仕様だ」
よくCMがやっていたので、大雑把に何をするのかだけは分かる。
だが、それはあくまでもゲーム本来の仕様であり、EHO版のコラボ仕様ではない。
「けど、報酬だけは分かったな……うん、ガチ勢が凄い」
すでに周回を終わらせているであろう休人たちの中に、一際目立つ集団が。
彼らの身に纏う──女性キャラがプリントされたハッピ、確実にコラボアイテムだ。
他にもペンライトやハチマキなど、多種多様なアイテムを取り揃えている。
……そうして客からお金を巻き上げているのだろう、と複雑な気持ちになってしまう。
「ま、まあ、彼らは自分たちの意思でそれを選んでいるわけだし……うん、何も言わないのが正解か」
《旦那様は──》
「皆まで言うな。ちなみに俺は、あくまで箱推し……グループとして応援する派だ」
一人ひとりを応援するのもいいかもしれないが、彼女たちは集団として自分たちを売っているのだからそれこそが正解だ(自論)。
◆ □ ◆ □ ◆
タイトル画面に触れると、再び俺はゲームの中へと取り込まれた。
舞台は現代風、野外に設置されたステージの上で、少女たちが並んでいる。
『みんなー、来てくれてありがとう!』
『──────ッ!!』
「……声デカ」
NPC……というか、もしかしたら現実で本当にあった光景の再現なのかもしれない。
ホログラム的に透き通ったファンたちの歓声が、俺にダメージを与えて殺した。
アイドルたちの言葉が続く中、[ヘルプ]にてやるべきことを確認。
……どうやらこのコラボでは、襲い掛かる魔物からアイドルを守ればいいらしい。
「守り切れれば普通にクリア、途中でどこかに現れるアイテムを回収することでより高報酬になると……ちょっと面白いな」
そのアイテムというのが、アイドルたちのライブ演出を追加する物らしく。
より質の良いライブを見たいなら、防衛しつつアイテムも探さねばならないようだ。
「生産職は作る、または修繕をすれば問題無いと。なるほど、支援職ならファンたちを味方につけて戦わせるのか」
今はアイドルにご執心な彼らも、彼女らのピンチには勇気を出して戦うらしい。
そんな彼らのサポートをして、アイドルのライブを成功させる方法もあるとのこと。
『──それじゃあ聞いてください、[アイするハート]♪』
ハイテンポな曲が流れ、アイドルたちが歌い始める。
すると、どこからともなく魔物たちが現れ始めた。
そこまで強くないのだが、おそらく時間経過で強くなっていくのだろう。
気を引き締め、俺はドローンを周囲に展開していくのだった。
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