氷炎騎士の騎校生活(スクールライフ)

真木 輝

イルバーナ帝国③

パーティーは王族関係者を招いて盛大に行われた

「・・・うっ。」

その中でも秋風は王女と交際しているだけあって注目度が半端じゃない

どうすればいいんだ・・・

アリスは久しぶりの帰省とあって、挨拶に回っている

そう、秋風は完全に孤立していた

「どうなされましたか?」

後ろから優しい声がかけられた

「エル・・・」

そうアリスの妹のエルカが立っていたのだ

青色のドレスに包まれたその姿は普段より大人びて見えた

「あ、いや、視線が痛くて・・・」

「当然です、一国の姫とお付き合いなさってるんですから」

エルは笑っているが事態はそれ以上に深刻だ

「いや、殺気すら感じるよ⁈」

「はい、アリスお姉様は絶大な人気を誇っておられますので、狙っていた方もさぞ多いでしょう」

そんなに人気だったのか・・・

だが今はそれ以上に・・・

「君のお父様はなんでパーティーに剣を持って参加してるの⁈」

そう、アランがさっきから剣を持ってガンを飛ばしている

「本当に、ただのバカですのでお許しください」

「少し待ってくださいね」

そういうとエルはアランの方を向いた

「光の精霊よ、我に聖なる弓を・・・」

すると、黄金に輝いた弓が姿を現した

そしてエルは力いっぱい弦をひいて

「少し黙りましょう、バカお父様」

「ちょちょちょ、エル⁈」

「『ホーリー・アロー』」

光の矢が放たれ、その矢がアランの胸にささった

その瞬間、アランは床に倒れた

「ちょ、エルやりすぎだよ」

「いえ、大丈夫です、いつものことですし」

「いや、矢はまずいよ」

「大丈夫です、寝ているだけですので」

え?

秋風はアランの方を見た

「本当だ・・・」

確かにアランは寝ているだけだ

しかも

「いやいや、お見事ですな」

周囲が笑いに包まれている

「エル様の弓は天下一品ですな」

「・・・・・」

なんて国だ

国王が娘に矢を放たれて笑っている国などないぞ

いやそれよりも

この子、なんて弓の使い手だ

いやそれだけじゃない、完璧なまでの魔力のコントロール

物理的に攻撃を与えてしまう矢を、相手を眠らせるようにコントロールするとは

さすがアリスの妹といったところか

「さぁ、これで邪魔者もいなくなり、周りの視線もなくなりました」

「ごゆっくりお楽しみください」

「あ、ありがとう・・・」

そのままエルは去っていった


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