虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

対家族製作 その01



 家族のための生産、その最後にルリへと宝石を作って贈った。
 なお、『送る』ではなく『贈る』……ラッピングもしてあるからな。

 そんなこんなで、少しでも家族がEHOを楽しめるようにしているわけだが。
 さて、本題……ということでもないので、おまけ程度にやっておこう。

「さて、対家族用のアイテムを作るか」

 単に家族が強くなるだけでは、俺が追い付かなくなってしまうではないか。
 ということで、今回のトーナメントで解析された戦闘記録を基に対策を講じることに。

 正直、サポートするアイテムを送るよりも難易度が高いのだが。
 それでも『SEBAS』の力を借りて、どうにか考えてみることに。

「ショウはまず優れた剣技が問題だ。それに加えて、[シャロウ]の剣複製能力が厄介だよな。けどアイテムを封じても、ショウの剣技そのものはどうにもできない……さて、どうしたものか」

《旦那様、旦那様が想定しているのは万全の状態でしょうか?》

「ん? ああ、その妨害ってやり方も無くはないか……ただそうだな、いちおう父親なら全力で迎え撃つってシチュエーションを想定しておきたいかな」

《畏まりました。それでしたら──》

 網膜に映像が投影される。
 そこにはショウの戦闘シーンが映し出されており、その中から『SEBAS』が必要な情報があるシーンを切り抜いていく。

《ご覧の通り、坊ちゃんは短期決戦に特化しております》

「たしかに、魔力と精気力の減りがとんでもなく早いな……まあ、[シャロウ]で増やした武器の分まで武技を織り交ぜているわけだし、どっちも大量に消耗するのか」

 それだけでなく、身体強化なども行っているので減りはさらに加速する。
 つまり、全力ならば持久戦に持ち込めば勝てるわけだ。

「けど、それを言うと“オーバーブレイブ”が発動した時点で決着がついたも同然だからな。すまんが、前提を変更してくれ。省エネで[シャロウ]は一、二本ぐらい、そして当然“オーバーブレイブ”は制限無しだ」

《畏まりました──解析完了です》

 相変わらず凄まじい速度で情報の解析してくれた『SEBAS』が、シミュレーションの結果を提示してくれる。

「うん、全然弱点が無いな……剣技そのもので上回るって手段は俺には取れないし、こうなると、別ジャンルで特化した方がいいのかもしれないな」

《となりますと……やはり、魔法や魔術などでしょうか》

「それだけじゃないが、まあそんな感じになるな。レムリアの技術がマイの助けになったように、世界を巡って別の力を見つけるって方法を考慮しておこうか」

 ちょうどルリ用に作った『星隕石』の加工品がたくさんあるし、別世界の理を大量に持ち込むのもありかもしれない……ということで、後回しにしましょうか。


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