虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
警鐘対策
今までも、死亡レーダーによってこのようなことが引き起こされる危険性はあった。
だが、OFFにしたり気付かなかったりしていたため、酔うことは無かったのだ。
猫の場合、音を感じ取った瞬間にOFFにしていたのでセーフ。
『超越者』の場合、相手が自分から放たれる力をセーブしていたのでセーフ。
そうして助かっていたのだが……言い方は悪いが、犬畜生が三匹集おうと犬は犬。
俺の方でOFFにしなければ、結局酔うことは確定していた。
だが、この先に何があるか分からない現状で、死亡レーダーをOFFにするわけにはいかない。
故に、この事件は起きたのだった。
◆ □ ◆ □ ◆
ケルベロスは食事中、俺の近くに他の反応は感じられない。
死亡レーダーに身を任せ、俺は再び休息を取り――先程の問題について考えている。
対策としては、ボリュームを下げるなどが挙げられた。
「ほら、テレビにも大きくなる音の幅を変える機能があるだろう? つまり、最小の音を変えれば多分どうにかなると思うんだが……どうだ?」
音量は調整可能であった。
だが、それにはいくつか問題があり――。
《旦那様、いつかは耐えがたい音量を鳴らす存在が現れますよ》
「……そうなんだよなー」
完全に音をゼロにできないんだ。
それに、自分の身の丈に合わない存在に対面したとき、それは命取りになる。
いつか――例えば邪神にでも遭遇すれば、きっと今と同じようなことになるだろう。
全てを破壊できる神の前で嘔吐……うん、殺されるな。
「ならどうするか……『SEBAS』、お前の方で管理をできないか? こう、音量の自動調整的なことを」
《可能ですが……絞りを付けるだけならば、旦那様の装置でも可能かと》
「そうか。今度自分で作ってみるから、お前にはプログラムを組んでもらいたい。そっちならすぐに可能か?」
《はい、畏まりました》
細かいことは、『SEBAS』に任せておくことにしよう。
結界に危険感知機能を付けるか?
いや、鞘の許容範囲をそろそろ超えそうだからなー。
ただでさえ『超越者』の結界を改良したものを組み込んでるっていうのに、その上そんな面倒なシステムまで組み込もうとするのは無理だろう。
と、結局俺が考えても凡人のアイデアしか出すことができない。
そんな俺と、インターネットに常時接続できる万能AI……どっちが上かなんて自明の理ではないか。
「ま、そろそろ行くか」
考えたら負けだろう。
皿を取り出し、その上に大量のお菓子を置いてから――更に奥へと進んでいく。
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