虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ドゥーハスト騒動 その06
お二方には危険なので、一度城から離れてもらった。
いくつか魔道具を渡しておいた。それらがあれば死ぬことはないだろう。
「さて『SEBAS』、封印の術式はどこまで調べ終わった?」
《解除された際、街のエネルギーがすべて攻撃用に転じるのが厄介でしたがどうにかできました。旦那様、人工魔石生成装置を作動させた上で解除をお願いします》
「了解」
言われた通りに装置を作動させ、送られてきた術式を魔道具で読み込んで扉に張りつけて作動させる。
すると一つ一つ扉に張り巡らされた術式が解除され、扉から模様が消えていく。
同時にエネルギーがこちらに流れ込もうとするが、それらは人工魔石生成装置が吸い取り魔石化させている……凄い勢いで生産されているな。
さながら工場を見ているようだ。
「よし、解除完了」
やがて扉から術式は消えうせ、残ったのはただ巨大なだけの扉だ。
ゆっくりと力を加えて開け……られない。
残念だが、力が足りないようだ。
「奥に転移できるか?」
《可能です──起動します》
しかたないので擬似転移装置を使い、扉の先へ向かった。
◆ □ ◆ □ ◆
「うわー、デカいな」
《測定します──全長40m、高さ20mといったところです》
「そりゃあ凄い、コックピットを付けてお土産にしたいものだ」
巨大ロボ、それはいつの世も男たちの心をくすぐり続けてやまない。
俺もまたそうしてロボに魅惑され、憧れた者の一人だ。
「人型じゃないのは厳禁だが、それでもロボというだけで素晴らしさを感じる」
《──電波が発信されています。精神力の無い者はこれに洗脳されたのでしょう》
「電波か……ラジオ放送でもさせてみたら面白いかもな」
ゆっくりと近づくと、やがてロボの迎撃範囲に達したのだろう。
≪モード:デストロイ──起動≫
ゴゴゴゴゴ……と動きだし、ロボは俺に兵器を向けてくる。
イメージはロボットドラゴン、口から炎を生みだして吹く感じだ。
「まあ、意味ないんだが」
≪対象は無傷。対応レベルを三へ上げます≫
「さてさて、停止スイッチはどこかな……」
≪対象は無傷。対応レベルを六へ上げます≫
ロボドラゴンは何か言っているようだが、気にせず停止装置を探していく。
何度か殺されるがお構いなし、やがて逆鱗だと思われる部分にそれらしき術式を見つけだした。
「これか」
≪逆鱗モードを起動。対応レベルを最大まで上げます≫
「……あれ? 違ったか」
それからしばらくして、『SEBAS』が見つけた停止スイッチの場所へ向かってロボドラゴンを停止させる。
──普通に心臓の辺りにあった。
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