怪物達の異世界観光

低血圧魔王

@馬鹿男と媚び女

目を覚ますと神殿風の広い部屋にいました。
どうやら他の人達はまだ気絶しているみたいですね。
魔法陣を起動した本人まで気絶してますね。
辺りをざっと見て分かった事は床にバカみたいに大きな魔法陣がある事、カーテンで見えなくした窓に格子がある事、そして私達を取り囲む騎士…の様な人達と偉そうな態度の男と気持ち悪い欲望に塗れた目を向けてくる女がいる事。
騎士(仮)達の年齢はバラバラですが全員強そうです。
平均の強さはハル2人を相手できる程度でしょうか?
ん?強さの判断方法?勘に決まっているでしょう。
私の勘は前世から良く当たるんです。

偉そうな男と気持ち悪い目の女は大体ハル達、というか今の私と同じ位の年ですね。
大方、王侯貴族の子供か何かでしょう。
ところで、この2人は何時になったら喋りだすのでしょうか。
私が本物の勇者では無いにしてもこの2人はまだその事を知らない訳ですし、失礼ではないですか?

「おい、お前」

偉そうな男がこっちに向かって話しかけて来ました。
やっとですか。

「ん、僕・・・・・・?」

あ、これは私の外向きの顔です。
設定としては"ちょっと無口な平和主義者風"です。
何故"平和主義者風"かというと、私が平和主義者になりきれていないからです。演技力には自信があるんですけど、前世が物騒な世界だからですかねぇ?
まぁ取り敢えず、目の前の男と会話をしましょうか。

「なにか……用?」
「貴様等が勇者か?」
「知らない」
「そんなはずは無い!
全員ルスカルから説明を受けているはずだ!」

あぁ、確かあの人そんな感じの名前でしたね。

「僕……巻き込まれ。…だから……知らない」
「は?どういうことだ!説明しろ!!」
「そんな事……言われても…分からない」
「チッ! 役立たずが!」

何ですかこの人。
巻き込まれた本人に聞いても分かる訳無いじゃないですか。むしろ巻き込まれた側は説明を求めるはずですよ?この人馬鹿なんじゃないですか?渾名は馬鹿男で決定ですね。
というか、さっきから馬鹿男と気持ち悪い目の女がお互い合図アイコンタクトして頷いているんですが、何を考えてるんでしょう?

「あのぉ」

「…………何?」

うわ……もしかしてこの人私が一番嫌いな異性にやたらと媚びるタイプじゃないですか?

「貴方はぁ、勇者様の召喚にぃ、巻き込まれたんですよねぇ?」
「………そう…だけど?」
「よかったらぁ、私達にぃ、その時の状況をぉ、教えてくれませぇん?」
「……別に……いいけど…」
「さっさと教えろ!!」
「僕……夕飯の材料………買いに行ってた。
そしたら……真横の空き家…光って……ここにいた」
「……それだけですかぁ?」
「……ん」
「そ、そうですかぁ」

媚び女(仮)が馬鹿男のいる方へ戻って行きますね。
どうするんでしょう?

「(ちょっと!あの根暗、何の情報も持ってないじゃない!媚び売って損したわ!!)」
「(俺に情報を隠していた訳じゃなかったのか!)」

おーい、聞こえてますよー。
人外半神半霊の五感、舐めないでください。
というかこれは媚び女(確定)ですね。
ええ、私の大嫌いなタイプです。




              ──to be continued

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