虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
悪鬼の巣 その07
「けど、また解放されなかったな」
《旦那様がお世話になったという女神と、その上司である神のことでしょうか?》
「そうそう。たぶんなんだが、『■■■』と『◆◆◆◆』だと思うんだよ。【救■者】もリーチだから気になるが、こっちもこっちで解放されてほしいとは思っているんだ」
まあ、:DIY:の説明テキスト(初期)を作成したのは上司なので、たぶんこっちの状況を観ていると思う。
それっぽい話をかつて貢献イベントの最中に聞いたし、ほぼ間違いない。
「:DIY:をくれたのはその上司だし、感謝してもしきれないんだけどな。お祈りがしたいならたぶん孤児院でできるけど、これまで一度として伏字が外れたことはないし……何がしたいんだろう?」
強力なスキルをくれたお礼もあるので、好きなように視聴してくれていいけどさ。
注目、目を向けるという意味になるらしいが……神様の目ならば、俺みたいな雑魚を簡単に観れるだろうよ。
「──しかしまあ、外の空気は美味いなぁ」
《お疲れ様です》
「それに太陽の光が温かい……まるで俺を天に誘っているようだ」
うん、比喩じゃなくて本当に。
誘うっていうか、現在進行形で殺されているが──おっと、結界を平時モードに戻しておかないと。
「外の戦闘はどうなっている?」
《旦那様の間引きによって、死傷者数は大幅に減少しました。治療士たちが残った軽傷者たちを回復させ、誰一人死ぬことなく氾濫は鎮静しました》
「そりゃあよかった。いや、だからこそのこの盛り上がりようなのか」
鼓膜に伝わる振動によって、日光同様何度も死にまくっていた。
それだけ嬉しいということは分かるが、君たちが喜べば喜ぶほど苦しむ陰の貢献者が居ることを知らないだろう。
「俺が悪徳商人とかだったら、氾濫を長引かせて金儲け……なんて未来もあったのかもしれないな。蘇生薬を撒けば金は求めなくても集まってくるし……いろいろと最悪だな」
《ですが、旦那様はご家族に顔向けができなくなるような選択を取りません。胸を張れるとても素晴らしい行動を取っておりますよ》
「そ、そうか? ショウやマイ、ルリに胸を張れるのか?」
それならいいんだが……反抗期や倦怠期にいつかなることを考えると、それだけで体がゾクッとするんだよな。
逃げられない道かもしれないので、覚悟だけはしなきゃいけないんだけどさ。
閑話休題
「まあ、これで緊急依頼も解除されてまた依頼は納品だけになるのか……ギルドから普通の依頼が来ればいいのにな」
こればかりは『SEBAS』でも、どうにもならない問題だ。
──こういうとき、神頼みをした方がいいのだろうか?
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