僕達は《神に戦い》を挑む。

結城 翔

第四話 就職

 再び目覚めた場所の景色は一日目と同じ景色だった。横にはアイカがいて、ドアの近くには老紳士がいた。

「起きたのね。マヒロ。」

「ああ。......ってあれ?傷がない。」

「傷は私の知り合いのお医者様に治して頂いたのよ。」

「すげぇな。一日で治ったのか。」

「昨日はお医者様が出張でいなくて、朝一で来てもらって治して貰ったの。」

「ありがとう。......それで。」

 俺はドアの方にいる老紳士に向き、話を切り出した。

「昨日約束した俺が言う事を聞くってやつ。俺は何をすればいいんですか?」

 老紳士は一度腰を折り、礼をしてから、話し始めた。それから衝撃的な言葉を発せられ、俺は呆気に取られてしまった。







「な、なんで俺が、こんな格好を。」

 頭の上にワナワナという言葉が浮かびそうな程、怒りを出していた。

「まあまあ。似合っているわよ。」

 老紳士が俺に出した話は、俺を執事としてこの城に雇うという話であった。

「あの人の考えてることも分かんねぇな。なんで俺なんかを王の執事にしたんだろうな。」

「きっとシキ爺にも考えがあるのよ。......マヒロ。私、喉が渇いたわ。飲み物持ってきて。」

「はぁぁ!?なんで俺が!」

「だってマヒロは私の執事なのよ?当たり前じゃない。」

 俺は嫌々仕方なく冷蔵庫の方に行き、オレンジジュースをコップに注いで持ってきた。

「ほらよ。」

「......一応聞くけどなんでオレンジジュースなのかしら?」

「いやだってお前、味覚が子供っぽそうじゃん。昨日カレー美味しそうに食ってたし。」

 するとアイカはため息をついて、こちらを向き直しにこにこと笑っていた。

「紅茶を持ってきてくれるかしら?」

「いや、持ってきたんだからこれ飲めよ。」

「こ、う、ちゃ、を持ってきてくれるかしら?」

「......分かったよ。」

 俺は茶葉を探しに部屋を出た。しかし、デカすぎる城はどこに何があるのかが俺にはさっぱりだった。
 俺は部屋に戻り、アイカに確認を取ろうとした。

「おーい。茶葉ってどこに......っておい。オレンジジュース飲んでんじゃねーか。」

「だって勿体無いじゃない。」

「じゃあなんで行かせたんだよ。」

「マヒロをこき使えるってなんか凄く楽しいんだもの。」

「天然ドSが!」

 アイカは言われた台詞に何のことかと、首を傾けた。
 ドアにノックの音が聞こえ、俺とアイカはドアの方を見る。

「入っていいわよ。」

「失礼します。......神崎マヒロはいらっしゃるでしょうか。」

「ニシキウチさん。なんですか?」

 この老紳士、さっき自己紹介されたがニシキウチという名前らしい。

「マヒロ。お前にはこれからアイカ様と散歩に行ってもらう。」

「は?」

 またなんか嫌な事が起きそうな予感がしたが、思えばすることはただの散歩だから大丈夫......だよな?

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