虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

情報開示by娘



「次は……誰が言うか?」

「なら、私が言うわ。翔のその後に関する補足説明もしたいしね」

 今度は長女――舞が手を挙げて言う。

「……主人公体質って、翔のことを言うのかしら? アナタ、どう思います?」

「どうなんだろうな。俺と瑠璃の息子だが、突然変異的な気分だよ。瑠璃のLUC的な才能が、主人公に必要なパロメーターに割り振られたなら……イケるんじゃないか?」

「私の運はそこまでよくありませんよ」

「……(無自覚だから困るんだよな~)。ア、ソウダッタナ」

「…………ねえ、お二人さん。そろそろ私の説明を始めてもいいかしら?」

『どうぞどうぞ』

◆   □   ◆   □   ◆

「私のステータスはこんな感じよ」

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ステータス
名前:ブーケ (女) 
種族:【獣人】Lv1
職業:【見習い調教士】Lv1

 HP:10
 MP:10
 AP:10

 ATK:1
 DEF:1
 AGI:1
 DEX:1
 INT:1
 MIN:101
 LUC:1

通常スキル
(鞭術Lv3)(盾術Lv3)(異常耐性Lv1)(料理Lv1)
(調教Lv1)

職業スキル
(調教補正)

種族スキル
(獣化)(人化)

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「私がなりたかったのはテイマー。だから、それっぽいスキルを集めたわ」

「MINに極振りしたのは、魔法防御力を上げるため。物理攻撃はある程度自力で見切れるけど、魔法なんて未知の現象は理解できないからね」

「(異常耐性)を習得したのは、全状態異常に対する耐性が欲しかったから。理論上は大量の耐性スキルを集めれば習得できるようになるらしいけど、それがいつになるかなんてわからない。なら、取っちゃった方が早いじゃない?」

「餌付け用の(料理)も取ったし、準備は万端だったわ」

「後は、髪と眼の色を変えてアドベンチャーワールドに向かった。そこで見たのが、翔が無双しているシーンだったわ」

「……お二人さん、翔が倒したのは、5人ぐらいのパーティーだったわ。ゲームを始めたばかりとはいっても、相手は大人だった。それでもこの主人公さんは剣一本で勝った……本当に弟は主人公よ」

「その子――確かモモは、翔の方を恋する乙女みたいな表情で見つめていたわ。変な大人に絡まれていたのを、カッコいいエルフの少年が救ったんだから当然よね」

「翔にログアウトのことを伝えたら、すぐにログアウトの準備を始めたから分からないこともあるけど……それでも、ああいう子は、必ず待ってるわよね」

◆   □   ◆   □   ◆

「姉さん、どうにかならないの?」

「……後でコツを教えるわ」

「さっすが姉さん、頼りになる~」

 嫌な予感がする、舞の顔が少し黒かった気がするし。
 確か、瑠璃に聞いたな……舞の好きな恋愛ものは……。


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