虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

第一回コラボイベント前篇 その06



 一先ず、『モンスター&パズル』コラボのステージをすべてクリアした。
 貰えるアイテムは卵、開ければ中からコラボアイテムが出てくる仕様だ。

「──ふぅ、十周目終了っと」

 二周目以降、エッくんが出てくるかどうかが選べるようになっていた。
 サポートが居ないと苦労する代わりに、作業効率がはるかに向上する。

 開始時に結界が張られ、エッくんが戦うよりも短い制限時間でジェムを集めての攻撃。
 実力者ならそれで充分なので、演出を最小限に省ける状態で周回を選んでいる。

「:DIY:があれば、俺も似たようなことができるからな──よし、完成っと」

 能力値が無制限になっているため、防御せずとも攻撃は効かない。
 ついでに移動速度も高まっているので、光の速さでジェムを集めることもできる。

 加工を行いつつジェムを集め、強力な武器でモンスターを倒していく。
 そしてそれが今、ようやく十回終わったわけである。

「ん? いつもと卵の色が違うな……」

 演出が省かれた関係で、[インベントリ]に直接送付された卵。
 だが今までと別扱いで枠を使う、特別な代物が十周目で出現した。

「なるほど、つまりこれは一定回数やれば手に入るご褒美ってことか……」

《旦那様、そろそろお時間が……》

「おっと、さすがに十周はアレだったか。とりあえずこれだけ周っておけば、アイテムの方は期待できるだろう」

 これまでは背後に出現する扉を選んでいたが、今回は最初から俺を待っている眼前の扉へと向かう。

 潜り抜けた先は、懐かしく思えるソシャゲ五タイトルが並ぶ初期エリア。
 ただし、『モンスター&パズル』の画面だけ、縁が虹色になっていた。

《クリア回数が縁に影響しているようです。他にも金、銀、銅色などになっていると話す方が居りました》

「色の変化は人それぞれか……総数だった場合は、それはそれでイベントに変化が生じていただろうな」

 ソシャゲの定番としてよく挙げられる、全員で行う規定回数への挑戦。
 クリア回数だのアイテム回収数、ボスへのダメージなどいろいろあるからな。

 だが、そういった要素は現状、まだ発見されていない。
 あるいは、『モンスター&パズル』とのコラボでは行われていないのだろう。

 なんせ、まだゲームは四タイトルもある。
 その中には、先に挙げたやり方が似合うものもあった。

「まあ、それならそれでファンやらガチ勢がやってくれるとは思うけど……情熱がまったく違うからな」

 俺? まあ、できる限りは頑張るけど。
 ランキング制じゃないのだから、次の日に差し支えない程度にしておくさ。


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