虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
妖刀探し 前篇
アイスプル
妖刀絡みの事件はひとまず幕を閉じた。
迷宮核だった妖刀とそれを求めた九拿、そして『陰陽師』の暗躍など……正直、考えるだけで面倒なので思考は放棄している。
「それよりも……『SEBAS』、アレからどうなっている?」
《すでに迷宮の情報は反映されております。アイスプル内に限り、保存されていた妖刀の情報を再現可能です》
「よし! 今回の目的も、無事達成できたわけだな!」
元は【刀王】たちに依頼されての調査だったが、迷宮ということで企んでいたこと。
それは迷宮核から情報を拝借し、ここでも同じことができるようにするというもの。
そして、苦難困難を乗り越えてどうにか達成した情報の拝借。
権限を行使して生み出した妖刀は、本物と寸分違わぬオーラを放っていた。
「まあ、『(再)』の字は付くみたいだが。別に困るわけじゃないし、兵の強化にでも使わせてもらおう」
《以降、迷宮内の人型魔物たちが一部装備することにします。なお、データの検証も兼ねております》
「検証? まあ、住民に害の無いことなら好きにやってくれ。ついでに、俺が使えるような妖刀が無いかも探してくれると助かる」
《畏まりました》
古今東西の妖刀が揃っているならば、一つぐらいあったかもな。
だが残念なことに、【刀王】が持っていたかなり凄い妖刀は生み出せなかった。
格の問題なのか、それとも情報不足なのかは分からない。
俺との立ち合いでも使っていないので、その方面から再現するのも不可能である。
だが、その代わり一番最初に出会った際などに使っていた[首狩]という妖刀は再現ができた……どうやら俺の記憶もまた、情報を得るために使われているようだ。
「妖刀以外の再現はできないんだよな?」
《はい。あくまでも、妖刀自体が核であること、また妖刀の使用にのみ迷宮を特化させることで成立しておりましたので》
「内部の魔物が弱い代わりに、入場者にレベル制限を掛けていた『幼子の揺籠』と同じようなものか……方向性は全然違うけど」
迷宮核も迷宮核で、それなりに考えて迷宮の構築を行っているわけだ。
……それが生存のためなのか、また何かを求めてなのかは核によって違うけども。
「【妖刀鍛冶師】は生産職だから最初から就けたが、【妖刀士】は就けないんだよな。そのためにも、まずは自分に合った妖刀を見つけないと」
そう、今回の計画はここへ繋がる。
なんだかんだ続いている、新たな職業に就くための条件探し……というか満たし。
妖刀への適性、それもまた就くために必要な条件である。
自前の物は:DIY:やら【生産勇者】の影響か、対象になっていなかったのだ。
なのでそうではない妖刀の中で、自分に合う妖刀を探そうとしていた。
……はてさて、それが本当に存在するのだろうか。
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