世界は何も変わらない。変わったものはルールだけ。
笑い泣き。かこばな始。
場所は、警備員室内1階のリビングの様な所。普通に一軒家として使えるんだよな、ここ。むしろ一般家庭よりもセキュリティ的には上だわ。警備員室入口にある監視カメラの映像も見れるんだし。もちろん校内も。
現在時刻は16:15。
常置してある休憩用の椅子に腰掛けている。あの後、写工室からの再移動中は遭遇しなかった。生存者にも、屍者にも。
「…ふぅ〜、ひとまず安全で良いんだよな?ここは」
「あぁ、そうだな。さっきまで居た写工室よりはマシだ。まぁつっても、絶対に襲われないなんて事はねぇが」
「へぇ、あそこってシャコウシツっつーのか。知らなかったわ。鍵空いてるとこ見た事ねぇし。どうやって入ったんだ?あんなとこ」
「…あの部屋で昼寝する事があるんです。ドアの鍵は空いてませんが、上部にある窓から入ることが出来ることを知っていたので」
「へぇ〜、かわいい顔してやんちゃなんだな?授業はちゃんと出ねぇとダメだぜぇ。す〜ぐついていけなくなっちまうんだからなぁ。あ、つーかお前、学園からのスカウト枠だろ?明らかに高一に見えねぇしなぁ!なぁ、お前なんでこの学園に入れたんだ?お兄さんに教えてくれよ!」
「おい、少し声のボリューム落とせ。それと、今その話は」
「っち。うぜぇな」
「…え?」
左手に持っていた槍をヴォンッ!と音が鳴るほどに強く振り、真正面に座っていた桐生の首スレスレでピッタリと留めた。
「五月蝿ぇよクソが。調子に乗ってベラベラくっちゃべってんじゃねぇ。お前もスカウト枠だな?大方、剣道の腕買われて入ってきたんだろう。普通、槍は逆手で持つ。そっちの方が力が入る片手なら尚更な。だがお前は打ち手で握ってやがった。正しい握り方だ、竹刀であればな」
呆然としてるな、泣き面の次は間抜け面か。どれだけ醜態晒せば気が済むんだこいつ。
「判断材料はまだあるぜ。"授業はちゃんと出ねぇとダメだぜ。す〜ぐついていけなくなっちまうんだからなぁ。"どうしたよ、常々思ってるような言い方じゃねぇか。勉強は苦手みたいだな?偏差値60は余裕で超えてるこの学園に一般入試で入ったんならその科白が出るとは思えねぇ」
「まぁお前がどんな理由で入学して、何が不得意かなんてどうでもいい。俺の質問に正直に応えろ。お前、写工室に来る前に屍者に遭ってやがったな?」
「なっ!?」
馬鹿が。バレねぇとでも思ってんのか舐めすぎだ。この年でこの学園に入学出来てんだ。普通に考えて身体能力以外のなにかを期待されてスカウトされたって事くらい分かんだろ。まぁそれが"頭の良さ"であるかは定かじゃないがな。少なくともここで働いてるやつは教師だろうが保険医だろうが学歴が良い事は一般常識だ。つまり先生にバレることは覚悟の上で嘘くらいつけ。
「1つ。写工室に来るまでにアレに遭ったかと聞いた時、応えに少し間があったこと。
 2つ。1人も遭ってない、若しくは遭ってないだけで事足りるのにも拘らず、お前はあれには遭ってないと俺の言葉を繰り返したこと。
 3つ。その時に視線を右下にそらし、且つ口元を左手で覆ったこと。
 4つ。その後不自然に会話を逸らしたこと。
 5つ。先生は始末した、と言っただけ。だがお前は始末という言葉を殺したという言葉に結びつけた。まるで実際に見ていたかのようにな。
残り2つの理由で疑心は確信へと至った。まだ聞きたいか?」
「…」
話してる途中から俯いて動きが止まったんだが。さっきまでのテンションが嘘みてぇだな。
「無言は肯定ととってやるよ。
 6つ目。先生を凶弾してる最中、お前の表情は驚いてるっつーよりも、笑ってる様な印象を受けた。1人じゃない、仲間がいたとでも思ったかよ。
そして最後に。アレが死体だと先生の口から聞いた時のお前は明らかにホットして、安心してたからな。」
「……にが…」
「魅流、」
そだねせんせー。座ったままじゃちょっと危険か。1歩引いて間合いとっとこ。
「何が悪いってんだよっ!!!担任が襲われて!石田も首から血ぃ噴き出して!!次はオレが殺られるんじゃねぇかって必死で逃げたんだ!そしたらホントにっ。ああしなきゃオレが殺されてたかもしれねぇ!!殺られる前に殺って何が悪いんだよ!!馬鹿には生きる資格もねぇってのか!!剣道の腕は負ける!!勉強にはついていけねぇ!!!なんっなんだよちくしょうが!!!!」
…はぁ?何言ってんだこいつ。
「悪くなんかねぇよ」
「…………は?なん、だよ…。何言って」
「せんせーが言ったけどアレは死体だ。動く死体だ。だからそもそも生き物を殺してなんかいねぇ。殺られる前に殺るって考えも何も悪い事じゃねぇ。寧ろ自分の身も守れねぇグズよりは断然マシだ。」
誰も屍者を行動不能にした事に対しては何も言ってないだろ。話聞いてんのか?あと剣道の腕は才能は買われるくらいにはあるんだ。後は努力しかねぇだろ。勉強も同じだ。
「俺は屍者に遭遇していたかどうかを聞いたんだ。yesかnoで答えりゃ良かった。まぁその後はこう問う予定だったんだがな?"何故嘘を?"と」
「…俺と魅流は、写工室からここに移動する直前だったんだ。移動経路上に敵は存在するのか、唯それだけを知りたかった。だが、桐生は正直に答えることが出来なかった。それは俺達にとって、生きるか死ぬかに直結する問答だったんだよ」
「……っぁ」
「もう1度言うぞ。お前は悪くない。お前は正直者だ。罪悪感で押し潰されそうになっていたからこそのあの叫びなんだろう。何時もはつかない嘘を、咄嗟にあの場でついてしまったんだろう。お前は間違っただけだ。命がかかっている時に、選択を間違えてはいけない。だから」
-だからこれからは節度を持って、バレない嘘をつきましょう。
「……な、に言っ……。ぁぁあ、あはは。うわぁあぁぁああぁぁあぁっっ。」
何泣いてんだよ。笑うとこだろ、泣き笑いなんてどっちかにしろよ。いや笑えよ。
「ん?」
「…はぁ。ったく、最後はビシッと決めやがれってんだよ」
「いや、決めたでしょ。決めたつもりなんだけど。」
てか頭撫でてもらったの久しぶりな気がする。あとその笑った顔も随分久しぶりな感じ。もっと撫でるが良い。嫌いじゃないぞ。
「つかうるせぇよ。いや、外には漏れないと思うけど。ここ防音だし」
「今だけ泣かせといてやれ。いや…笑ってんのか?」
知らん。
「…ぃぃな、ぁんなに泣けて。ぁんなに笑えて」
あれ、せんせーに聞こえてたみたい。そんなに強く撫でたら頭禿げちゃうから〜。
「で、ようやく泣き止んだわけ」
現在時刻16:58。
あれから30分近く泣いてたんだけど。どんだけだよ。何がそんなに悲しかったんだい?年下に言ってごらん。
「う…。うる、せぇょ……」
顔あっかいな。そんなに恥ずかしいものかね?あ〜、まぁ思春期だしねぇ。恥ずかしいか。
「まぁそう言ってやるな、魅流。あぁそういや、桐生が泣いてる間食料と水を発見した。2日くらいはもつ量だな。水は水道水だが。今器に貯めてる」
「だからうるせぇって!!泣いたことはもう言うなよ!」
「「お前のが五月蝿い」」
はっ。弄りがいのあるやつ見つけたな。それと、剣道の腕を天川学園に買われてスカウトされた、と。直情型の正直者で、感情がしっかり表情に出る。初パーティメンバーとしては中々だな。
「まぁそういう訳だ。先ずはお互いの事を知るのが良いんじゃねぇか?」
「そだね、これから一緒に行動するんだし。ちゃんと知っとかないとね、お互い。まぁと言っても、桐生の事は大体把握したから、今更って感じなんだけど。そっちから何が質問ある?」
「…初めて、呼んだな。苗字で」
へぇ、気づいてたんだ。意外とこういうのって、桐生みたいな馬鹿なタイプの方が気づきやすいんだけどね。
「魅流は自分が認めた相手には名前か、愛称で呼ぶ。良かったな」
「…そ、っか。へへっ」
うわぁ嬉しそ犬みたい。尻尾が見える。てかせんせーの言葉遊びは流石だねぇ。認めた相手には名前か愛称。俺は苗字で読んだんだけど。良かったな、で上手く隠したな。
まぁお前のことは半分くらい認めてやるよ。これから頑張れ。因みにせんせーは愛称。
「まぁそれはわりとどうでもいいんだけど。質問、あるの?ないの?」
「あ!ある、あります!」
あんのかよ。つかさっきのだろ、これ。どこまで言うかねぇ、流石に全部は無理だわ。そこまでは信用してないし。せんせーは何処まで話してほしいって思ってんのかねぇ。俺の事は知ってるだろうに。
「さっきの続きなんだけどさ。魅流はスカウト枠、だよな?その理由、オレ分かったぜ!」
「…へぇ?聞かせてもらおうか」
いや聞く前から間違いだって分かってるけど。てかむり。前世の記憶があるから、なんて分かるわけねぇだろこれまでの会話だけで。
「推理力!だろ!」
…いやそんなドヤ顔で言われても。フラグだから。
まぁでも、思考力的な意味でならあながち…。
「25点」
「くっくっく」
肩震えてるよせんせー。確かにこんな馬鹿はこの学園ってか俺達の周りでは珍しいけど。
「25てん…ひく…」
「まぁ甘く採点してこれだから。かすってる感じなんだよねそれ」
「じゃ〜なんなんだよ〜。いいだろ別に教えてくれたって!」
程度によっては構わないけど、
「"お兄さんに教えてくれよ"って言わないんだ?」
「う"。いや、それは…その…。魅流の事年下に思えないっつうか。寧ろ年上っぽいっつうか…」
「お、40点」
それな。直感が鋭いな、桐生は。典型的な直情型だわマジで。犬っぽいし。こりゃ、その内バレる可能性があるなぁ。そん時にあれこれ言うより、今言った方が得策か。
「…俺は、孤児だ。いや、だったと言った方が正しいな。」
さぁ、俺の過去を語ろうじゃないか。
自分から自分の事を話す、なんて真似はせんせー以外じゃ、お前が初めてだぜ。
17:03。
仲間。
かこばな。
現在時刻は16:15。
常置してある休憩用の椅子に腰掛けている。あの後、写工室からの再移動中は遭遇しなかった。生存者にも、屍者にも。
「…ふぅ〜、ひとまず安全で良いんだよな?ここは」
「あぁ、そうだな。さっきまで居た写工室よりはマシだ。まぁつっても、絶対に襲われないなんて事はねぇが」
「へぇ、あそこってシャコウシツっつーのか。知らなかったわ。鍵空いてるとこ見た事ねぇし。どうやって入ったんだ?あんなとこ」
「…あの部屋で昼寝する事があるんです。ドアの鍵は空いてませんが、上部にある窓から入ることが出来ることを知っていたので」
「へぇ〜、かわいい顔してやんちゃなんだな?授業はちゃんと出ねぇとダメだぜぇ。す〜ぐついていけなくなっちまうんだからなぁ。あ、つーかお前、学園からのスカウト枠だろ?明らかに高一に見えねぇしなぁ!なぁ、お前なんでこの学園に入れたんだ?お兄さんに教えてくれよ!」
「おい、少し声のボリューム落とせ。それと、今その話は」
「っち。うぜぇな」
「…え?」
左手に持っていた槍をヴォンッ!と音が鳴るほどに強く振り、真正面に座っていた桐生の首スレスレでピッタリと留めた。
「五月蝿ぇよクソが。調子に乗ってベラベラくっちゃべってんじゃねぇ。お前もスカウト枠だな?大方、剣道の腕買われて入ってきたんだろう。普通、槍は逆手で持つ。そっちの方が力が入る片手なら尚更な。だがお前は打ち手で握ってやがった。正しい握り方だ、竹刀であればな」
呆然としてるな、泣き面の次は間抜け面か。どれだけ醜態晒せば気が済むんだこいつ。
「判断材料はまだあるぜ。"授業はちゃんと出ねぇとダメだぜ。す〜ぐついていけなくなっちまうんだからなぁ。"どうしたよ、常々思ってるような言い方じゃねぇか。勉強は苦手みたいだな?偏差値60は余裕で超えてるこの学園に一般入試で入ったんならその科白が出るとは思えねぇ」
「まぁお前がどんな理由で入学して、何が不得意かなんてどうでもいい。俺の質問に正直に応えろ。お前、写工室に来る前に屍者に遭ってやがったな?」
「なっ!?」
馬鹿が。バレねぇとでも思ってんのか舐めすぎだ。この年でこの学園に入学出来てんだ。普通に考えて身体能力以外のなにかを期待されてスカウトされたって事くらい分かんだろ。まぁそれが"頭の良さ"であるかは定かじゃないがな。少なくともここで働いてるやつは教師だろうが保険医だろうが学歴が良い事は一般常識だ。つまり先生にバレることは覚悟の上で嘘くらいつけ。
「1つ。写工室に来るまでにアレに遭ったかと聞いた時、応えに少し間があったこと。
 2つ。1人も遭ってない、若しくは遭ってないだけで事足りるのにも拘らず、お前はあれには遭ってないと俺の言葉を繰り返したこと。
 3つ。その時に視線を右下にそらし、且つ口元を左手で覆ったこと。
 4つ。その後不自然に会話を逸らしたこと。
 5つ。先生は始末した、と言っただけ。だがお前は始末という言葉を殺したという言葉に結びつけた。まるで実際に見ていたかのようにな。
残り2つの理由で疑心は確信へと至った。まだ聞きたいか?」
「…」
話してる途中から俯いて動きが止まったんだが。さっきまでのテンションが嘘みてぇだな。
「無言は肯定ととってやるよ。
 6つ目。先生を凶弾してる最中、お前の表情は驚いてるっつーよりも、笑ってる様な印象を受けた。1人じゃない、仲間がいたとでも思ったかよ。
そして最後に。アレが死体だと先生の口から聞いた時のお前は明らかにホットして、安心してたからな。」
「……にが…」
「魅流、」
そだねせんせー。座ったままじゃちょっと危険か。1歩引いて間合いとっとこ。
「何が悪いってんだよっ!!!担任が襲われて!石田も首から血ぃ噴き出して!!次はオレが殺られるんじゃねぇかって必死で逃げたんだ!そしたらホントにっ。ああしなきゃオレが殺されてたかもしれねぇ!!殺られる前に殺って何が悪いんだよ!!馬鹿には生きる資格もねぇってのか!!剣道の腕は負ける!!勉強にはついていけねぇ!!!なんっなんだよちくしょうが!!!!」
…はぁ?何言ってんだこいつ。
「悪くなんかねぇよ」
「…………は?なん、だよ…。何言って」
「せんせーが言ったけどアレは死体だ。動く死体だ。だからそもそも生き物を殺してなんかいねぇ。殺られる前に殺るって考えも何も悪い事じゃねぇ。寧ろ自分の身も守れねぇグズよりは断然マシだ。」
誰も屍者を行動不能にした事に対しては何も言ってないだろ。話聞いてんのか?あと剣道の腕は才能は買われるくらいにはあるんだ。後は努力しかねぇだろ。勉強も同じだ。
「俺は屍者に遭遇していたかどうかを聞いたんだ。yesかnoで答えりゃ良かった。まぁその後はこう問う予定だったんだがな?"何故嘘を?"と」
「…俺と魅流は、写工室からここに移動する直前だったんだ。移動経路上に敵は存在するのか、唯それだけを知りたかった。だが、桐生は正直に答えることが出来なかった。それは俺達にとって、生きるか死ぬかに直結する問答だったんだよ」
「……っぁ」
「もう1度言うぞ。お前は悪くない。お前は正直者だ。罪悪感で押し潰されそうになっていたからこそのあの叫びなんだろう。何時もはつかない嘘を、咄嗟にあの場でついてしまったんだろう。お前は間違っただけだ。命がかかっている時に、選択を間違えてはいけない。だから」
-だからこれからは節度を持って、バレない嘘をつきましょう。
「……な、に言っ……。ぁぁあ、あはは。うわぁあぁぁああぁぁあぁっっ。」
何泣いてんだよ。笑うとこだろ、泣き笑いなんてどっちかにしろよ。いや笑えよ。
「ん?」
「…はぁ。ったく、最後はビシッと決めやがれってんだよ」
「いや、決めたでしょ。決めたつもりなんだけど。」
てか頭撫でてもらったの久しぶりな気がする。あとその笑った顔も随分久しぶりな感じ。もっと撫でるが良い。嫌いじゃないぞ。
「つかうるせぇよ。いや、外には漏れないと思うけど。ここ防音だし」
「今だけ泣かせといてやれ。いや…笑ってんのか?」
知らん。
「…ぃぃな、ぁんなに泣けて。ぁんなに笑えて」
あれ、せんせーに聞こえてたみたい。そんなに強く撫でたら頭禿げちゃうから〜。
「で、ようやく泣き止んだわけ」
現在時刻16:58。
あれから30分近く泣いてたんだけど。どんだけだよ。何がそんなに悲しかったんだい?年下に言ってごらん。
「う…。うる、せぇょ……」
顔あっかいな。そんなに恥ずかしいものかね?あ〜、まぁ思春期だしねぇ。恥ずかしいか。
「まぁそう言ってやるな、魅流。あぁそういや、桐生が泣いてる間食料と水を発見した。2日くらいはもつ量だな。水は水道水だが。今器に貯めてる」
「だからうるせぇって!!泣いたことはもう言うなよ!」
「「お前のが五月蝿い」」
はっ。弄りがいのあるやつ見つけたな。それと、剣道の腕を天川学園に買われてスカウトされた、と。直情型の正直者で、感情がしっかり表情に出る。初パーティメンバーとしては中々だな。
「まぁそういう訳だ。先ずはお互いの事を知るのが良いんじゃねぇか?」
「そだね、これから一緒に行動するんだし。ちゃんと知っとかないとね、お互い。まぁと言っても、桐生の事は大体把握したから、今更って感じなんだけど。そっちから何が質問ある?」
「…初めて、呼んだな。苗字で」
へぇ、気づいてたんだ。意外とこういうのって、桐生みたいな馬鹿なタイプの方が気づきやすいんだけどね。
「魅流は自分が認めた相手には名前か、愛称で呼ぶ。良かったな」
「…そ、っか。へへっ」
うわぁ嬉しそ犬みたい。尻尾が見える。てかせんせーの言葉遊びは流石だねぇ。認めた相手には名前か愛称。俺は苗字で読んだんだけど。良かったな、で上手く隠したな。
まぁお前のことは半分くらい認めてやるよ。これから頑張れ。因みにせんせーは愛称。
「まぁそれはわりとどうでもいいんだけど。質問、あるの?ないの?」
「あ!ある、あります!」
あんのかよ。つかさっきのだろ、これ。どこまで言うかねぇ、流石に全部は無理だわ。そこまでは信用してないし。せんせーは何処まで話してほしいって思ってんのかねぇ。俺の事は知ってるだろうに。
「さっきの続きなんだけどさ。魅流はスカウト枠、だよな?その理由、オレ分かったぜ!」
「…へぇ?聞かせてもらおうか」
いや聞く前から間違いだって分かってるけど。てかむり。前世の記憶があるから、なんて分かるわけねぇだろこれまでの会話だけで。
「推理力!だろ!」
…いやそんなドヤ顔で言われても。フラグだから。
まぁでも、思考力的な意味でならあながち…。
「25点」
「くっくっく」
肩震えてるよせんせー。確かにこんな馬鹿はこの学園ってか俺達の周りでは珍しいけど。
「25てん…ひく…」
「まぁ甘く採点してこれだから。かすってる感じなんだよねそれ」
「じゃ〜なんなんだよ〜。いいだろ別に教えてくれたって!」
程度によっては構わないけど、
「"お兄さんに教えてくれよ"って言わないんだ?」
「う"。いや、それは…その…。魅流の事年下に思えないっつうか。寧ろ年上っぽいっつうか…」
「お、40点」
それな。直感が鋭いな、桐生は。典型的な直情型だわマジで。犬っぽいし。こりゃ、その内バレる可能性があるなぁ。そん時にあれこれ言うより、今言った方が得策か。
「…俺は、孤児だ。いや、だったと言った方が正しいな。」
さぁ、俺の過去を語ろうじゃないか。
自分から自分の事を話す、なんて真似はせんせー以外じゃ、お前が初めてだぜ。
17:03。
仲間。
かこばな。
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