邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第三百九十二話 昔々
9章 Grim happy end
「いやあ、馬鹿だよねぇほんとここの王様」
嘲笑うようにそう言い放ったエルフに対し、シグレは問いをなげかける。
「何故です?」
その質問が予想外だったのかエルフは一瞬固まり、そしてシグレに向き直るとゆっくりと話し始めた。
「ふむ、そういえば君はこの国の国民でもない流れ者のようだね。それじゃあ、少し昔話をしよう。座り給え、立ち話じゃあ疲れてしまうよ」
昔々、と言っても一億年前とかではないけれど、300年程前かな。
あるところに、巨大な王国が誕生したんだ。
そして、その国の国王と王妃は妊娠しにくい体質でね。数年間統治して何度も行為に及んだにも関わらず子供はできなかった。
しかし、ある時やっと妊娠が判明した。
そりゃあ喜んだそうだよ。
なにせ、自分たちにとって初めての子だからね。子を思う親の心はいつだって、どんな立場でも変わらないのさ。
そして、王様は大々的にパーティを開くことにしたんだ。
その祝宴には様々な人物が集まった。
人間やエルフ、ドワーフなんかもいたし、妖精や精霊までこの宴へとやってきていたんだ。
どうやら、産まれた子供は生まれつき精霊というか人外に愛されやすい体質だったみたいだね。
そして、最後に十二人の賢者が現れた。
その国は魔法研究が盛んで、占いによって未来を見ることが出来たんだ。
もちろん確実に見た出来事が起きる訳では無いし、その予言を見てから未来を変えることは出来た。
賢者達はそれぞれ何もかもが上手くいった理想の未来の光景を王様と王妃様、そして王女に見せていたが、最後の賢者は違った。
彼が見せたのは、荆に飲み込まれる王城と、その中心で眠る王女だった。
そんな光景を見せてしまった賢者は国家転覆を企んでいるかもしれないとして国家反逆罪で死刑となった。
当時の予知は術者が予知対象をある程度は選べたからね。
深層心理では王国の破滅を望んでいるかもしれない。
まあ、賢者本人は見たくもなかっただろうけど。
その賢者は死んだ。
そして、残りの賢者が破滅を回避するためにこう言ったんだ。
「この破滅は、王女様がが水晶に触れることから始まります。故に、王女様を水晶に触れさせてはなりませぬ」
そう、殺された賢者の見せた映像は、成長した王女が何かの水晶に触れたことから始まっていたんだ。
王はその言葉に従い、国中の水晶を破壊し、その欠片までもを消し去った。
そして、平和なその国で王女は立派な淑女として育っていった。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
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(IDは@kuroshio_novelです)
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嘲笑うようにそう言い放ったエルフに対し、シグレは問いをなげかける。
「何故です?」
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昔々、と言っても一億年前とかではないけれど、300年程前かな。
あるところに、巨大な王国が誕生したんだ。
そして、その国の国王と王妃は妊娠しにくい体質でね。数年間統治して何度も行為に及んだにも関わらず子供はできなかった。
しかし、ある時やっと妊娠が判明した。
そりゃあ喜んだそうだよ。
なにせ、自分たちにとって初めての子だからね。子を思う親の心はいつだって、どんな立場でも変わらないのさ。
そして、王様は大々的にパーティを開くことにしたんだ。
その祝宴には様々な人物が集まった。
人間やエルフ、ドワーフなんかもいたし、妖精や精霊までこの宴へとやってきていたんだ。
どうやら、産まれた子供は生まれつき精霊というか人外に愛されやすい体質だったみたいだね。
そして、最後に十二人の賢者が現れた。
その国は魔法研究が盛んで、占いによって未来を見ることが出来たんだ。
もちろん確実に見た出来事が起きる訳では無いし、その予言を見てから未来を変えることは出来た。
賢者達はそれぞれ何もかもが上手くいった理想の未来の光景を王様と王妃様、そして王女に見せていたが、最後の賢者は違った。
彼が見せたのは、荆に飲み込まれる王城と、その中心で眠る王女だった。
そんな光景を見せてしまった賢者は国家転覆を企んでいるかもしれないとして国家反逆罪で死刑となった。
当時の予知は術者が予知対象をある程度は選べたからね。
深層心理では王国の破滅を望んでいるかもしれない。
まあ、賢者本人は見たくもなかっただろうけど。
その賢者は死んだ。
そして、残りの賢者が破滅を回避するためにこう言ったんだ。
「この破滅は、王女様がが水晶に触れることから始まります。故に、王女様を水晶に触れさせてはなりませぬ」
そう、殺された賢者の見せた映像は、成長した王女が何かの水晶に触れたことから始まっていたんだ。
王はその言葉に従い、国中の水晶を破壊し、その欠片までもを消し去った。
そして、平和なその国で王女は立派な淑女として育っていった。
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