虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

多世界バトル中篇 その30

大量更新を先日やっています、まだの方はぜひそちらから
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 やがてアイテムの納品がすべて終わる。
 ショウ、マイ、ルリからの要望が無かったのがとても残念だったが……代わりにルリから[メール]が来て救われた。

 自分たちはいつでも構わないと、サポートされた人にも負けないと子供たちが伝えてほしいとのこと。

 そう、俺が無差別部門に参加するショウのことを考えたように、三人もそうして俺のことを考えてくれていた!

「素晴らしい……今日は記念日にしようか」

《では、アイスプルでの告知を──》

「非常に嬉しいが……まあ、冗談にしておこう。秘蔵の飲み物を飲むだけにして、明日に備えないとな」

 今回はあくまでも余興、明日行われる決勝戦と三位決定戦こそが本番だ。
 俺と『学者』、そして二人の休人たちが戦い特殊生産部門の勝者が決まる。

「全部を出し切るにしても、具体的に何をすればいいのやら……魔法は使ったし、再現武術もやりまくった。創ったアイテムはまだ出し切って無いけど、これはそもそも戦闘で全部を使うつもりが無かったしな」

 参加中に創ったアイテムは、そのすべてがお持ち帰り……できるわけじゃない。
 勝てば勝つほど、指定アイテムのような補正を受けた状態でテイクアウトが可能だ。

 まあ、補正の割合とかで選べる数が変わるのだが……俺の特にこだわったアイテムを持ち換えるのであれば、優勝が必須だった。

 とはいえ、別にそれらはすべてが今回勝ち抜くためのアイテムでもない。
 だが、補正付きなら便利だなぁと思うし、なんとか優勝したいのが本音だ。

「【試験職】の全スキル許可、『死天』謹製のアイテム、いろんな魔法、武術……結構やりまくったからな。俺単独だと、それぞれ一つずつしか選べなかったけど……よし、最後だから頼めるか?」

 悩みに悩んだ末、最終的に他力本願。
 さまざまな力を持っている俺だが、一番頼りにしているのは──『SEBAS』だけ。

「『SEBAS』、『セバスチャン』は決勝戦も使うことにする。だから、俺に勝利をもたらしてくれ」

《──畏まりました》

「ああ、ぜひともな。俺にできることならやる。周りも文句を言わない、エンターテインメント性のある完璧な試合にしよう」

《旦那様の仰せの通りに》

 ここで『SEBAS』が了承してくれたということは、実際可能なのだろう。
 今まで作ったどのアイテムよりも、一番頼もしい『SEBAS』という存在。

 彼が付いていることこそが、俺が敗北しない理由である……相手がたとえ優れた休人でも、『SEBAS』といっしょなら不安する必要する無いな!


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