邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第三百八十八話 身分証は必要です。
9章 Grim happy end
瞬く間にただの草原が肉の花の咲き誇る赤き大地になったことにシグレは些かの反応も見せず、まだ生き残っていた鳥が飛来してくるのに合わせて氷漬けにして捕獲、アイテムボックスに収納した。
「これで牛肉以外が食べれますね」
鑑定したところによると毒はないので、問題は無いだろう。
不意に発生した鳥の死体がほかの魔物を呼んでしまう前に魔法を使い、シグレはそこをあとにした。
「うわぁ……さっさと転移して正解でしたね」
遠見の魔法で確認しているのは先程自分がいた所、つまるところ肉の花の咲き誇る場所である。
そこには肉食と思わしき怪物達が集まり、各々が地面に散乱した桜色の肉を頬張っていた。
そして、そのうちの一体の首が撃ち抜かれる。
撃ち抜かれた怪物が力無く倒れるそのすぐ下で衝撃で圧壊することなく貫通したその瞬間、地面が爆ぜた。
比喩ではなく、実際に鳥が突進した場所の周囲にクレーターのようなものが出来ている。
「うわぁ……あれが自分の体に突き刺さってたかもしれないと思うと……ゾッとしますね」
再び突進してきた鳥を叩き落としながら、シグレはそんなことを呟くのだった。
「ここが人間の国ですかね?」
あれから何事もなく草原を通り抜け、再び透明化と気配・魔力・生命反応隠蔽魔法と変身魔法を使って商人などが並ぶ街道へと移動し、人目のつかない場所で何事も無かったのように変身以外の魔法を解除してシグレは旅人などが入るための列へと並んだ。
身分証などは存在しないが、ここは人間の都市なので、無くても仮入国して国内で然るべき対価さえ払えば何とかなるだろう。
ケンタウロスに支配されたむらでやった魔法による認識阻害という手段もあるが、あまり積極的に使いたくない手段なのであれは本当に奥の手中の奥の手である。
「次の者、入れ!」
「はい」
「身分証を提示しろ!」
やっぱり身分証は必要なようである。
「すみません……冒険者をやっているのですが……身分証を落としてしまいまして」
これがハクロの肉体のままなら違和感があっただろうが、今のシグレの姿は片手直剣を携えた青年である。先程捕獲した牛の肉なんかもアイテムボックスではなく即席で作りだした皮袋型マジックバッグに入れ替えたため、ここから戦利品と言って出せば疑われることは無いだろう。
「なるほど、それでは、今仮の身分証を発行する。待っていろ」
そう言って、男は扉の奥へと消えていった。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)
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(IDは@kuroshio_novelです。かなり前にIDを変えたのですがこちらの更新を忘れていました……前までのIDで検索してしまった方、申し訳ありませんでした……)
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「これで牛肉以外が食べれますね」
鑑定したところによると毒はないので、問題は無いだろう。
不意に発生した鳥の死体がほかの魔物を呼んでしまう前に魔法を使い、シグレはそこをあとにした。
「うわぁ……さっさと転移して正解でしたね」
遠見の魔法で確認しているのは先程自分がいた所、つまるところ肉の花の咲き誇る場所である。
そこには肉食と思わしき怪物達が集まり、各々が地面に散乱した桜色の肉を頬張っていた。
そして、そのうちの一体の首が撃ち抜かれる。
撃ち抜かれた怪物が力無く倒れるそのすぐ下で衝撃で圧壊することなく貫通したその瞬間、地面が爆ぜた。
比喩ではなく、実際に鳥が突進した場所の周囲にクレーターのようなものが出来ている。
「うわぁ……あれが自分の体に突き刺さってたかもしれないと思うと……ゾッとしますね」
再び突進してきた鳥を叩き落としながら、シグレはそんなことを呟くのだった。
「ここが人間の国ですかね?」
あれから何事もなく草原を通り抜け、再び透明化と気配・魔力・生命反応隠蔽魔法と変身魔法を使って商人などが並ぶ街道へと移動し、人目のつかない場所で何事も無かったのように変身以外の魔法を解除してシグレは旅人などが入るための列へと並んだ。
身分証などは存在しないが、ここは人間の都市なので、無くても仮入国して国内で然るべき対価さえ払えば何とかなるだろう。
ケンタウロスに支配されたむらでやった魔法による認識阻害という手段もあるが、あまり積極的に使いたくない手段なのであれは本当に奥の手中の奥の手である。
「次の者、入れ!」
「はい」
「身分証を提示しろ!」
やっぱり身分証は必要なようである。
「すみません……冒険者をやっているのですが……身分証を落としてしまいまして」
これがハクロの肉体のままなら違和感があっただろうが、今のシグレの姿は片手直剣を携えた青年である。先程捕獲した牛の肉なんかもアイテムボックスではなく即席で作りだした皮袋型マジックバッグに入れ替えたため、ここから戦利品と言って出せば疑われることは無いだろう。
「なるほど、それでは、今仮の身分証を発行する。待っていろ」
そう言って、男は扉の奥へと消えていった。
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