僕達は《神に戦い》を挑む。
第三話 王城の庭
自己紹介をし終わった神崎マヒロは恐らく執事だろう老紳士に出された紅茶を飲み、王と楽しく会話していた。
「悪いな。俺なんかの為に。」
「いえ。そんな。王として市民が困っているのを見過ごせませんから。」
「へぇー。そりゃうちの王様は優しいお方なこった。」
朝霧アイカはにこにこしながら、一緒に紅茶を飲んでいた。
「そういや君何歳?」
「君ではなく、アイカと呼んでください。私は十四歳ですよ。マヒロ様は?」
「じゃあ、俺もマヒロって呼んでくれよ。俺は十六歳。年も近いしタメ口でいいぜ。......って王に対して俺がタメ口って失礼だよな。」
「ううん。いいのよ。私、年の近い友達っていなくて......。よければ、私とお友達にな、なりま、せん......か?......マヒロ。」
「ああ。もちろんだ。友達になるのに許可なんか要らねぇよ。」
「ほ、本当!?」
「本当、本当。」
「ふふっ。ありがとう。マヒロ。......あ、そうだ!私、今日はもう仕事がないの。よければ城内を案内するわ。」
「それじゃあお願いするよ。城内ってどんなのか気になってたんだよ。」
俺とアイカは急いで紅茶を飲み干し、その場から立ち上がった。老紳士はドアを開け、どうぞと言わんばかりの顔と姿勢だ。
「まずは、玉座を案内するわ。」
こうして、城内を色々案内された。中々面白く、興味深い者ばかりがあった。
楽しい一日だったと、心から言える充実した日だった。────アイカのこの一言で全てを思い出さなければ。
「そう言えばマヒロ。」
「ん?」
「昨晩、何でマヒロはあんな所で倒れていたのかしら。」
この一言で全てを思い出し、全てが繋がった。何故この場にいるのかを。
「っ!しまった!忘れていた!これじゃ皆が!」
「マヒロ!?」
俺はその場から駆け出し、急いで外に出た。そこは城の裏にある庭のようだった。
大切な事を忘れてしまうほど、楽しんでしまった。
「お待ちくだされ。」
俺は門は逆だと気付き、後ろを振り返るとそこには老紳士が姿勢を正しくして、俺の前に立っていた。
「どいて下さい。俺は急いで行かなくちゃならないんだ。」
「そんな急用なのでらっしゃるのですか?」
「はい。俺は忘れちゃいけない急用を思い出しました。そこに行って皆を助けなきゃ行けません。」
「それはいつからの話ですか?」
「? 先月からですが......。」
「では、今急いで助けに行っても、明日助けに行っても状況は変わらないでしょう。」
「っ!それはっ......!」
正論を言われた。確かにその通りだ。俺は正論に反論が出来なかった。屁理屈を言っても、また反論で返されるだけだろうとも悟った。......だが。
「状況が変わるのが今日かもしれないってのに、ここで黙っていることなんて!俺には出来ない!」
俺は自分の意思を、魂を主張するかのような声で、表情で、全力で叫んだ。
それでも、引かないのは向こうも同じだった。
「今、行くよりも、怪我を治してから......万全な状態で向かった方がいいのでは?」
老紳士は言い直した。万全な状態で、と。まるで俺がどこに行くのかが分かっているかのように。
アイカは心配そうにこちらを見ているだけで、俺の状況には気付いていないようだ。ということはこの老紳士だけが知っているということなのか。
俺がそんな思考をしていると、老紳士は話し出した。
「では、こう致しましょう。私と戦い、倒すことが出来たらここを通しましょう。ですが、あなたが倒されれば私の言う事を一つ、聞いてもらいましょう。」
「シキ爺!それはっ!」
「いいぜ。話が早くて助かる。」
「マヒロ!?」
「申し訳ございません。武器は私が取り上げておりました。王の前故、危険物は取り除かなければならないので。お返しします。」
「いや大丈夫だ。そんな事だろうと思ってたよ。......武器、全部投げてくれ。」
投げられた十丁の銃を、俺はスキルを発動し、浮かせた。
「最初から全力で行くぜ。」
俺は銃口を全て相手に向け、放った。それを老紳士は俊敏な動きでかわした。更に俺に近づき、ナイフで俺の体に刺した。......が、結果とした空を刺す結果になった。
「見掛けによらず、戦える感じかよ!」
俺は老紳士のナイフをギリギリかわし、左手の銃で老紳士の額に狙いを定めた。
引き金を引く瞬間の出来事だった。老紳士はもう片方の手にもナイフを持っていた。
「ぐっ!」
俺は老紳士の腕に銃を当て、軌道をずらした。距離を取れば、飛び道具のこっちが有利だろうという判断だ。
老紳士はナイフ二本を投げて来た。俺はそれをかわし、反撃しようとした。
しかし、老紳士の手には次から次へとナイフが持たれ、次から次へとナイフを投げて来た。
「なるほど!そういうスキルか!」
俺は十丁の銃を1点に集め、盾を作り、それを防いだ......はずだった。
老紳士の最初に投げたナイフが背中に刺さった。
「最初の二本は麻痺毒の塗られたナイフです。私のスキルはナイフを無限に生成するだけじゃなく、ナイフの回収。更には毒を一瞬で塗る事も可能。今のはその応用ですよ。」
「くっそ......。」
「静かにお眠りください。」
老紳士は倒れた俺に背中を見せ、主人の元へ帰っていった。
夕暮れ時、風がなびき、庭の草が揺れ、彼の周りを花びらが散っていった。
「悪いな。俺なんかの為に。」
「いえ。そんな。王として市民が困っているのを見過ごせませんから。」
「へぇー。そりゃうちの王様は優しいお方なこった。」
朝霧アイカはにこにこしながら、一緒に紅茶を飲んでいた。
「そういや君何歳?」
「君ではなく、アイカと呼んでください。私は十四歳ですよ。マヒロ様は?」
「じゃあ、俺もマヒロって呼んでくれよ。俺は十六歳。年も近いしタメ口でいいぜ。......って王に対して俺がタメ口って失礼だよな。」
「ううん。いいのよ。私、年の近い友達っていなくて......。よければ、私とお友達にな、なりま、せん......か?......マヒロ。」
「ああ。もちろんだ。友達になるのに許可なんか要らねぇよ。」
「ほ、本当!?」
「本当、本当。」
「ふふっ。ありがとう。マヒロ。......あ、そうだ!私、今日はもう仕事がないの。よければ城内を案内するわ。」
「それじゃあお願いするよ。城内ってどんなのか気になってたんだよ。」
俺とアイカは急いで紅茶を飲み干し、その場から立ち上がった。老紳士はドアを開け、どうぞと言わんばかりの顔と姿勢だ。
「まずは、玉座を案内するわ。」
こうして、城内を色々案内された。中々面白く、興味深い者ばかりがあった。
楽しい一日だったと、心から言える充実した日だった。────アイカのこの一言で全てを思い出さなければ。
「そう言えばマヒロ。」
「ん?」
「昨晩、何でマヒロはあんな所で倒れていたのかしら。」
この一言で全てを思い出し、全てが繋がった。何故この場にいるのかを。
「っ!しまった!忘れていた!これじゃ皆が!」
「マヒロ!?」
俺はその場から駆け出し、急いで外に出た。そこは城の裏にある庭のようだった。
大切な事を忘れてしまうほど、楽しんでしまった。
「お待ちくだされ。」
俺は門は逆だと気付き、後ろを振り返るとそこには老紳士が姿勢を正しくして、俺の前に立っていた。
「どいて下さい。俺は急いで行かなくちゃならないんだ。」
「そんな急用なのでらっしゃるのですか?」
「はい。俺は忘れちゃいけない急用を思い出しました。そこに行って皆を助けなきゃ行けません。」
「それはいつからの話ですか?」
「? 先月からですが......。」
「では、今急いで助けに行っても、明日助けに行っても状況は変わらないでしょう。」
「っ!それはっ......!」
正論を言われた。確かにその通りだ。俺は正論に反論が出来なかった。屁理屈を言っても、また反論で返されるだけだろうとも悟った。......だが。
「状況が変わるのが今日かもしれないってのに、ここで黙っていることなんて!俺には出来ない!」
俺は自分の意思を、魂を主張するかのような声で、表情で、全力で叫んだ。
それでも、引かないのは向こうも同じだった。
「今、行くよりも、怪我を治してから......万全な状態で向かった方がいいのでは?」
老紳士は言い直した。万全な状態で、と。まるで俺がどこに行くのかが分かっているかのように。
アイカは心配そうにこちらを見ているだけで、俺の状況には気付いていないようだ。ということはこの老紳士だけが知っているということなのか。
俺がそんな思考をしていると、老紳士は話し出した。
「では、こう致しましょう。私と戦い、倒すことが出来たらここを通しましょう。ですが、あなたが倒されれば私の言う事を一つ、聞いてもらいましょう。」
「シキ爺!それはっ!」
「いいぜ。話が早くて助かる。」
「マヒロ!?」
「申し訳ございません。武器は私が取り上げておりました。王の前故、危険物は取り除かなければならないので。お返しします。」
「いや大丈夫だ。そんな事だろうと思ってたよ。......武器、全部投げてくれ。」
投げられた十丁の銃を、俺はスキルを発動し、浮かせた。
「最初から全力で行くぜ。」
俺は銃口を全て相手に向け、放った。それを老紳士は俊敏な動きでかわした。更に俺に近づき、ナイフで俺の体に刺した。......が、結果とした空を刺す結果になった。
「見掛けによらず、戦える感じかよ!」
俺は老紳士のナイフをギリギリかわし、左手の銃で老紳士の額に狙いを定めた。
引き金を引く瞬間の出来事だった。老紳士はもう片方の手にもナイフを持っていた。
「ぐっ!」
俺は老紳士の腕に銃を当て、軌道をずらした。距離を取れば、飛び道具のこっちが有利だろうという判断だ。
老紳士はナイフ二本を投げて来た。俺はそれをかわし、反撃しようとした。
しかし、老紳士の手には次から次へとナイフが持たれ、次から次へとナイフを投げて来た。
「なるほど!そういうスキルか!」
俺は十丁の銃を1点に集め、盾を作り、それを防いだ......はずだった。
老紳士の最初に投げたナイフが背中に刺さった。
「最初の二本は麻痺毒の塗られたナイフです。私のスキルはナイフを無限に生成するだけじゃなく、ナイフの回収。更には毒を一瞬で塗る事も可能。今のはその応用ですよ。」
「くっそ......。」
「静かにお眠りください。」
老紳士は倒れた俺に背中を見せ、主人の元へ帰っていった。
夕暮れ時、風がなびき、庭の草が揺れ、彼の周りを花びらが散っていった。
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