邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百六十四話 炸裂弾

9章 Grim happy end


「早めにすませたかったんですがね……とりあえずもう一度、炸裂蝙蝠ブラスト・ファミリア

その言葉と同時に炎でできたコウモリのような生物が複数体出現し、飛翔しながら蠢く植物へと襲いかかった。
謎の植物は再び鋭い牙の生えた怪物の口を露出させ、すぐさま汚濁した液体を数発射出し、それによって蝙蝠を消し去ったが、数発の蝙蝠が消滅を免れ、蔦に突撃していく。
そして蝙蝠が炸裂しする瞬間、蔦が少しだけ膨らんだかと思うと、炸裂した箇所から小規模な爆発が発生し、周囲に鋭利に研磨された小石が撒き散らされた。

「おっと、これも効きませんか」

発生した煙が消え去るよりも前に、煙を貫通して鋭い荊が突貫してくる。
それをワンピースの防護によって防ぎ、その先に存在する爆破によって焼け焦げ、鋭利な小石に斬り裂かれたはずの植物を見てみると、それは無傷で存在していた。

「仕方ないですね…鑑定」


インジェクション・ツリー

枝や荊による攻撃から植物系の魔物と思われがちだが、真の姿は植物に寄生する小型生物である。
地中に生息し、植物の根を食いちぎってそこに寄生する。
寄生した植物の内部を自由に移動することが可能であり、植物の表面から自らの大きな口を露出し、強酸性の液体を射出して攻撃することができる。
群れで生活し、一つの植物に数十体が潜んでいることがある。
そして、寄生した植物は強度が大幅に引き上げられているほか、斬撃や打撃によって作られた傷は即座に再生する。
また、植物を密集させることで盾とすることもできるほか、水分を即座に吸収して栄養とする性質を持つため、水魔法は吸収されてしまう。
また、吸収した水をため込む性質を持ち、水分をため込んだ状態では本来の弱点である炎の攻撃ですらほとんどダメージなしで抑えることができる。
対処法としては広範囲の魔法で寄生した植物全てを消滅することである。
強酸性の液体は金属も溶かすほどの強い酸性を示し、数秒で数十cmほどの鉄板を貫通することが可能である。

「あ、植物じゃないんですか…」

「それじゃあ、これでいいですかね」

シグレの後ろには、巨大な雷球が浮かんでいた。


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