虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第二回家族イベント後篇 その10
ショウは“オーバーブレイブ”によって、最期の勝負を仕掛ける。
同時に、これまでは檻として用いてきた数千の剣を操作──ルリへと向けた。
だからなのだろう、『剣皇』か【剣星】の能力で更なる補正を得ている。
おそらく、能力値だけならば“神祈息吹”で強化したルリよりも上になったはず。
≪ショウ選手の猛攻撃が、障壁をことごとく破壊していく! 呪いの力が防御を突破し、もう片方の手で握り締めた星剣がさらに奥へと──ルリ選手の下へ届く!≫
《アズル選手、短剣に神威を籠めることで小型の障壁を展開していきます》
≪……あの短剣、そんな機能を組み込んだ覚えはないんですけどね。あくまで力の制御だけのはずなので、それを上手く使って障壁を張っているのでしょうか?≫
障壁の力場を集中させ、圧縮することで防御力を強化しているようだ。
それによって、『咎の血鬼剣』の防御無効化を強引に抑え込んでいるらしい。
同時に、短杖を媒介として無数の楯を展開することで、全方位から向けられた剣の雨すべてを弾いていた。
技術などは無く、そこに置いておこうという勘だけで配置されている。
だがそのすべてがピンポイントであり、剣の射出はことごとくを封じられていた。
≪おっと。ここでショウ選手、すべての剣を一ヶ所に集めての強行突破だ! ルリ選手も同時に、楯を一つの場所に多重構築することで対抗します──ぶつかり合うぞ!≫
《アズル選手、少し神気の量を多めに籠めましたね……その結果として、楯を一枚残しての防御成功となります》
≪ショウ選手、今の操作でかなりの力を消耗したのでしょう。かなり辛そうです≫
シャロウの能力も、決してノーコストで仕えるわけじゃない。
呪いは組み合わせで抑え込めても、武器展開やら操作にはリスクが伴うのだろう。
結果として、攻撃を続けて消耗したのは体力や魔力だけじゃない、そのいっさいを封殺されていることで、気力も失われている。
≪ここでルリ選手、ショウ選手に何かを告げた後──天に膨大な力の波動が!?≫
《神聖魔法“霊魂消滅”、喰らった相手はほぼ確実に死ぬという強力な魔法をさらに強化して展開しています》
≪ショウ選手はそれに対し、また異なる剣を使用し……剣が、一つに集まっていく!?≫
《[シャロウ]で生み出した剣を、一つに収束させているのでしょう。展開数のカウントはそのままに、一本に力を集約させることができます》
そうして剣を空に掲げると、膨大な光が剣先から伸びていく。
そして、剣の光と天の光がぶつかり合った結果──勝者が決まった。
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