僕達は《神に戦い》を挑む。
第八話 月明かりに照らされる君
「......なんだよ。」
「うふふっ。だってあなた。モモ!モモ!無事か!怪我ないか!無事だな!無事だな!よかったぁ〜あっあっあっ〜。なんて泣いて抱きつくんだもの。」
「うるせえな!何回も言うんじゃねーよ!」
さっきから同じ話を延々と話され、物凄く恥ずかしい。いっそ死んでしまいたい。
「わ、私は嬉しかったよ!?ハク!泣いてくれた時も改めて大切にされてるのを実感出来たし!抱きつかれた時は天にも登る気持ちだったよ!!」
「過大評価すぎて逆に嘘っぽいわ!」
フォローしてくれるのは嬉しいが、もう少し現実的かつ具体的にフォローして欲しい。
「モモ?だっけ?あなたも大変ね。こんな小うるさいのと一緒にいて。」
「そこがハクのいい所なんだよ。......え〜っと。」
「あ、私千葉アカリっていうのよろしくね。モモ。あなたとは仲良くなれそうだわ。......そういえばあんた刀を投げて来た時変な呼び方じゃなかった?」
「ああ。ミルフィな。」
「なによそのミルフィってやつ。」
「ミルフィって千枚の葉っぱって意味なんだよ。千葉って名字にぴったしだろ?」
「それでミルフィ......私これ気に入ったわ。」
天井に空いたから射し込む月の光に照らされ、耳に髪をかけ、初めて見せた笑顔に俺は声が出ない。
あれ?こいつもしかして可愛いのか?......何か背後から殺気を感じるんだが気のせいだよな?
「さっき警察を呼んでおいたからもうすぐ来ると思うんだけどな。」
「あれ?サイレンの音が聞こえるよ?」
「あ、本当だ。到着したみたいね。」
「ご協力感謝します。誘拐犯の居場所を突き止める事が出来なくて困っていたんです。」
「あ、いえいえ、たまたまなんで。」
「本当に助かりました。今後も何かあれば是非ご協力お願いします。では私達はこれで。」
「お勤めご苦労様です。」
ご苦労様で〜す。と後ろの二人も言うと警察官は会釈をして、車に乗り込んだ。
「......じゃあ私もそろそろ帰ろうかしら。」
「ミルフィちゃん。もう帰っちゃうの?良かったら私の家でお茶でも......。」
「ううん。今度にするわ。私まだ帰ってやる事があるのよ。」
「そっか......。じゃあ今度必ずね。連絡してね。」
「うん。ありがとう。モモ。」
二人はさっき会ってまだ三十分しか経ってないのに、凄く仲が良くなった。きっと性格が合うんだろうな。と思っていたら
「ハク。あんたとはまたどこかで会う気がするわ。その時はまたこき使ってやるから、覚悟してなさい。」
「へいへい。今度は刀取られないように気ぃつけてな。」
「余計なお世話よ!」
「お前だって小うるさいだろ。......やる事ってなんだ?困ってんなら手伝ってやるけど。」
「ううん。大丈夫。心配しないで。......じゃあ、バイバイ!」
「バイバイ!ミルフィちゃん。」
「じゃあな。ミルフィ。」
さっきまで一緒に戦っていた急造コンビのパートナーはここで帰った。俺もきっとまた会う気がする。そんな想いを胸に噛み締め、俺とモモも帰路に就いた。
「なあ、モモ?」
「つーん。」
俺らは帰路に就いたのは良かったが、どうやらモモの機嫌はまだ直っていないらしく、話かけても返してくれない。
「なんでまだ機嫌悪いんだよ。」
「ハクが私を助けるまでの道のりで違う女の子を捕まえる様な悪い子だからだよ。」
「それは悪かったって。」
「あははっ。冗談だって。ミルフィちゃん、優しくていい子だったし。全然気にしてないよ。」
「なんなんだよ。」
「ただ、ミルフィちゃんの笑顔を見て赤らめてるススにはちょっと。ほんのちょっと怒りたい気持ちが無い訳じゃないかな。」
やっぱり背後からの殺気はお前だったか。ちょっとって言うか殺気レベルだったんだが!?言葉の綾が過ぎないか!?
「でも。」
俺よりも前に出て、くるっと半回転し、満面の笑みでこう言った。
「戦ってる時のハク。物凄くかっこよかったよ!」
言い終わって、風が吹く。揺れる桃色の髪の毛は、月で照らされ、一本一本輝いている。
「綺麗な髪の色だな。」
俺は思わず口に出した。
彼女は目を丸くして固まっている。そして、目を丸くしたままボソッと言う様に。
「もう一回言って。」
「へ?何が?」
「何がって今言ったセリフもう一回言ってって意味だよ!」
彼女は俺に一気に近寄り、懇願する。
「あ〜なんだっけ。」
「綺麗な髪の色だな。だよ!」
「キレイナカミノイロダナー。」
「もっと感情込めて!」
俺は躊躇った。でも、今まで言いたくて言えなかった事だ。ここで言わなきゃきっと永遠に言えないだろう。だから、
「......っ、綺麗な髪の色だな。」
「うん!ありがとう!」
彼女は世界一の笑顔でそう応えた。
「先行くぞ。」
「へ?ちょ、待ってよ!」
俺は恥ずかしくてモモよりも先に帰ろうとする。────きっと今の俺は耳まで赤くし、ニヤついてる、みっともない顔をしてるだろうから。
それを見せない様に、モモよりも先に早足で帰る。
今まで言えなかった事を、月日が流れて言いずらくなったセリフを、言わせてくれた満月に感謝しながら。
「グッ。はぁっ。はぁっ。」
俺は、神崎マヒロは敵の三人が仲良く話している所を上手く抜け出した。本当は仲間の三人も引き連れてやったが、全滅するよりはいいと判断し、安全に自分だけ抜け出した。
「あいつらには悪いが、誰か一人でも生き残って、あいつらの分まで目的を果たすべきだ。」
俺は腹を抑えながらゆっくりと歩く。いくら峰打ちとは言え、痛いのには代わりない。
「......なんだ?お前は?」
俺の目の前を誰かの下半身が遮る。上を見ると暗くて顔が認識出来ない。
「怪我をされているのですね?少々お待ちを。」
ああ。なんだ。助けてくれるのか。それはよかった。
俺は安心して眠りについてしまった。
「シキ爺、治りますか?」
「外傷は特にありません。家で看病しましょう。」
「分かりました。......大丈夫ですよ。きっと何とかしますから。」
優しい声は男の荒んだ心を和らげる。
「うふふっ。だってあなた。モモ!モモ!無事か!怪我ないか!無事だな!無事だな!よかったぁ〜あっあっあっ〜。なんて泣いて抱きつくんだもの。」
「うるせえな!何回も言うんじゃねーよ!」
さっきから同じ話を延々と話され、物凄く恥ずかしい。いっそ死んでしまいたい。
「わ、私は嬉しかったよ!?ハク!泣いてくれた時も改めて大切にされてるのを実感出来たし!抱きつかれた時は天にも登る気持ちだったよ!!」
「過大評価すぎて逆に嘘っぽいわ!」
フォローしてくれるのは嬉しいが、もう少し現実的かつ具体的にフォローして欲しい。
「モモ?だっけ?あなたも大変ね。こんな小うるさいのと一緒にいて。」
「そこがハクのいい所なんだよ。......え〜っと。」
「あ、私千葉アカリっていうのよろしくね。モモ。あなたとは仲良くなれそうだわ。......そういえばあんた刀を投げて来た時変な呼び方じゃなかった?」
「ああ。ミルフィな。」
「なによそのミルフィってやつ。」
「ミルフィって千枚の葉っぱって意味なんだよ。千葉って名字にぴったしだろ?」
「それでミルフィ......私これ気に入ったわ。」
天井に空いたから射し込む月の光に照らされ、耳に髪をかけ、初めて見せた笑顔に俺は声が出ない。
あれ?こいつもしかして可愛いのか?......何か背後から殺気を感じるんだが気のせいだよな?
「さっき警察を呼んでおいたからもうすぐ来ると思うんだけどな。」
「あれ?サイレンの音が聞こえるよ?」
「あ、本当だ。到着したみたいね。」
「ご協力感謝します。誘拐犯の居場所を突き止める事が出来なくて困っていたんです。」
「あ、いえいえ、たまたまなんで。」
「本当に助かりました。今後も何かあれば是非ご協力お願いします。では私達はこれで。」
「お勤めご苦労様です。」
ご苦労様で〜す。と後ろの二人も言うと警察官は会釈をして、車に乗り込んだ。
「......じゃあ私もそろそろ帰ろうかしら。」
「ミルフィちゃん。もう帰っちゃうの?良かったら私の家でお茶でも......。」
「ううん。今度にするわ。私まだ帰ってやる事があるのよ。」
「そっか......。じゃあ今度必ずね。連絡してね。」
「うん。ありがとう。モモ。」
二人はさっき会ってまだ三十分しか経ってないのに、凄く仲が良くなった。きっと性格が合うんだろうな。と思っていたら
「ハク。あんたとはまたどこかで会う気がするわ。その時はまたこき使ってやるから、覚悟してなさい。」
「へいへい。今度は刀取られないように気ぃつけてな。」
「余計なお世話よ!」
「お前だって小うるさいだろ。......やる事ってなんだ?困ってんなら手伝ってやるけど。」
「ううん。大丈夫。心配しないで。......じゃあ、バイバイ!」
「バイバイ!ミルフィちゃん。」
「じゃあな。ミルフィ。」
さっきまで一緒に戦っていた急造コンビのパートナーはここで帰った。俺もきっとまた会う気がする。そんな想いを胸に噛み締め、俺とモモも帰路に就いた。
「なあ、モモ?」
「つーん。」
俺らは帰路に就いたのは良かったが、どうやらモモの機嫌はまだ直っていないらしく、話かけても返してくれない。
「なんでまだ機嫌悪いんだよ。」
「ハクが私を助けるまでの道のりで違う女の子を捕まえる様な悪い子だからだよ。」
「それは悪かったって。」
「あははっ。冗談だって。ミルフィちゃん、優しくていい子だったし。全然気にしてないよ。」
「なんなんだよ。」
「ただ、ミルフィちゃんの笑顔を見て赤らめてるススにはちょっと。ほんのちょっと怒りたい気持ちが無い訳じゃないかな。」
やっぱり背後からの殺気はお前だったか。ちょっとって言うか殺気レベルだったんだが!?言葉の綾が過ぎないか!?
「でも。」
俺よりも前に出て、くるっと半回転し、満面の笑みでこう言った。
「戦ってる時のハク。物凄くかっこよかったよ!」
言い終わって、風が吹く。揺れる桃色の髪の毛は、月で照らされ、一本一本輝いている。
「綺麗な髪の色だな。」
俺は思わず口に出した。
彼女は目を丸くして固まっている。そして、目を丸くしたままボソッと言う様に。
「もう一回言って。」
「へ?何が?」
「何がって今言ったセリフもう一回言ってって意味だよ!」
彼女は俺に一気に近寄り、懇願する。
「あ〜なんだっけ。」
「綺麗な髪の色だな。だよ!」
「キレイナカミノイロダナー。」
「もっと感情込めて!」
俺は躊躇った。でも、今まで言いたくて言えなかった事だ。ここで言わなきゃきっと永遠に言えないだろう。だから、
「......っ、綺麗な髪の色だな。」
「うん!ありがとう!」
彼女は世界一の笑顔でそう応えた。
「先行くぞ。」
「へ?ちょ、待ってよ!」
俺は恥ずかしくてモモよりも先に帰ろうとする。────きっと今の俺は耳まで赤くし、ニヤついてる、みっともない顔をしてるだろうから。
それを見せない様に、モモよりも先に早足で帰る。
今まで言えなかった事を、月日が流れて言いずらくなったセリフを、言わせてくれた満月に感謝しながら。
「グッ。はぁっ。はぁっ。」
俺は、神崎マヒロは敵の三人が仲良く話している所を上手く抜け出した。本当は仲間の三人も引き連れてやったが、全滅するよりはいいと判断し、安全に自分だけ抜け出した。
「あいつらには悪いが、誰か一人でも生き残って、あいつらの分まで目的を果たすべきだ。」
俺は腹を抑えながらゆっくりと歩く。いくら峰打ちとは言え、痛いのには代わりない。
「......なんだ?お前は?」
俺の目の前を誰かの下半身が遮る。上を見ると暗くて顔が認識出来ない。
「怪我をされているのですね?少々お待ちを。」
ああ。なんだ。助けてくれるのか。それはよかった。
俺は安心して眠りについてしまった。
「シキ爺、治りますか?」
「外傷は特にありません。家で看病しましょう。」
「分かりました。......大丈夫ですよ。きっと何とかしますから。」
優しい声は男の荒んだ心を和らげる。
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