異世界召喚されたら学園通いながら冒険者稼業(仮)

佐藤美味

第3話 第一村人に注意!?

 「ッ!ハァ、ハァ… 」

 身体が燃えるように熱い、あまりの熱さに飛び起きた俺は呼吸を整えながら額の汗を拭い周囲を見回した。正直異世界に渡るという非現実的な現実に不安があったのは間違いない。それと同じぐらい、いやそれ以上に異世界という“未知”に期待し胸を高鳴らせている自分を感じていた。

「・・・・・・ここが異世界。」

 見渡す景色は青々とした草原が広がっており馴染みのある植物の香り、初めて実感する空気のおいしさ。遠くの方には大きな湖の周りに白を基調とした三角屋根の木造住宅が集まっているのも見える。まるで”赤毛のア○”のモデルとなったカナダのプリンスエドワード島の様だ。その時すでに身体の熱は下がっており、この素晴らしい景色に祝福‥もとい、この素晴らしい景色を楽しんでいた。

 しかし、あの自称≪女神≫がいうには俺は召喚されたはずなのだが、周りには誰もいない。どういうことだ……。

 まずはあの集落に行き、この世界の情報を集めよう。
 そう決め、草原の上に足を進める。しばらく歩いているとふと感じた違和感、妙に歩幅が狭い。そう感じると身体の色々な箇所から違和感がでてくる。≪身体能力向上≫に関わる変化かもしれないと考えながら集落についたら自身についても確認することにした。

 集落に近づくと細マッチョな若い男性が一人、一心不乱に剣を振りながら汗をかいているのが見えた。服装は元の世界でいうタンクトップに短パンに革製の靴の様だ。さらに近づくと相手の方もこちらに気づき手を止め近づいてきた。

「おい、貴様、どこの国から来たんだ!」

 少し慌てた口調で言われ驚いてしまったが、言葉は上手く聞き取れるようだ。こちらの言葉が通じるか不安もあるが、この世界の事も知らずに下手な事も言えないので詳細は伏せて誤魔化す事にした。

「いや、信じられないだろうが俺もどこから来たのか、何故ここにいるのか分かっていない。気が付いたらこの近くの草原に横たわっていたんだ、一体ここはどこなんだ。」

……頼む、上手く伝わってくれ!

「なんだか訳ありの様だな。ここはラタ村、久しぶりに村の外から人が来たので私も「ああ、色々とありがとう。とりあえずギルドと馬小屋の場所を確認してくるよ。」取り乱してしまった、すまない。」

 言葉はお互い理解できるようでひとまず安心だ。万が一通じなければ真っ先にやらなければならない課題が勉強になっていた、方言や他言語が存在するか分からないが共通して話ができるとしたら≪言語理解≫はかなり役に立つな。

「こちらは構わない。初対面で唐突な質問をしてしまった俺の方こそすまない。少しでも現状の把握をしたくて焦ってしまった。」

「あぁ、改めて私はバチス・ラタ。バチスと呼んでくれ。」

「俺は五十嵐空也、クーヤが名でイガラシが家名だ。」

「クーヤは身分証は持っているのか?」

「身分証?」

「紛失しているのであれば銅貨10枚かかるが、ここから真っすぐ進んで右側にギルドがあるのでそこで発行できる。」

「お金も全部落としているみたいなんだ。残念だが村の近郊で野宿をしながら今後の生活方針を考えたいと思う。」

「そうか、野宿をするなら村の東側に馬小屋があるからその近くにしなさい。村の外は夜になると魔獣がでる事があるからな。」

 魔獣か…やはり、この世界にはそういう類がいるのだな……。

「ああ、色々とありがとう。とりあえず教えてもらったギルドと馬小屋の場所を確認してくるよ。」

「私は毎日昼の時間帯はこの辺で鍛錬を行っているから、何かあれば声をかけてくれて構わないよ。」

 バチスに再度お礼を言い、ギルドと宿探しを行うことにした。
 先ほどまでは確かに野宿をする予定だったのだが、バチスは俺に話しかけた時の興奮した態度、また話している最中常に勃起をしており、馬小屋の紹介をしている時にはだらしなく口元が緩んでいた事に身の危険を感じてしまい、無理をしてでもお金の工面して宿探しをするはめになったのだ。

異世界……夜に警戒するのは魔獣だけではないようだ。



書くことに慣れていないのですが、頑張って面白い作品にしていきたいので、ご指導ご鞭撻よろしくお願いします。

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