異世界のバハムート

ロマノフ

第12章 空の王

なんともいえない。生臭い空気が当たりに漂った。だか、誰も壊そうとはしなかった。この生臭さを飲み込まなければならないと判断したからだ。僕はそう思ってた。みんなもそうだったと今でも思ってる。勝手に思ってる。

カエデ「なぁ、」

皆が曲がった首をあげた。

カエデ「これから、どうなるんだ。」

皆は黙ったままだった。1番触れられたくない会話だったからだ。

シーナ「私は、」

シズク「まっ、まさか!ここで解散なんてことはないよね?!」

シーナ「でも、私は、」

シーナ「私は、みんなを傷つけたくない。」

シーナは伏せた目に涙を滲ませ続けた。

シーナ「私、これからどうなるか何となく分かるの。
私、きっとこのままだと、私が私じゃなくなる気がするの。もっと大きな存在が、私の中にいるの。そいつがずっと私の方を見て何か言っているの。
ただ、それの声が聞こえた時、私は消えてなくなるんだわ。
それだけは分かるの。」

黒く、巨大な鉄球がまるで頭上にあるかのような空気に包まれた。
まるで、シーナに返す言葉がなくなった。

カエデ「シーナ、」

シズク「そんなことないよ!シーナだってきっと、、、」

その言葉を切り裂くようにシーナは振り切るように言葉を吐いた。

シーナ「じゃあ!これからどうなるのよ!見てたからわかるわ!あのおぞましい力は私には扱いきれない!いつか、なにかあってからじゃあ、もう何も出来ない、、
貴方達を傷つけたくない。」

カエデは抑えきれず反論をしようとした。口を開いた刹那、激昴したのはシズクだった。
シズク「ふざけないでよ!!」

皆が驚いた。

シズク「なんでそうも1人で抱え込むの!」

ドンッ!

シズクは机を叩いた。机は木くずと成り果てた。

シズクの幼い手は黒く強固な迄に硬化していた。

すると、

病院の窓から妙な陰りを感じた。

緊迫した空気はあまり長くは続かなかった。

シズク「あんたらを守る為に私は生きるって決めたんだよ!!」

シズクがそういうと病院の窓から黒い大きな機体が見えた。
まもなくその黒い機体は病院へとめり込んだ。

崩れ落ちる病室、粉々になる窓ガラス。
突風が吹き荒びカエデは思わず尻もちをついた。

カエデ「な、なんなんだ?!?」

アルエ「あれは、神聖レムス帝国の戦闘用機甲兵だ。」

厨二地味たその名をいいながら、アルエは小さな光の粒を纏い、その光は最初に見た光沢のある鎧へと変わった。

アルエ「少々厄介な敵になる。お前はシーナを連れて.........。」

そう言い終える少し前に、
シズクは大きく飛び出し、拳を振り上げ、大きな鉛のような機体に叩き込んだ。
鋭い機械音と、火花が飛び交い。
その機体は大きく後方へと仰け反った。

シズクは既に予想をしていたのだ。
焦げた鉄と、大量の火薬の匂い。
仰向けに倒れたその大雑把に人型を象った機体からは、どこからともなく機関銃を打ち始めた。

辺りの瓦礫が、より一層に細切れになり始めると同時に銃弾を無事皆避けることができた。

病院の広い庭へと場所を変え、戦闘体制を整える。

アルエ「どうやら、レムスの連中は早速嗅ぎつけたようだな。」

カエデはシーナを抱えたまま必死に臨戦態勢を続けていた。

倒れた機体はすぐさま再起動。煙と火花を吐き、機械音を激しく鳴らし大きな機体を建て直した。

カエデ「中に人はいるのか!?」

アルエ「いや、かつてはいた。という方が無難だな。」

シーナ「外見は機械だけど、中身は元々巨人よ。」

シーナはカエデの手から降りると、杖を呼び出し、構えた。

シーナ「滅びた巨人族の遺体を、人間と融合させて、人の意思で動かしてるの。」

カエデ「そ、そんな!エヴァ〇リオンみたいな。」

カエデのツッコミは、小機関銃によって遮られた。

各々が避ける中、カエデは走って避けた。

アルエ「おい!早く武器をとれ!」

カエデ「はぁっ?武器を取るってそんな無茶な!」

アルエ「武器の名前も知らないのか?!」

シーナ「そ、そうだったわ。こいつ。。。」

カエデ「こいつっていうな!」

シズク「そんなら、早く倒さないとね!!」







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