プロローグ

   　1人の少女が巨大な何かと化している。いや、化しているとは正確ではなく、正確には巨大な何かに呑まれている。だが、状況を知らない者達は化しているようにしか見えていないだろう。

「───。」

    　巨大な何かは声を出したり吠えたりせず、ただ無言に世界を破壊し続けている。獣ではなくロボットでもないそれは、ただひたすらに家を、森を、山を破壊する。地面に亀裂を作る。

「こんなのまるで──化け物じゃねーか！」

    　少年は吠える。だが声が届くはずもない。化け物は破壊するのをやめはしない。

「ぐっ！！」

    　化け物が破壊したコンクリートが飛散する。飛んできたコンクリートが少年の頭に当たり、頭からは大量の血が溢れ出した。

「クソっ！なんとかする方法は何かないのか！」

    　少女は化け物の中で考えていた。自分の過ちを。自分の間違っていた行いを。気づけば頭に思い浮かぶのは自分の過ちと謝罪の言葉。

「あーあ。なんでこういう時ってこんな冷静になれて、短い時間で思いつかないような間違いばかり見つかるんだろう。」

    　そして溢れ出す止まらない涙が落ちていくのを見て震える声で少女は言う。

「お願い。────助けて。」

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