インフルエンザに囚われたラノベ作家のパパを助けに

御社 欅

第九章 リザードマン

遺跡を、後にする。

三種の神器は、そろった。

次は、パパを探さないと。

「パパは、どこにいるんだろう?」

先ほど鏡に映った姿は、どこかの牢屋で、鎖につるされているような感じだった。

「きっと、ウイルスが拠点にしている古城の牢屋に違いない。」

エバンズが、言う。

「それは何処に?」

「鏡を掲げて、回ってみて。」とリサ。

ぐるっと回ると北北西の方角に鏡を向けると、パパの姿が映った。

「あっちみたい。」

「どうやって行くか。」

エバンズが、ロドリゴと顔を見合わせる。

ペガサスに乗って空を飛んで行ったら早そうだが、ウィルスにすぐに囲まれてしまいそうだ。

「一番安全そうなのは、地下道を通って、湖を抜けていくルートかな。」

リサが、しばらく考えてから、口を開く。

「そうだな。面倒だが、それが、一番楽そうだ。」とエバンズ。

「では、まず、地下道の入り口まで、行かないとね。」とリサ。

「たしか、このあたりは、リザード族の縄張りだったよな。」

エバンズが、周りを見回しながら言う。

エバンズによれば、リザード族は、トカゲの顔を持ち、足が速く、槍と雷の魔法を得意とする種族とのこと。

その中でも、リザードマンは、知能が高く、誇り高い戦士の集団とのこと。エバンズの昔の戦友らしい。

「呼んでみるね。」

リサは、杖を掲げると、何か呪文を短く唱えた。

しばらくすると、土煙りを上げて、リザードマンの一団がやってきた。

「早かったな。」

エバンズが、先頭に立つリザードマンに声をかけ、握手をする。

「そちらの状況は?」

リザードマンは、言葉が話せるようだ。

「かんばしくない。もう四つ目の谷まで、侵攻されている。町も、五つ既に放棄した。」

「そうか。厳しいな。」

リザードマンのリーダーは、黙って頷く。

「それでだ。我々を黒峰山の麓まで、送り届けてもらえないだろうか。」

「奴らの勢力範囲に入ってしまうぞ。」

「できるだけ、気づかれないよう行動するつもりだ。」

リザードマンのリーダーは首を振る。

「言うほど簡単ではないぞ。」

「それ以上に良い方法はあると思うか。」

リザードマンは首を傾げ、少し考える。

「ないな。残念ながら。」

「で、我々におとり役も、やって欲しいとのことか。」

「察しが、いいな。」

「いつも、無理を言う。」

「すまないな。」

「いや、いいんだ。いつもそうだが、他に方法が無い。」

「あかり、リザードマンの背中に乗ってくれ。」

三人はリザードマンの背中に乗る。

リーダーのリザードマンが、宣言する。

「これから、やつらと一戦交える。派手にドンパチやるが、絶対、死なないようにしろ。」

リーダーが、リザードマンの戦士を見渡す。屈強な強者ぞろいの群れだ。

「そして、30分きっかりで全速力で、六の谷まで、撤退だ。五の谷ではない。いいな、絶対、無駄死にするなよ。」

まずは、前線まで移動。そこから二手に分かれるらしい。

エバンズが、指を二本立て、ゴーサインを出す。

「よし、出発だ。」

リサが、透明化の魔法と、気配を断つ魔法を重ねがけする。

私たちは、これで、周りから見えないはずだ。

前線と言っても、バリゲードが、築かれていたり、戦闘が行われている訳ではなかった。

ただ、ウィルスの出す瘴気で、辺りに黒い霧がかかり、その領域に入ると、一斉にウィルスが襲ってくる。

リザードマンのリーダー達と、あかり達は、二手に分かれる。

リザードマンは、高速で走りながら、ウィルスが近づいてくると構えた槍を一閃、それを真っ二つに。

また、雷を呼び出し、集まったウィルスの群れにそれを放つ。

焦げたウィルスが、ぼとぼと地面に落ちる。

強い。

しかし、いかんせん、ウィルスの数が多過ぎる。

倒しても、倒しても次々に現れる。

あ、一人やられた。

あ、また。

遠ざかってゆく、戦闘の場。

どうか、みんな無事で。あかりには、祈ることしか出来ない。

気配を消す魔法と、透明化の魔法が効いているせいか、ウィルスは、こちらを襲ってこない。

黒霧が、濃くなってきた。ウィルスの支配領域に、だいぶ入って来たのだろう。

更に走ると、そびえ立った崖が、見えてきた。そこに黒い穴が、開いている。

あれが、地下道の入り口。

しかし、その前には、ウィルスが、空と地面を覆っている。

「どうする?」とエバンズ。

「倒さないと、入れなさそうね。」










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