虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

錬金王 その06



「──と、いうわけで錬金術に関する情報を集めていたんです」

「……それよりそのエリクサー、かなり純度が高いな」

 とりあえず経緯を説明し、エリクサーを見せびらかした。
 別のレシピを調べておきたかったので、俺の作った物を提示する必要があったのだ。

 しかし『錬金王』から見ても、俺の適当エリクサーは凄いようだ。

 やはり:DIY:による補正は、こうした部分でも優れているんだろう。
 なんせ、生産スキルの極地だからな。

「解析、頼めますか?」

「それは構わん。むしろ、こちらから頼みたいほどだ……だが」

「だが?」

「こちらが支払える物が無い。これだけの代物を見せてもらい、解析までさせてくれるとなると、私の錬金術に関する資料だけでは足りないだろう」

「い、いえ。そんなに重く考えないでください。資料だけで充分ですよ」

 何度も言うが、俺のエリクサーはごった煮のような物だ。

 そんなわけの分からない代物を調べさせる方が、本来下手にでるべきなのだ。

 対価が要らない、と言うのは先方に対して無礼なので口に出さないが、そこまで価値があるわけじゃないんだよな。

「普通の者であれば、私の作ったポーションでも渡せば充分なんだが……ここまでの物が作れる者にそれは失礼だな。しかし、そうなると何がいいのか……」

 ブツブツと考え始める『錬金王』。

 しいて言うなら、人造人間に関する情報が欲しいな。
 まだ『SEBAS』のボディ部分に違和感があったので、そこに『錬金王』の人造人間の技術を組み合わせてみたい。

 とりあえず、その旨を伝えてみた。

「それを実行した結果、私は呪いを受けたのだが……本当にいいのか?」

「問題ありません。エリクサーならストックするほどありますし」

「そうか……。今資料を持ってくる、しばし待っていてくれ」

 立ち上がると、『錬金王』は部屋に置かれたいろいろな物を弄っていく。
 すると何か仕掛けでもあったのか、地下室の奥辺りに扉ができる。

 そこに向かいしばらくすると、『錬金王』は数枚の紙を持って戻ってくる。

「これが、私がユリルを生みだした際に使った材料だ。他の『超越者』に一部依頼した物があるから、簡単には集まらないだろう」

「……たしかに、これは難しそうですね」

 魔物由来の素材も混ざっている。
 これだと、:DIY:だけで錬成を行うのは無理だな。

 リストを見ると……『超越者』に協力してもらう必要がありそうな物ばかりだった。

「ありがとうございます。時間は掛かりますが少しずつ集めてみます」

 そう言って立ち上がろうとしたのだが……まだ話は続くようだ。


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