僕達は《神に戦い》を挑む。
第五話 出くわす敵
散歩というのは本当にごく普通の散歩だった。ただアイカと二人で街を歩けという指示だった。
「それで、マヒロはどこにエスコートしてくれるのかしら?」
「そうだなぁ、あの店とかどうだ?」
「いらっしゃいませ。お二人様ですね。こちらへどうぞ。」
店員が機械のようにマニュアル通りの台詞を言って、席まで案内してくれた。
「わぁー。綺麗な海。よくこんなところ知ってるわね。」
「いや、見つけたからここにしたんだが......気に入ってくれてよかった。」
「ご注文は何にいかがなさいますか?」
俺はパッと見、おすすめと書かれてあるビーフステーキを頼んだ。
アイカはデミグラスソースのオムライスを頼んだ。やっぱり味覚子供じゃないか。
「それにしてもモモ、ここが本当に気に入ったんだな。」
「うん。だって美味しいんだもん。それにカナリアちゃんにも食べて欲しかったし。」
「可愛い妹の為にも、美味しく食べてあげなきゃね。」
「私の為じゃなくて、レストランの為に美味しく食べて欲しいな…...。」
俺はつい最近聞いたはずの声を聞き、即座に椅子を盾に体を隠した。
「マヒロ?どうし......。」
「しぃー!」
俺はアイカの台詞に台詞を被せ、黙らせた。
聞き間違いかとそーっと椅子から顔を覗かせると、見た事のある冴えない男と桃色の髪をした美少女がそこにはいた。
「なんであいつらがここに......?」
いや恐らく普通に飯を食いに来ただけなんだろうが、それにしてもなんだこの偶然。
アイカには悪いけどオムライスもビーフステーキもキャンセルしてここから出よう。
「なあ。アイカ。」
「それにしても、ここのオムライスはどんな味がするのかしら、とても楽しみだわ。」
言えるかァァァ!そんな満面の笑みで楽しみにしてるのにキャンセルなんて言えるかァァァ!
いやここはトイレにでも言って逃げよう。後でアイカに謝ればいいし。
「ごめん。ちょっとおれトイレ。」
「え?でも今おトイレの前にもの凄い行列が......。」
なんでだよ!店の外に行列ないのに中で行列ってなんなんだよ!てか、周り見たら俺らとあいつらしかいねーじゃん!全員一斉にトイレ言ってんじゃねーよ!
「お待たせしました。デミグラスソースのオムライスにビーフステーキでございます。」
タイミングよすぎるぞこの店員!狙ってたのか!?マニュアルにそう書いてあるのか!?
「あれ、マヒロおトイレは?」
「......いや、我慢する。」
くそ、どうにかして策を考えねば。このビーフステーキを食ってから......。いやでもやっぱり、ビーフステーキ食ってから......。
「あれ?あそこの人。」
桃色の髪の女が発した。
まずい!気付かれたか!?
「叔母さんに似てる〜。」
ガタンっという音を立て、俺は椅子から落ちてしまった。
「マヒロ!?大丈夫!?」
「大丈夫。大丈夫。」
......バレなさそうだし、とりあえずビーフステーキ食うか。
その後、本当にバレなくて、安心した気持ちもあり、あいつらを卑下する気持ちも生まれた。
「次はどこに行くのかしら?」
「そうだなぁ、あの店とかどうだ?」
俺が指差したのは外から見ると、とても綺麗だオシャレな服屋だった。
「あら、マヒロがプレゼントしてくれるの?」
「まだ初任給も貰ってねぇよ。」
俺らは服屋に入り、アイカがワンピースが欲しいと言ったので、気に入った服を手に取り、試着し始めた。
「ふーん。今はこんな服が流行っているんだー。」
「!?」
つい最近聞いたはずの声を再び聞き、その方を向くと、そこには小麦色の髪をポニーテールに結んだ女がいた。
「なんでこうも会いたくない奴に会うんだよ!」
と、小声で叫んだ。
アイカには悪いが、こんな狭い店じゃ絶対に見つかる。今すぐにでも出よう。
「マヒロ。どう?似合うかしら?」
タイミングよくアイカは試着を終え、しかも俺の名前を呼びやがった。
俺はビクビクしながら女を見ると、まだ気付いていない様子だ。
「アイカ、あんまり俺の名前を大声で呼ばないでくれ。」
「ムッ。私は似合っているかを聞いたのよ?まずその感想を言ったらどうかしら。」
「今、それどころじゃないんだよ。」
「失礼しちゃうわ。こうなったらマヒロが似合ってるって言うまで服を選ぶわよ。」
「え?ちょっと待って!」
アイカは試着室から出て、次の服を手に取り、再び試着室に入った。
「兄ちゃん。悪いけど店番頼めないかい?」
「は?今なんて?」
そこには四十代ぐらいの女店員がいて、俺に店番を頼んでいる姿があった。
「いやでも、レジとか打てないし。」
「大丈夫、大丈夫。客なんか来やしないから。じゃ、よろしく。」
「あ、ちょっと!」
女店員は駆け足で店を出ていった。まるで、俺と女を合わせようとマニュアルに書いてあるように。
「てか、客いるんだけど......。」
「あの、すいません。」
「は、はひ!」
「?」
ポニーテールの女はタイミングよく、店番をしていた俺に尋ねてきた。
ど、どうしよう。このままじゃバレる。
あ、サングラスがある。こんなんで誤魔化せられるか不安だが、これしか方法はない。
俺はサングラスを掛け、出来るだけ声を低くして、ダンディーに話しかけた。
「な、なんだい?少女よ。」
「あの、こっちの服とこっちの服。どっちのが似合いますかね。」
正直どっちでもいい。早くどこかに行ってほしい。......けど強いて言うなら俺は
「こっちの青のフリルの付いた服の方が、君に似合っているよ。」
「本当ですか!?じゃあこっちにします。お代は......。」
「いや、お代はいい。」
「え?でも......。」
「君みたいな可愛い子に着れられて、この服も幸せだろう。......だから、いらないのさ。」
「ありがとうございます!大切にしますね!」
女は嬉しそうにスキップで外に出ていった。
ふぅ。なんとか誤魔化せてよかった。
俺は試着室を見ると着替えた服のまんま、怒っているアイカの姿を目にした。
「私の格好を褒めるどころか、見もしないで、他の人を褒めるなんてひどいわ!」
アイカは外に怒ったまま走って出ていった。
ていうかそれは窃盗なのでは?
「それで、マヒロはどこにエスコートしてくれるのかしら?」
「そうだなぁ、あの店とかどうだ?」
「いらっしゃいませ。お二人様ですね。こちらへどうぞ。」
店員が機械のようにマニュアル通りの台詞を言って、席まで案内してくれた。
「わぁー。綺麗な海。よくこんなところ知ってるわね。」
「いや、見つけたからここにしたんだが......気に入ってくれてよかった。」
「ご注文は何にいかがなさいますか?」
俺はパッと見、おすすめと書かれてあるビーフステーキを頼んだ。
アイカはデミグラスソースのオムライスを頼んだ。やっぱり味覚子供じゃないか。
「それにしてもモモ、ここが本当に気に入ったんだな。」
「うん。だって美味しいんだもん。それにカナリアちゃんにも食べて欲しかったし。」
「可愛い妹の為にも、美味しく食べてあげなきゃね。」
「私の為じゃなくて、レストランの為に美味しく食べて欲しいな…...。」
俺はつい最近聞いたはずの声を聞き、即座に椅子を盾に体を隠した。
「マヒロ?どうし......。」
「しぃー!」
俺はアイカの台詞に台詞を被せ、黙らせた。
聞き間違いかとそーっと椅子から顔を覗かせると、見た事のある冴えない男と桃色の髪をした美少女がそこにはいた。
「なんであいつらがここに......?」
いや恐らく普通に飯を食いに来ただけなんだろうが、それにしてもなんだこの偶然。
アイカには悪いけどオムライスもビーフステーキもキャンセルしてここから出よう。
「なあ。アイカ。」
「それにしても、ここのオムライスはどんな味がするのかしら、とても楽しみだわ。」
言えるかァァァ!そんな満面の笑みで楽しみにしてるのにキャンセルなんて言えるかァァァ!
いやここはトイレにでも言って逃げよう。後でアイカに謝ればいいし。
「ごめん。ちょっとおれトイレ。」
「え?でも今おトイレの前にもの凄い行列が......。」
なんでだよ!店の外に行列ないのに中で行列ってなんなんだよ!てか、周り見たら俺らとあいつらしかいねーじゃん!全員一斉にトイレ言ってんじゃねーよ!
「お待たせしました。デミグラスソースのオムライスにビーフステーキでございます。」
タイミングよすぎるぞこの店員!狙ってたのか!?マニュアルにそう書いてあるのか!?
「あれ、マヒロおトイレは?」
「......いや、我慢する。」
くそ、どうにかして策を考えねば。このビーフステーキを食ってから......。いやでもやっぱり、ビーフステーキ食ってから......。
「あれ?あそこの人。」
桃色の髪の女が発した。
まずい!気付かれたか!?
「叔母さんに似てる〜。」
ガタンっという音を立て、俺は椅子から落ちてしまった。
「マヒロ!?大丈夫!?」
「大丈夫。大丈夫。」
......バレなさそうだし、とりあえずビーフステーキ食うか。
その後、本当にバレなくて、安心した気持ちもあり、あいつらを卑下する気持ちも生まれた。
「次はどこに行くのかしら?」
「そうだなぁ、あの店とかどうだ?」
俺が指差したのは外から見ると、とても綺麗だオシャレな服屋だった。
「あら、マヒロがプレゼントしてくれるの?」
「まだ初任給も貰ってねぇよ。」
俺らは服屋に入り、アイカがワンピースが欲しいと言ったので、気に入った服を手に取り、試着し始めた。
「ふーん。今はこんな服が流行っているんだー。」
「!?」
つい最近聞いたはずの声を再び聞き、その方を向くと、そこには小麦色の髪をポニーテールに結んだ女がいた。
「なんでこうも会いたくない奴に会うんだよ!」
と、小声で叫んだ。
アイカには悪いが、こんな狭い店じゃ絶対に見つかる。今すぐにでも出よう。
「マヒロ。どう?似合うかしら?」
タイミングよくアイカは試着を終え、しかも俺の名前を呼びやがった。
俺はビクビクしながら女を見ると、まだ気付いていない様子だ。
「アイカ、あんまり俺の名前を大声で呼ばないでくれ。」
「ムッ。私は似合っているかを聞いたのよ?まずその感想を言ったらどうかしら。」
「今、それどころじゃないんだよ。」
「失礼しちゃうわ。こうなったらマヒロが似合ってるって言うまで服を選ぶわよ。」
「え?ちょっと待って!」
アイカは試着室から出て、次の服を手に取り、再び試着室に入った。
「兄ちゃん。悪いけど店番頼めないかい?」
「は?今なんて?」
そこには四十代ぐらいの女店員がいて、俺に店番を頼んでいる姿があった。
「いやでも、レジとか打てないし。」
「大丈夫、大丈夫。客なんか来やしないから。じゃ、よろしく。」
「あ、ちょっと!」
女店員は駆け足で店を出ていった。まるで、俺と女を合わせようとマニュアルに書いてあるように。
「てか、客いるんだけど......。」
「あの、すいません。」
「は、はひ!」
「?」
ポニーテールの女はタイミングよく、店番をしていた俺に尋ねてきた。
ど、どうしよう。このままじゃバレる。
あ、サングラスがある。こんなんで誤魔化せられるか不安だが、これしか方法はない。
俺はサングラスを掛け、出来るだけ声を低くして、ダンディーに話しかけた。
「な、なんだい?少女よ。」
「あの、こっちの服とこっちの服。どっちのが似合いますかね。」
正直どっちでもいい。早くどこかに行ってほしい。......けど強いて言うなら俺は
「こっちの青のフリルの付いた服の方が、君に似合っているよ。」
「本当ですか!?じゃあこっちにします。お代は......。」
「いや、お代はいい。」
「え?でも......。」
「君みたいな可愛い子に着れられて、この服も幸せだろう。......だから、いらないのさ。」
「ありがとうございます!大切にしますね!」
女は嬉しそうにスキップで外に出ていった。
ふぅ。なんとか誤魔化せてよかった。
俺は試着室を見ると着替えた服のまんま、怒っているアイカの姿を目にした。
「私の格好を褒めるどころか、見もしないで、他の人を褒めるなんてひどいわ!」
アイカは外に怒ったまま走って出ていった。
ていうかそれは窃盗なのでは?
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