虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
第二回家族イベント前篇 その08
第一試合の勝者はショウ。
そして、そのまま第二試合へ。
前回同様に、転送陣から二人の出場者が出てくる演出が行われた。
≪えー、始まりました第二試合。赤コーナーの[ラヴィンド]選手が風を生み出せば、青コーナー[マガツミカヅチ]選手が雷を生み出しています。これまでと違い、どちらも魔物……そのため制限も解除されています≫
片や風兎に憧れた兎型の魔物。
片や雷の妖具が魔物と化した存在──なお本体は雷に包まれ、兎の姿をしている。
……風兎への憧れが、みんな凄いのだ。
そして、そのどちらもが災凶種。
この世界の外に出てしまえば、歩く厄災として多勢を以って排除されてしまうほどの力の持ち主たち。
そんな二人の力によって、舞台は荒れに荒れ狂う。
雷が舞台を破壊し、風がそれらを吹き飛ばしていく……お陰でタイルは全部剥がれた。
まあ、全力全開でやられると、さすがに時間経過で被害のリセットができるとはいえ、決着がつかないだろう……ということで、彼らの能力にも一部制限が掛かっているが。
それでも、能力値の方は据え置きのため、凄まじい速度で彼らは戦闘を行っていた。
風と雷、形は違えど動きに補正を加える属性のため、普通では捉えられないほどだ。
≪肉眼で捉えることのできない皆さんは、モニターの方をご覧ください。特別仕様で、内部の光景を通常よりも遅めて観ることができますよ≫
《[ラヴィンド]選手と[マガツミカヅチ]選手、共にクローチルの能力に似通った力を操っておりますが、やはり性質はまったくの別物。彼らの凶悪とも称すべき力が、会場を破壊しています》
≪会場自体は、試合終了後に元の状態に戻りますのでご安心を。それだけの力をぶつけ、釣り合っているということですね≫
《風と雷、通じ合う属性ゆえに互いの手の内が分かるのでしょう。そして、共にクローチルに影響された力を発現させている。なおのこと、相手との読み合いが繰り広げられていることでしょう》
なお、クローチルは住民を尊重しているためノーコメント。
本当なら、今回限定の解説役にでもなってもらいたかったが……逃げられたんだよな。
二人は埒が明かないと判断したのか、やがて出せる全力を以って衝突。
風と雷が再びぶつかり合い、その結果──
≪おーっとこれは! なんということでしょう、[マガツミカヅチ]選手が舞台からリングアウトしてしまっている!≫
《どうやら、[ラヴィンド]選手が誘導したようですね》
≪ということで、試合終了! 二回戦に進出したのは、[ラヴィンド]選手だ!≫
互いに兎の姿でぷぅと鳴き合いながら、やり取りをしてからこの場を去る。
……そして、再び家族が出場する試合が始まるのだった。
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