世界は何も変わらない。変わったものはルールだけ。
情報共有。終焉の狼煙。
ん、布が擦れる音。先生かな?
一応隠れておこう。違って見つかったら面倒くさいし。
「あぁ?んだあれどうなってやがる。潰れてんのか?
魅流は……」
お、良かった先生だ。
「せーんせ。来てくれてありがと」
ひょっこりとソファの影から顔を出す。
「なんだ、んなとこに隠れてやがったのか。無事なんだろうな?」
別に驚かせようと思ったわけじゃないけど、もうちょっとくらいびっくりしても良くね?せめて振りくらいしろってーの。
「無事に決まってんじゃん。知ってるでしょ、こういう事には慣れてるって。先生こそ…まぁ、先生は無事だよね、当然のように」
「俺は慣れてなんて無いんだがな」
いやいや。慣れていようがいまいが、俺が無事で先生が無事じゃないなんてありえない。筋肉マッチョの180cmと痩せ型の144cmだよ?熊と兎並に戦力差あるじゃん。
え?なんで兎かって?
俺の干支が兎だから。
「先生、手ぶらなんだね。とりあえずドアの鍵閉めてこっちまで来て。情報の共有、しよ」
「ん、あぁ」
 めっちゃ見るなぁ、それ。まぁそりゃ気になるだろうけど。仕方ないっちゃ、仕方ないか。
「それ、アレだよ。動く死体。頭潰したから、もう動かないだろうけど。あ、喋る時は小声でお願いね」
他のアレに見つかったらやばいし。
「頭潰した、だ?これお前がやったのか、魅流」
あれ、ちょっとなんかやばい雰囲気。雷落ちそ。
「そうだけど。だって先生呼んじゃったし。どうしたら動かなくなるのかっていう事も調べたかったから」
「フンっ!」
「っ〜〜いったぁぁ…。チョップは無いだろ。超痛いんだけど…」
あああぁ頭が割れる痛い。いや隣にリアルに頭潰れてるやつ居るんだけど。
「お前はまだ13歳なんだぞ分かってんのか?」
「いや、そりゃあ身体はそうだけどさぁ」
水上 魅流
性別:男  年齢:13
身長:144cm  体重:39kg
市立天川学園 1年生
特技:前世の記憶を持っている
天川 剛
性別:男  年齢:32
身長:180cm  体重:98kg
市立天川学園 保険医(専門 精神科)
特技:射撃、外科治療、力仕事、料理…etc.
「いくらこの学園に通ってるっつっても、お前はガキなんだから無理すんじゃ」
「ゥゥウウァァァア」
「「!?」」
え、なんでこいつ声出せてんの。頭潰してるはずなのに!?
「…潰れてねぇみてぇだな、頭。血は出ちゃいるが、ソファに埋まってて潰れたように見えてるだけだ」
…おっかしいな、感覚鈍った?にしたって、背骨がくの字にぶち折れてんのに動くかよ。あぁなるほど、動けるけど歩けねぇって?どっちにしろオーディオ退かさねぇ限り襲われる心配は無いだろうが、精神衛生上これは良くない。さてどうやって…。
「…っち。うるせぇな」
ミシミシミシミシ
ゴキャ
「…せんせーってあれだよね。俺が言うのも何だけど、容赦ないよね。嫌いじゃないけど」
オーディオに足乗せて頭蓋が砕けるまで力入れるなんて、出来ても普通はやらないんじゃないかなぁ?
「血には慣れてんだよ、保険医だからな。それと…、職員室に居た1体は俺が殺った」
へぇ。さっき言ってた通り、こんな状況に慣れてるわけじゃないのにねぇ。
「素手で対応したの?」
「なわけねぇだろ。得体の知れねぇやつに近づくほど馬鹿じゃねぇ。俺が職員室に行ったら、現国の高田先生が襲われてたんだ。首筋に噛み付かれてやがった。」
ふんふん。高田先生が噛まれた人ってわけね。
「普通じゃ無さそうだったからな。咄嗟に、近くにあったコピー機ぶん投げたんだが」
うわぁ。コピー機ぶん投げるって…豪快だなぁ。
「首折られてもお構い無しに襲い掛かってやがった。バイオハザードみてぇなもんだろってことで、蹴り倒して室内にあったでっけぇ冷蔵庫で押し潰した」
「容赦無いどころじゃなかったわ」
えっぐぅ。というか、コピー機と冷蔵庫を武器にして戦う人初めて見た。ヤベェな先生。
にしても、そこまで迅速に的確に処理できるものなのか?
あとこの学校って備品の大きさ尋常じゃないよね。さすが、お金持ち学園。
「ふーん、なるほどねぇ。ま、あとの2体の処理方法はどうでもいいや。重要じゃないし。せんせー記録見せて。」
「ん、あぁ。ほら。」
先生のスマホを受け取り、メモしてある記録を見ると、
----
高田 男 50代
右首筋 噛み傷
〜死 03.24
〜動 01.13
----
と書いてある。
まぁ、1人だけじゃ何とも言えないからな。個人差は有るだろうし、噛まれた場所によってもかかる時間が異なるかもしれないし。
「ありがと、返すね。余裕があるなら、これからもメモっていった方がいいだろうね。なにか規則性があるかもしれないし。」
「余裕があれば、な。」
「で、なんで生徒に避難呼びかけないの?集めた方が良いと思うけど。アレ、あー。なんか名前欲しいな。"屍者"でいいか。まだ校内を徘徊してる屍者、少なくとも1体は居ると思うし」
「"屍者"、ねぇ。つか、まだ居んのかよ。なんでそう思う?」
「ん、職員室の3体は全員教師だったんでしょ?誰かはどうでもいいんだけど、一番はじめの校内での被害者。どうやって屍者になったと思う?」
外部から入ってきたと考えるのが妥当だろ。で、外部から来たってことは、街もやばい状態…の直前。嵐の前の静けさって感じ。死の嵐だけど。
「…門を隔てて噛まれたって可能性もあるんじゃねぇか?3体の内、1体は体育担当の山橋先生だった。校内巡回も仕事の1つだからな。腕に噛まれた痕があったはずだ」
「その可能性も否めないね。ただこの状況で楽観的思考は捨てた方がいい。希望的観測に縋ると死を招くから。できるだけ悪い状況を想定して、対処法を模索すべきだ。
ま。現状思いつく中で最悪なのは、動物や虫も被害対象になるってことかな。人以外にも屍者になるって言うんなら、生存確率はぐっと下がる」
もしそうなら本当に、寿命で死ねる確率なんて数%あるのか?生き残るなんて無理ゲーだろ。
「そうだったら、どうすんだ?」
「…そだね。心中でもする?」
「アホか、誰が死ぬかよ。お前も殺させるわけねぇだろ。やっと俺の第1目標が達成できそうなんだぜ?」
「それまだ言ってたの」
俺に生きたいと思わせる、だったっけ?
よくやるよね。
「まぁそれは今はいいや。でさ、これからどうするかって話なんだけど。俺としては、この学園を暫くの拠点にしたいって思ってるんだよね。ここかなりの優良物件じゃん?」
お金持ち学園なだけあって、生活環境整ってるし。非常食含む飲食料の備蓄に、先生の仕事道具が揃った保健室。緊急避難時のシェルター、武器庫には銃もあるって聞いたことある。弓道部とか薙刀部があるから、大量に武器は確保できる。さらに警備員室には校内の安全を確認するための監視カメラの管理し…つ……。
「…前言撤回。ここはやめた方がいいね先生」
「あぁ、そうだな。ここには生活に必要なものとこれから必要になる武器類が揃いすぎてる。」
「それを求めて生存者がここに集まってくる。そうなったら最悪だありえない。パンデミックものの物語において、警戒すべき主な敵は2つ」
「「屍者と生者」」
はぁ〜、ほんとに面倒くさいな。何でこんなことになったんだか。事実は小説よりも奇なり、なんてよく言ったものだよね。
「であれば、どうすべきか…」
「俺の家は?」
「先生の家?あー、まぁ確かに先生の家にも銃あったよね。射撃得意って言ってたし。まぁそうだね、高層マンションの最上階、且つマンションの設備管理が出来るんだっけ。…あれ、先生の家ってそう考えると」
めっちゃ良くね?
「最上ランクの避難場所じゃん先生の自室。さっすが天川財閥の一員だね」
「ヤメろ、俺は養子だ。正員の奴らほどぶっ飛んじゃいねぇ」
「いや、充分常識外れだと思うけど」
たった一人の精神異常者の為に、与えられた職を捨てるなんて。そんな世間一般で異端とも言える二人を、ここの長である天川 優 学園長は「面白そうだから」なんて子供みたいな理由で囲うし。
なんなんだろ、頭いかれてんの?
「ん、決まりだね。じゃあさっそく」
ピンポンパンポーン
「前学園長がお見えになりました。皆さん、南体育館にお集まり下さい。」
前学園長?
これって確か…
「こりゃあれだな、校内に対応不可能な不審者が入ってきた場合の最終避難警告だ。事態はそれくらいヤベェって判断したんだろうな。」
「やっとか。まぁ屍者がどのくらい居るのかわからないから、とりあえず生徒を1箇所に集めた方が守りやすいって事かな。これ、生徒の誘導先は南じゃなくて北体育館だったよね。」
「あぁ。まぁ、相手は知能があるわけじゃねぇ。本能に従ってる感じだったから、この暗示は無意味だろうがな」
だよな。音に反応するんだったら、結局生徒をどこに誘導しても屍者は付いてくる。
「あぁ、本館が騒がしくなってきた。移動中のざわめきか、既に襲われての悲鳴なのか分からないけど。」
「帰る前に必要なものを集めなきゃならねぇな。俺の荷物は保健室にあるんだが」
「どの道保健室には行くつもりだったよ。先生の仕事道具とか、保健室の備品は必要だ。あとは飲食料と武器になるもの。先生、車の鍵は?」
「あ。」
ん?なに、あって。
…なんか嫌な予感がする。
なんで目そらしてんの?
「聞きたく無いんだけど。なーに、あっ。って?」
「…今日、二輪で来ちまった」
「……、センセ?」
「いや、スマン。…風に当たりたい、気分だったんだ」
「意味わかんないんだけど!?別にかっこよくもなんともないからね!?どうすんのマジで、え、荷物ほとんど乗せらんないじゃん!」
思わず叫んだわ!自分で小声でって言ったのに!!
うっそだろおい車の半分以下だろ積載量!?
早くも計画狂ったんだけど。
「…因みにどれくらい荷物乗せられるの」
「大型だが、魅流と仕事道具乗せたら…まぁ察しろ」
……ありえないっしょ。あぁもう色々と諦めるしかない。
「武器類は諦める。代わりに銃の弾だけ持ってくってのは?あとは飲食料を重点的に」
「…あぁ、そうだな。銃火器は弾の種類みて持っていくか判断するか。まぁ多くても2丁までだが」
「OK、なら」
キャァァァァァァ
うわぁァァァぁぁ!!!
「あぁ、始まったみたいだ。いや終わりはじめたって言った方が正しいのかな?」
14:30。
混乱と混沌。
終わりの始まり。
一応隠れておこう。違って見つかったら面倒くさいし。
「あぁ?んだあれどうなってやがる。潰れてんのか?
魅流は……」
お、良かった先生だ。
「せーんせ。来てくれてありがと」
ひょっこりとソファの影から顔を出す。
「なんだ、んなとこに隠れてやがったのか。無事なんだろうな?」
別に驚かせようと思ったわけじゃないけど、もうちょっとくらいびっくりしても良くね?せめて振りくらいしろってーの。
「無事に決まってんじゃん。知ってるでしょ、こういう事には慣れてるって。先生こそ…まぁ、先生は無事だよね、当然のように」
「俺は慣れてなんて無いんだがな」
いやいや。慣れていようがいまいが、俺が無事で先生が無事じゃないなんてありえない。筋肉マッチョの180cmと痩せ型の144cmだよ?熊と兎並に戦力差あるじゃん。
え?なんで兎かって?
俺の干支が兎だから。
「先生、手ぶらなんだね。とりあえずドアの鍵閉めてこっちまで来て。情報の共有、しよ」
「ん、あぁ」
 めっちゃ見るなぁ、それ。まぁそりゃ気になるだろうけど。仕方ないっちゃ、仕方ないか。
「それ、アレだよ。動く死体。頭潰したから、もう動かないだろうけど。あ、喋る時は小声でお願いね」
他のアレに見つかったらやばいし。
「頭潰した、だ?これお前がやったのか、魅流」
あれ、ちょっとなんかやばい雰囲気。雷落ちそ。
「そうだけど。だって先生呼んじゃったし。どうしたら動かなくなるのかっていう事も調べたかったから」
「フンっ!」
「っ〜〜いったぁぁ…。チョップは無いだろ。超痛いんだけど…」
あああぁ頭が割れる痛い。いや隣にリアルに頭潰れてるやつ居るんだけど。
「お前はまだ13歳なんだぞ分かってんのか?」
「いや、そりゃあ身体はそうだけどさぁ」
水上 魅流
性別:男  年齢:13
身長:144cm  体重:39kg
市立天川学園 1年生
特技:前世の記憶を持っている
天川 剛
性別:男  年齢:32
身長:180cm  体重:98kg
市立天川学園 保険医(専門 精神科)
特技:射撃、外科治療、力仕事、料理…etc.
「いくらこの学園に通ってるっつっても、お前はガキなんだから無理すんじゃ」
「ゥゥウウァァァア」
「「!?」」
え、なんでこいつ声出せてんの。頭潰してるはずなのに!?
「…潰れてねぇみてぇだな、頭。血は出ちゃいるが、ソファに埋まってて潰れたように見えてるだけだ」
…おっかしいな、感覚鈍った?にしたって、背骨がくの字にぶち折れてんのに動くかよ。あぁなるほど、動けるけど歩けねぇって?どっちにしろオーディオ退かさねぇ限り襲われる心配は無いだろうが、精神衛生上これは良くない。さてどうやって…。
「…っち。うるせぇな」
ミシミシミシミシ
ゴキャ
「…せんせーってあれだよね。俺が言うのも何だけど、容赦ないよね。嫌いじゃないけど」
オーディオに足乗せて頭蓋が砕けるまで力入れるなんて、出来ても普通はやらないんじゃないかなぁ?
「血には慣れてんだよ、保険医だからな。それと…、職員室に居た1体は俺が殺った」
へぇ。さっき言ってた通り、こんな状況に慣れてるわけじゃないのにねぇ。
「素手で対応したの?」
「なわけねぇだろ。得体の知れねぇやつに近づくほど馬鹿じゃねぇ。俺が職員室に行ったら、現国の高田先生が襲われてたんだ。首筋に噛み付かれてやがった。」
ふんふん。高田先生が噛まれた人ってわけね。
「普通じゃ無さそうだったからな。咄嗟に、近くにあったコピー機ぶん投げたんだが」
うわぁ。コピー機ぶん投げるって…豪快だなぁ。
「首折られてもお構い無しに襲い掛かってやがった。バイオハザードみてぇなもんだろってことで、蹴り倒して室内にあったでっけぇ冷蔵庫で押し潰した」
「容赦無いどころじゃなかったわ」
えっぐぅ。というか、コピー機と冷蔵庫を武器にして戦う人初めて見た。ヤベェな先生。
にしても、そこまで迅速に的確に処理できるものなのか?
あとこの学校って備品の大きさ尋常じゃないよね。さすが、お金持ち学園。
「ふーん、なるほどねぇ。ま、あとの2体の処理方法はどうでもいいや。重要じゃないし。せんせー記録見せて。」
「ん、あぁ。ほら。」
先生のスマホを受け取り、メモしてある記録を見ると、
----
高田 男 50代
右首筋 噛み傷
〜死 03.24
〜動 01.13
----
と書いてある。
まぁ、1人だけじゃ何とも言えないからな。個人差は有るだろうし、噛まれた場所によってもかかる時間が異なるかもしれないし。
「ありがと、返すね。余裕があるなら、これからもメモっていった方がいいだろうね。なにか規則性があるかもしれないし。」
「余裕があれば、な。」
「で、なんで生徒に避難呼びかけないの?集めた方が良いと思うけど。アレ、あー。なんか名前欲しいな。"屍者"でいいか。まだ校内を徘徊してる屍者、少なくとも1体は居ると思うし」
「"屍者"、ねぇ。つか、まだ居んのかよ。なんでそう思う?」
「ん、職員室の3体は全員教師だったんでしょ?誰かはどうでもいいんだけど、一番はじめの校内での被害者。どうやって屍者になったと思う?」
外部から入ってきたと考えるのが妥当だろ。で、外部から来たってことは、街もやばい状態…の直前。嵐の前の静けさって感じ。死の嵐だけど。
「…門を隔てて噛まれたって可能性もあるんじゃねぇか?3体の内、1体は体育担当の山橋先生だった。校内巡回も仕事の1つだからな。腕に噛まれた痕があったはずだ」
「その可能性も否めないね。ただこの状況で楽観的思考は捨てた方がいい。希望的観測に縋ると死を招くから。できるだけ悪い状況を想定して、対処法を模索すべきだ。
ま。現状思いつく中で最悪なのは、動物や虫も被害対象になるってことかな。人以外にも屍者になるって言うんなら、生存確率はぐっと下がる」
もしそうなら本当に、寿命で死ねる確率なんて数%あるのか?生き残るなんて無理ゲーだろ。
「そうだったら、どうすんだ?」
「…そだね。心中でもする?」
「アホか、誰が死ぬかよ。お前も殺させるわけねぇだろ。やっと俺の第1目標が達成できそうなんだぜ?」
「それまだ言ってたの」
俺に生きたいと思わせる、だったっけ?
よくやるよね。
「まぁそれは今はいいや。でさ、これからどうするかって話なんだけど。俺としては、この学園を暫くの拠点にしたいって思ってるんだよね。ここかなりの優良物件じゃん?」
お金持ち学園なだけあって、生活環境整ってるし。非常食含む飲食料の備蓄に、先生の仕事道具が揃った保健室。緊急避難時のシェルター、武器庫には銃もあるって聞いたことある。弓道部とか薙刀部があるから、大量に武器は確保できる。さらに警備員室には校内の安全を確認するための監視カメラの管理し…つ……。
「…前言撤回。ここはやめた方がいいね先生」
「あぁ、そうだな。ここには生活に必要なものとこれから必要になる武器類が揃いすぎてる。」
「それを求めて生存者がここに集まってくる。そうなったら最悪だありえない。パンデミックものの物語において、警戒すべき主な敵は2つ」
「「屍者と生者」」
はぁ〜、ほんとに面倒くさいな。何でこんなことになったんだか。事実は小説よりも奇なり、なんてよく言ったものだよね。
「であれば、どうすべきか…」
「俺の家は?」
「先生の家?あー、まぁ確かに先生の家にも銃あったよね。射撃得意って言ってたし。まぁそうだね、高層マンションの最上階、且つマンションの設備管理が出来るんだっけ。…あれ、先生の家ってそう考えると」
めっちゃ良くね?
「最上ランクの避難場所じゃん先生の自室。さっすが天川財閥の一員だね」
「ヤメろ、俺は養子だ。正員の奴らほどぶっ飛んじゃいねぇ」
「いや、充分常識外れだと思うけど」
たった一人の精神異常者の為に、与えられた職を捨てるなんて。そんな世間一般で異端とも言える二人を、ここの長である天川 優 学園長は「面白そうだから」なんて子供みたいな理由で囲うし。
なんなんだろ、頭いかれてんの?
「ん、決まりだね。じゃあさっそく」
ピンポンパンポーン
「前学園長がお見えになりました。皆さん、南体育館にお集まり下さい。」
前学園長?
これって確か…
「こりゃあれだな、校内に対応不可能な不審者が入ってきた場合の最終避難警告だ。事態はそれくらいヤベェって判断したんだろうな。」
「やっとか。まぁ屍者がどのくらい居るのかわからないから、とりあえず生徒を1箇所に集めた方が守りやすいって事かな。これ、生徒の誘導先は南じゃなくて北体育館だったよね。」
「あぁ。まぁ、相手は知能があるわけじゃねぇ。本能に従ってる感じだったから、この暗示は無意味だろうがな」
だよな。音に反応するんだったら、結局生徒をどこに誘導しても屍者は付いてくる。
「あぁ、本館が騒がしくなってきた。移動中のざわめきか、既に襲われての悲鳴なのか分からないけど。」
「帰る前に必要なものを集めなきゃならねぇな。俺の荷物は保健室にあるんだが」
「どの道保健室には行くつもりだったよ。先生の仕事道具とか、保健室の備品は必要だ。あとは飲食料と武器になるもの。先生、車の鍵は?」
「あ。」
ん?なに、あって。
…なんか嫌な予感がする。
なんで目そらしてんの?
「聞きたく無いんだけど。なーに、あっ。って?」
「…今日、二輪で来ちまった」
「……、センセ?」
「いや、スマン。…風に当たりたい、気分だったんだ」
「意味わかんないんだけど!?別にかっこよくもなんともないからね!?どうすんのマジで、え、荷物ほとんど乗せらんないじゃん!」
思わず叫んだわ!自分で小声でって言ったのに!!
うっそだろおい車の半分以下だろ積載量!?
早くも計画狂ったんだけど。
「…因みにどれくらい荷物乗せられるの」
「大型だが、魅流と仕事道具乗せたら…まぁ察しろ」
……ありえないっしょ。あぁもう色々と諦めるしかない。
「武器類は諦める。代わりに銃の弾だけ持ってくってのは?あとは飲食料を重点的に」
「…あぁ、そうだな。銃火器は弾の種類みて持っていくか判断するか。まぁ多くても2丁までだが」
「OK、なら」
キャァァァァァァ
うわぁァァァぁぁ!!!
「あぁ、始まったみたいだ。いや終わりはじめたって言った方が正しいのかな?」
14:30。
混乱と混沌。
終わりの始まり。
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