邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百九十四話 王子様

9章 Grim happy end


さて、大昔に栄えていた王国が滅びた所までは話したね。
この王国のお話は一旦終わり、次は、数十年ほど経ったあとの話だ。
数十年の間に、かつて王国があった場所は隣国であった別の王国が併呑していたんだ。
まあ、元々反対する王国の民は全員死んでるからなんの障害もなく領地化は終わったのさ。
さて、そんな時に、その王国の王城に吟遊詩人が現れる。
その吟遊詩人は見事な腕前で王侯貴族を楽しませ、褒美をたんまりと頂いた後にほくほく顔で帰っていった。
しかし、この曲を聴いた王子はどうしてもあることが気になっていたんだ。
というのも、この吟遊詩人が歌った曲はこの地域の故事に準えたものだったからね。
当然ある王国が滅んだ話も歌の中にあったし、数十年程度しか経っていないのだから情報はしっかりとした物だった。
王子様が気になったのはある一点。
長ったらしい歌詞を要約すると、「美しき姫が荆に囲まれ眠っている」ってとこかな。
もちろん王子様もある王国の滅びについてある程度の勉強はしていたけれど、直接国家の運営に関わるもの以外は学んでいなかったんだ。
そうして過去の文献を調べても、「絶世の美女」、「神に愛された子」など、かの姫を褒め称える言葉が並んでいたそうだよ。
さて、未開の森に眠るお姫様に興味を抱いてしまった王子様は、どうしたと思う?
そう、その通りだ。
彼は、一人で森へと赴いた。
曲がりなりにも王子は王家の騎士に比肩する剣才と宮廷魔術師のそれを遥かに凌駕する魔法の才を持つと言われた神童だったから一人での外出もそこまで面倒な手続きが必要だったわけじゃないみたいだね。
そもそもとして、当時の森は今のように地獄のようにはなっていなかったし。
ただ単に荆が生い茂り、たまに植物系のモンスターが出るくらいなら王子一人でも容易く対処できたんだ。
そして、ついに王子は眠る姫様の場所にたどり着いた。
神がいた。
何者にも侵されぬ究極の「美」。
荆に囲まれ、柔肌を貫かれていてもなお衰えぬその美。
ああ、彼はどこで道を違えたのか。
ああ、どうしてこのような蛮行に及んでしまったのか。
そうして彼は一人の雄と化し、そうして彼は一匹の獣と成った。


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