虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
対家族製作 その19
パシフィス世界
ヒトおじさんと話を付け、とりあえずバシビウスを駆除し終えたことは説明した。
問題が解決をすれば帰れるとのことだが、帰っていない時点で判定はまだなのだろう。
あるいはただバシビウスを排除するだけでは、問題解決とは言わないわけだ。
だからこそ、その解決のために俺はこちら側へ戻ってきた。
「ヒトおじさんに書いてもらったメモ通り、まずは再生を行っていくぞ。『SEBAS』も頼む」
《畏まりました》
再び世界中を巡っていくドローン。
前回が調査用だったのに対し、今回はまた別の用途のために造り出した専用機を複数台飛ばしている。
「機械を転送するためのドローン、植物を植えるためのドローン、空気を調整するためのドローン……思えば、結構な数を作っている気がする」
アイスプルの開拓に使っていたので、かなりの種類を用意していた。
特に転送用のドローンは、機械だけでなくさまざまな物を運べるようにしてある。
気象の操作装置だったり、地脈を回復させる装置だったりと盛りだくさんだ。
それらを『SEBAS』が上手く操作し、世界に活力をもたらしていく。
「本当は星核まで行って直接なんとかしたいところだが……さすがに、そこまでするのは星亀との交渉とかも必要だしな」
いずれはやっておきたいが、今すべきはそれではない……というか、箱庭の時ですらヘノプスという守護獣と戦うことになったのだから、今回もそうなってしまうだろう。
星獣、しかも世界一つを丸ごと支えるような相手と闘うのは困難を極める。
……無限に死にはしないだろうが、相当な回数のトライが必要になるからな。
「──とまあ、そうこう言っているうちにだいぶ予定図通りになってきた」
ヒトおじさんから貰った、元のパシフィス世界を限りなく再現した地図。
その図面通りに植樹などをし、限りなく近づけることに成功した。
「あとは建物だが……うーん、家具まで再現するのは難しいし。ある程度、妥協してもらうしかないか」
ある程度バラバラに、冠する概念で異なる場所に住んでいた住民たち。
なのですべてが同じ方式の建築方法ではなく、個体によっては家が無い者も居た。
だが凄い場所だと氷の城やら花の城、挙句にお菓子の国などやりたい放題である。
…………それら全部を再現可能だと、創造神の御業である:DIY:は言っているが。
「問題になるのは時間だけ、か。まあ、頑張ればその分だけこっちの人々に恩を売れるということだし──重要なのはこちらの技術を知ること、ある意味ちょうどいいか!」
作業をしている中で、自ずとそれらを知ることができるはずだ。
なぜなら:DIY:は、認識さえすればすべての生産技術を把握可能だからだ。
そして今、実際にこちらの理に沿った技術がダウンロードされていた。
……やってやろうじゃないか、この世界のすべてを再興させてやる!
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