虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

見習い成長 その01



「【勇者】、全然カンストしないな」

《最高位に近しい職業である【勇者】は、その分必要な経験値の量も膨大です。いかに旦那様とて、意図的な成長を望まなければ相応の時間が掛かります》

「まあ、たしかにすぐ上げたいとは思っていないのは事実か。【贋造者】にも就けるようになったし、またレベリングを再開するか」

 贋作の販売は終了し、何をしようかと街の中を彷徨っていた俺。
 ちなみにまだもう一段階上があるのだが、そちらはどうせ就けないので止めておく。

 俺の職業は現在、『運天の改華』獲得以前に得たものは【勇者】以外カンスト済み。
 下級・上級、それに派生・複合問わず一気に経験値を注いで最大値まで注いでいた。

「【勇者】のレベルは今30なんだが、そもそも最大っていくつなんだ?」

《100です。下級職が30、上級職が50に設定され、最高位である固有職が100となっています。ちなみに【救星者】はその例外、特殊職と呼ばれる類です》

「100か……遠いな」

《当然、レベルが高ければ高いほど必要な経験値量も増加するため、【勇者】は強者向けな職業となっております。それでも、旦那様の成長速度はとても優れている方です》

 経験値を稼ぐ方法は魔物を倒すことだけではなく、職業に沿った行動でも貰える。
 生産職であれば、対応した生産活動を行うことで経験値が得られるのだ。

 そして【勇者】の場合、その職業に沿った行動とは──偉業の達成。
 戦闘行為だけでなく、それが大衆に認められる行動ならば満たされる。

 ……俺の場合、蘇生薬の製作がその中に含まれているらしい。
 職業の中には、職業行動で稼いだ経験値でしか、手に入れられない能力もあるそうだ。

《旦那様、いかがなされますか?》

「……レベリング自体はやろう。けど、具体的に何をしたいって聞かれると微妙だな。そうだ、【見習い】職ってどれくらいの数を下級職に上げられているんだ?」

《二つです》

「…………ん?」

 気になって、【救星者】の職業スキルである“職業系統樹”を発動させる。
 目の前に展開された画面には、無数の系統樹が構築されていた。

 その中から最下が【見習い】を冠する、かつ生産系ではない職業を調べてみる。
 載っていた名前は【魔法士】と【操縦士】のみ……うん、本当に二つだけしかない。

「無駄にしていたのがよく分かるな……」

《【魔法士】は私がオススメしたということで。【操縦士】は[アライバー]の操作精度向上のため、それぞれレベルを上げました》

 それ以外にも、そろそろ真面目に上げた方がいいだろう。
 今回のレベリング内容が決まったので、すぐさま行動を始めるのだった。


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