虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

地下街迷宮 その11



 万物に死をもたらす毒は、どういう理屈か空気すらも殺す……窒息死にもできるようにしてあった。

 本当はこちらによる死を誘導していたのだが、失敗したので第二の策が発動──穴を空けた場所から入ってきた空気と混ざり合い、尋常ではない爆発を生みだす。

 物理法則では説明できないのだが、『死』とは定めのようなもの。
 原理が分かっていない『死天』なので……ご都合主義ってことだな。

「ハァ……やっと終わったか」

 鏡から生まれた複製体も、そして攻撃無効化状態になっていた鏡も破壊に成功する。
 この空間も、爆発によって崩壊の一途を辿り始めており……奥に道ができていた。

「『SEBAS』、聞こえるか?」

《はい、おめでとうございます。旦那様は私が居らずとも、やはり戦い抜くだけの力があると証明されました》

「ああ、魔道具無効化でも『死天』のアイテムを使えたのが幸いしたな。というか、それが無かったらまだ戦っていたと思う」

 あのままだったら絶対に勝てなかった、というわけではない。
 最悪、:DIY:でアイテムを作製すれば最強の装備で対応できたわけだし。

 ……言ってなかったが、なぜか:DIY:だけは使用できたんだよな。
 使わないからいっさい説明はしなかったのだが、まあレア度云々の問題だろうか。

「って、落盤しているな……迷宮ダンジョンってそんなに脆いモノだっけ?」

《旦那様のアイテムの相乗効果が、迷宮の耐久限界を超えたのでしょう。決して壊れない物など、存在しません》

「不壊ってのがあるのにな」

 硬いと言われるダイアモンドだって、同じダイアモンドを混ぜた鉄砲水を当てれば斬れるぐらいだしな。

 絶対に壊れない物、本当にそんな物があるかは謎だが……そうあれと願って、生産職はアイテムを生みだす。

「家族を守るアイテムなんかは、通常よりもはるかにそうあれと願ったからな。想いの強さで強度が決まるなら、きっと不壊の域まで達しているだろうさ」

《相手が同じ人の域の者であれば、旦那様の作製したアイテムを壊すことはできません。神などの超常的な存在にのみ、未だ破壊する可能性が残っております》

「……いずれは超えようか。ああ、なんだかショウ辺りが神様とかに挑みそうだし」

 気のせいであればいいんだが……うん、どうしてもそんな気がする。

 契約によって、【魔王】は俺の関係者を襲うことがない……そうなると、別の相手が現れるのが王道な気がしてきた。

 壊れないはずの迷宮が、すでに天井などを床に落としている。
 間もなく落ちるな……さて、さっさと踏破報酬を受け取りに行くか。


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