虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
職業相談 その01
パシフィス世界の理を拝借できるようになり、いろいろとやってみることにした。
とりあえずは、就職活動……ジョブを得られないか挑戦してみることに。
「基本的にはまだ条件を満たせていなかった特殊な下級、中級職。そして、上級職に就けないか試していかないとな」
生産系の職業に関しては、:DIY:があらゆる条件を満たしたので解放済みだ。
……このあらゆる、という点には本来生産系の行いでは満たせないモノも含んでいる。
見習い職はかつて得た、『運転の天華』によりすべて解放済み。
そこから派生した基本的な下級職もそのほとんどを解放し、中級にも手が及んでいる。
がそれでも、まだまだ就く条件を満たせていないモノは多い。
下級職にも基本職、派生職、条件職と難易度によって就き易さが異なる違いがある。
前のものほど広く浅く、後のものほど狭く深い需要に応えた職業であることが多い。
分かりやすくたとえると──後者はいわゆる、『ネタジョブ』というヤツだろう。
「そういう意味じゃ、【試験職】もネタ的な職業ってことになるんだろうな」
《あらゆるスキルや技への適性を持たせる代わりに、補正値が0のままいっさい成長しない。旦那様の仰る通り、さまざまなことへの適性を有する休人には無用の産物でしょう》
「俺は例外として、これにわざわざ就くような人っているのか? 貴重な職業枠を食い潰してまで」
《あるいは、『プログレス』とのシナジーを生むかもしれませんね》
まあ、『グランドマロット』と魔法適性そのものとのシナジーは恐ろしいからな。
アレは自分の発動可能な魔法に連鎖し、不可能な魔法を組み込むことができる能力だ。
適性があっても正規のスキルは存在しないため、魔法そのものの使用はできない。
だが適正そのものは存在するので、発動さえすればシステム通りの機能をしてくれる。
要するにだ、俺が使うような低コスト低性能の魔法さえ使えれば、自身の知り得るあらゆる魔法を発動可能になるわけだな。
「……そういえば、そういう魔法に関する条件がある職業ってあるのか?」
《有名なものであれば、やはり【賢者】となりますね。保持する魔法スキル数、INT値の高さなどが条件となります》
「まあ、賢いヤツが就けるってイメージが高いよな」
《旦那様の場合、:DIY:を起動中であれば能力値に関する条件はそのほとんどを達成可能です》
ほとんど、というのは逆に一定以下の能力値でなければ就けない者もあるからだ。
……そういう意味だと、俺にとってその条件は無いに等しいんだよな。
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