虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
革命 その07
「──なのに、どうしてこうなった」
俺はたしか、カッコいい台詞を言っていたはずなんだが……あっ、また死んだ。
「一騎当千を、観衆が居る中でやるのは厄介なんだよなー」
躱して避けて、跳ねて屈んで……回避を続けているが、やはり死からは逃れられない。
さまざまな武器が俺を刺し貫き、さまざまな魔法が俺を穿つ。
「本当に、どうしてこうなったんだか」
それでも死なない『生者』を、大衆はどうみているのだろうか。
それを考えるよりも先に、原因の究明をした方がいいと思われる。
さあ、プレイバックだ──
◆ □ ◆ □ ◆
『ここだよ』
話なら神代魔道具の所ですればいい、そう【暗殺王】に提案された俺たちは再び移動を行った。
途中の話題が面白かったり、歩いている最中に見たモノがアレだったこともあったんだが……今は詳細を省いておこう。
そんなこんなで辿り着いたそこは、だだっ広い白い空間。
その奥にはシャッターがあり、何やら機械の稼働音のような物が聞こえた。
『この先に神代魔道具はある……けど、設定の変更はそこでしか行えない』
そうそう、だから俺一人で行ってみようと提案したんだ。
そのとき英雄はまだ疑問で頭を埋め尽くしていたし、【暗殺王】も何か考えがあるのか黙って俺を見ていた。
≪──侵入者発見、マスター認証のされていない個体が出現しました。ガードローンの使用を許可、侵入者の迎撃に当たらせます≫
つまりは、そういうことだ。
◆ □ ◆ □ ◆
その部屋は同時に俺の入って来た入り口を閉ざし、代わりにシャッターの奥から大量の白い人形を送りこんできた。
俺はたった独りで、このすべてに対応する必要があるそうだ。
どうやら【暗殺王】にはマスター認証というものがあるらしく、英雄と共にこの部屋を監視するためにある部屋からこちらの状況を確認している。
……早く説明してほしかったよ。
「だがまあ、ゴール地点は見えているわけだから、別に構わないんだが……。いっそのこと、擬似転移であそこまで──」
《旦那様、どうやら神代魔道具の影響か転移が行えません》
「……ハァ。エリア内で脱出するのはさすがに駄目か。ここって重要施設だしな、それもしょうがないか」
まだ解析も終わっていない状況なので、この街の転移機能は侮れない。
要は戦うことでしか、この場を潜り抜けることはできないわけで──
「ならこっちも、少しばかり体を動かしてみましょうか」
ポケットの中から籠手を取りだして両手に嵌め、ガシンガシンと打ち鳴らす。
人形たちに変化はないが、俺はその音で意識が高揚していく。
「さぁ、ポンコツ共……お前ら全員スクラップに変えてやるぜ」
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