虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
怪しいフラグ
格好や見た目は偽装してある。
服装は漁村の人たちに合わせたし、顔つきも魔道具で幻影を纏わせた上で人工の皮膚を被っているのでバレないだろう。
「にしてもまあ、船は出てるんだよな……つまり、外交はあると」
大陸の中央部にあるとは言ったが、海と繋がっていないとは説明していない。
島の奥まで船が通れるほどの道があり、そこを通じて船が行き来しているのだ。
「海洋国家……とは違うか。全然海に面してないし。時計で言うなら11から1の部分ぐらいしか海路ないじゃん」
ドローンによる空撮で得た情報であり、自分の目ではまだ見ていない。
船がある所まで向かうのは面倒だからな、とりあえず安全確保が最優先だ。
「死亡レーダーに確実な反応は無い。けど、これまでの直感的に嫌な予感がする」
完全パッシブ系の存在であれば、レーダーに引っ掛かることがない。
そういうヤツの場合は、封印されているはずだから。
それでもなぜだろうか……『超越者』や特殊な職業へ就いている奴と会う前のような感覚が、体を過ぎっていた。
「違和感……なのか。トラブルが起きるのは勘弁だってのに」
それを感じる方へ向かうことにする。
結局のところ、解消しておかなければ安心してこの国で活動できない。
安全を求めるが故、危険へ立ち向かう……まさに矛盾だな。
◆ □ ◆ □ ◆
「──それでなぜか王城に辿り着く。これはもう、どうしようもないんじゃないか?」
「貴様、何を話している。ここが王城であると知っての行動か?」
「あ、すみません。少し城の素晴らしさに驚いてしまいまして。すぐに離れます」
お城の兵士に怪しまれたので、そそくさとこの場から離れる。
お家問題(王族編)ほど、関わりたくないイベントは無い。
巻き込まれたらその分裂する派閥のどちらについても、ロクな目に遭わないからだ。
「調査だけしてとりあえず放置、あとは状況次第で絡むか決めればいいk──」
『キャー!』
「……なに、このイベントフラグ」
あからさますぎて逆にビックリだよ。
遠くで、女性のもの悲鳴が聞こえたのだ。
本来ならここは衛兵さんの出番だが……当然、王城の兵士は忙しいので動けない。
「原因が何であれ、とりあえず行ってみてから考えますか」
もしかしたら、俺以外の誰かが解決する手段を持っているかもしれない。
それならば、俺はただの見物客としてその事件を見ているだけで済むだろう。
「……俺の勘は、絶対にそうはならないと告げているんだけどな」
そのことへため息を吐いてから、その場へ急行した。
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