第三百五十八話宣告

9章 Grim happy end

「『ようこそ、ボクの世界ゲームへ』」

「おかしい！おかしい！精神転移は成功したはずでしょう！なら、何でこんなものがある・・・・・・・・・・・んだ＿＿＿＿＿！！！」

シグレはあり得るはずのない現実に絶叫する。
ここは確かに過去の世界のはずだ。
そして、ニャルラトホテプによって捻じ曲げられた事象を正すという使命の都合上、もちろんある程度の妨害や介入があることは承知の上であった。
しかし、まさか、奴が作り出した世界に捕らえられてしまうとは・・・・・・・・・・！

「『上を見てごらん？』」
「頭上？ああ、この体は視覚に頼っているのを忘れていました……」

言われて思わず普段のように魔力での感知範囲を上へと拡張しようとしたシグレは、入ってくる情報が通常の魔力感知より少し精度が高い程度であることを認識すると、ようやっとこの体が自分の体っでないことに気づいたようで、魔力感知での視認を早々に諦め、肉眼で頭上を仰ぎ見た。
そうしてシグレは頭上を仰ぎ見て、絶句した・・・・。

「なるほど……なるほど……ここは確かに創造されたゲーム世界のようですね……」

完全に完璧に完膚なきまでに理解した。
ここはニャルラトホテプの作り出したゲーム空間であると。
ゲームとは、どんなに高難易度だろうと必ずクリアすることができるはずなのだ。
であるならば、クリアする方法は存在する。
そんなことを考えている間にステータスボードに出現したニャルラトホテプのメッセージが消滅したかと思うと、また新たなメッセージが追加された。

「『ここは夢幻の牢獄、繰り返される悪夢の渦中』」

読み終わると同時に再び焦げるような匂いとともにステータス画面の文字が焼けるように消えてゆき、また新たな文章が出現した。

「『ここから解放されるには、物語の結末を変えるしかない』」

「『せいぜい、頑張ってきたまえ。何度でもやり直し、そして絶望して消えてゆけ、悲劇のヒロインよ』」

「『君が無様に生き延びて生き延びて、最後にはあっけなく消え去ることを、願っているよ』」

「『全てを失うのか、それとも全てを得るのか、世界を賭けた遊戯ゲームを始めよう』」

文字でしかないはずの邪神の嘲笑が脳髄へと響く。

「いいでしょう、ニャルラトホテプ。そのゲーム。受けて立ちます」

シグレは傲慢にそう言い放った。

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