虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

多世界バトル後篇 その08



 少々急いてしまったものの、終わりよければすべてよし──俺の優勝で終わった。
 得られるのは名誉だけの[称号]、そして価値のある交換用のポイントだ。

「交換できる物はあとで調べるとして……早く会場に向かわねば」

《お待ちください。今回の優勝によって、旦那様の闘技場におけるランクが上がっております。そのため、席の方も確保が可能です》

「ルリはもともとVIPだし、マイは従魔部門で上位の闘士だって聞いてたな……」

《マイお嬢様は上位も上位、トップとして君臨されております》

 ……理由は分からないが、秘密にされていたみたいだな。
 事情はともあれ、少々凹む……さっきまでの戦闘よりも大ダメージだよ。

「ああ、そうだ。アイテムの強化の方は結局どうなった?」

《現在解析中ですが、分かっている限りでも1.5割増しとなっておりますね。もちろん補正だけでなく、スキルの方も》

「……心臓の回復もか。そりゃあいい、わざわざ『ブレスレッド』が無くても回復量が上がるし、併用すればさらに上がるか」

 肺型の『プログレス』で、呼吸を介して自然回復量を上げられる。
 魔力が999しか無いので、消費後すぐに回復するというのは割と重要だ。

 ……インストールも“神持祈祷”も、唯一欠点があるんだよな。
 装備補正がある『プログレス』でも、俺が使う場合はいっさい補正が掛からないのだ。

 能力としての補正は問題ないが、はっきり言って装備補正の方が高い場合は多い。
 時間制限や代償付きのアクティブ能力はともかく、ノーリスクだと確実にそうだ。

 装備補正が無い『プログレス』もあるが、それでも有形の物はほとんどが有りである。
 魔力と器用さなら、その恩恵にあやかれるはずだからな……惜しいものだ。


 閑話休題ほかはほぼ0


 闘技場の舞台上に、猛者たちが集う。
 最後に行われる無差別部門は、回復アイテムの持ち込み以外、何でもOKらしい……特典すらも持ち込みが可能なんだとか。

 有象無象なら無理でも、上位者たちはそんなレアな特典を複数持っていることが多い。
 基本、獲得者にアジャストするので、持てば持つほど利点となるからな。

「ショウはたしか、うちの迷宮で一匹倒していたよな」

《はい。それだけでなく、パーティーのメンバーと共に複数体の討伐を果たしているとのこと》

「そりゃあ凄い、上位に入賞するのも夢じゃないかもな」

 なお、俺とてショウが優勝間違いなしというわけではない。
 いや、優勝はできるかもしれないが──少なくとも、全勝は無理だろうな。


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