虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

多世界バトル後篇 その01



 そして翌日、俺の姿は舞台の上に。
 相対するのは職人の休人、揃えられた装備はすべてが本人お手製の代物だ。

≪赤コーナー、冒険世界より参戦。二冠を求め、ついにここまでやって来た。死は終わりではない、彼にとってそれは相手のみが知るもの。栄光か敗北か、死なない男に突きつけられるものとは──ゴンベエ!≫

 だいぶ俺のコールをしているからか、ずいぶんとまあ言ってもらっている。
 偽名のまま参加した大会だが、ここまで来ればそれなりの達成感を覚えていた。

 だが、相手もまた何かしらの負けられない理由を背負っているのだ。
 舞台上でこちらを見る視線は、少なくとも遊び感覚での参加では無いだろう。

≪青コーナー、生産世界より参戦。その想いは、生産世界の総意である。彗星のように現れ、生産世界の技術を学んだ二人組。共に競い、後を任せられ……ここに居る。相手が不死身でも掛かってこい──アカ!≫

 赤い、さまざまな装備がすべて赤色に染め上げられている。
 名は体を表す、そんな休人だった……ちなみに相方は青色だ。

 装備はすべてが整っているが、おそらく例の相方と揃えたのだろう。
 屋台で行っていたのは錬金術、ただし解説で言っていた生産世界の特殊技術込みのだ。

「先日、拝見したときから楽しみにしていました。貴方の錬金術、大変興味深い」

「貴方こそ。すべての分野において、最高峰の技術をお持ちではありませんか。ええ、冒険世界にはそれほどまでに技術があるのですね……いずれ、そちらに向かいましょうか」

「それはそれは、ぜひとも歓迎しますよ。ですがその前に、ここで決着を。どちらの生みだした品が、至上の物か……さぁ、証明をし合いましょう!」

「望むところですよ。ただし、ある意味二対一ですけど」

 錬金術、そして相方の青色さんが扱う機械技術がアカの武器。
 そう、予選の時から譲渡可能なように、仕込んでいたのだ……なお、反則ではないぞ。

 試合に持ち込めるのは自分で作ったアイテムだけ──ただし、合作がダメとは言っていなかった。

 彼らは力を合わせてアイテムを作り、こうした状況になれば互いのアイテムを譲渡でいるようにしていたのだ。

「構いませんよ。もともと、悪いとは思っておりましたので……共に二人、つまりは二対二となりますのでご安心を」

「……そうですか。では、こちらも全力を使わせていただきましょう」

≪それでは決勝戦──始めてください!≫

 合図を受け、俺たちは動く。

「行け──“星攻化身”」

「機械兵──『発進』!」

 共に手駒を向かわせ、まずは様子見。
 さて、お手並み拝見といきましょうか。


コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品