虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
休日開放戦 その07
月末恒例の連続更新です(01/12)
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それからしばらく、斥候騎士でも使えるアイテムをいくつか渡しておいた。
その使い方もレクチャーしておいたので、俺が居なくとも使うことができるだろう。
「──ッ! 合図が来ました!」
「そうですか……では、まずは最初に言った物を使ってください」
「は、はい」
いきなりここから飛び出してしまえば、わざわざ隠れてのサプライズが一瞬で終わってしまう……なので、始めの内はこっそりと支援する程度に留めていく予定だ。
「では、いきます」
お香のようなアイテム、そこに魔力を灯してもらって煙を漂わせる。
ついでに風の魔法で、それを脱出口の隙間から流してもらう。
ちなみに。中身は男にしか効かない状態異常発生の煙。
ルリ騎士団は女性しかいないので、ちょうどいいアイテムだった。
……俺はあれだ、予め無効化できるようにポーションを飲んでいる。
それが無かったとしても、状態異常で死んだらまたリセットできるんだけどな。
「状態異常で弱体化した休人であれば、騎士団の誰でも倒しやすくなる……といいのですが。彼らにも、耐性スキルを育てている者がいるでしょう。そういった者を相手取るためにも……二つ目をお願いします」
「これ、でしたね? えいっ!」
結局、壁越しに使わなければバレてしまうので二つ目も煙系のアイテムだ。
ただし、今度は発煙筒型の魔道具……そういう用途のために作られた品である。
本来の発煙筒が警告や被視認性のために使われるように、魔道具として生み出した発煙筒もまた、その煙を知覚しやすくするのだ。
──ただし、デメリットとしてそれ以外の物を感知できなくなる。
つまり、相手が最初からどこにいるのか分かっている騎士団ならともかく、常に周囲を警戒しなければならない犯罪者たちは、突然の変化に慌てふためくことになるのだ。
「なお、今回は特別に煙を無色透明にしてあります。色でバレてしまっては、元も子もございませんので」
「……どうしてそんな品を、いくつも有しているのですか?」
「暇ですので」
「ひ、暇……ですか?」
だって、それが本当のことだからな。
何でもかんでもまずは作っておく、使わないなら使わないで『SEBAS』に管理を任せておくのが一番だ。
いくら『SEBAS』とて、無いものからアイデアを生み出すのはできな……難しい。
なので俺にできること──つまり生み出すことで、できることを増やしていくのだ。
「──そろそろ、時間になりますかね?」
「連絡はまだ……来ていません」
「準備はバッチリですし、最後のアイテムを使うだけですね」
「……本当に、使うのですか?」
嫌がっているようだが、そこはすぐに首を縦に振って応える。
休人相手に完封するためにも、やるしかない……たとえ、相手がどんな目に遭おうと。
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それからしばらく、斥候騎士でも使えるアイテムをいくつか渡しておいた。
その使い方もレクチャーしておいたので、俺が居なくとも使うことができるだろう。
「──ッ! 合図が来ました!」
「そうですか……では、まずは最初に言った物を使ってください」
「は、はい」
いきなりここから飛び出してしまえば、わざわざ隠れてのサプライズが一瞬で終わってしまう……なので、始めの内はこっそりと支援する程度に留めていく予定だ。
「では、いきます」
お香のようなアイテム、そこに魔力を灯してもらって煙を漂わせる。
ついでに風の魔法で、それを脱出口の隙間から流してもらう。
ちなみに。中身は男にしか効かない状態異常発生の煙。
ルリ騎士団は女性しかいないので、ちょうどいいアイテムだった。
……俺はあれだ、予め無効化できるようにポーションを飲んでいる。
それが無かったとしても、状態異常で死んだらまたリセットできるんだけどな。
「状態異常で弱体化した休人であれば、騎士団の誰でも倒しやすくなる……といいのですが。彼らにも、耐性スキルを育てている者がいるでしょう。そういった者を相手取るためにも……二つ目をお願いします」
「これ、でしたね? えいっ!」
結局、壁越しに使わなければバレてしまうので二つ目も煙系のアイテムだ。
ただし、今度は発煙筒型の魔道具……そういう用途のために作られた品である。
本来の発煙筒が警告や被視認性のために使われるように、魔道具として生み出した発煙筒もまた、その煙を知覚しやすくするのだ。
──ただし、デメリットとしてそれ以外の物を感知できなくなる。
つまり、相手が最初からどこにいるのか分かっている騎士団ならともかく、常に周囲を警戒しなければならない犯罪者たちは、突然の変化に慌てふためくことになるのだ。
「なお、今回は特別に煙を無色透明にしてあります。色でバレてしまっては、元も子もございませんので」
「……どうしてそんな品を、いくつも有しているのですか?」
「暇ですので」
「ひ、暇……ですか?」
だって、それが本当のことだからな。
何でもかんでもまずは作っておく、使わないなら使わないで『SEBAS』に管理を任せておくのが一番だ。
いくら『SEBAS』とて、無いものからアイデアを生み出すのはできな……難しい。
なので俺にできること──つまり生み出すことで、できることを増やしていくのだ。
「──そろそろ、時間になりますかね?」
「連絡はまだ……来ていません」
「準備はバッチリですし、最後のアイテムを使うだけですね」
「……本当に、使うのですか?」
嫌がっているようだが、そこはすぐに首を縦に振って応える。
休人相手に完封するためにも、やるしかない……たとえ、相手がどんな目に遭おうと。
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