邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百十話 一瞬の出来事

8章 復活儀式


英雄としての人生の中で培ってきた経験、勘、未来予測などのスキル。
自分を形作る構成要素。
それら全てがが生き残る手段は無いと、自らに待つのは平等にして絶対なる「死」であると。
それを認めてしまっている。

不可能。

それが彼に告げられた宣告だった。

不可能。
不可能。不可能。不可能。不可能。不可能。不可能。不可能。不可能。不可能。

天からの轟雷が迫る中、何度試しても結果は変わらない。

『………………終わりか』

今も岩盤を黄金に変換しながら迫り来る攻撃に耐えているジークフリートはそんな小さな小さなつぶやきを吐き出した。

嗚呼、どうしてこうなったのだろう。
見れば我が肉体は最早人とも呼べぬものとなっている。
身体中の骨は尽くが折れ、筋肉は断裂していない所がないだろう。
内蔵は最早機能を果たしておらず、美しかった顔は無残にも瞳が抉れ、頬から歯が覗き、半分は無理やり引き裂かれたかのように血みどろになっていた。
大きな龍の翼にはいくつもの穴が開き、龍の鱗はもはや再生が行われていない。

もはや人でも龍でも無い。
今のジークフリートは、血の入ったひしゃげた肉袋のようになっていた。

死に瀕して加速された意識の中、ジークフリートは思案する。
走馬灯のように過去の出来事が流れては消えていき、一生の記憶を呼び起こす。

『まだだ……』

____幾星霜もの時が過ぎた。
あの邪龍を、今は自らの力となったこの加護を、俺はどう打ち破った?
どうして、あの邪龍を打倒することが出来た?
その答えを、今ここで示せ。
邪なるものに与えられた偽りの命であろうと、我が本能は、我が本懐は揺るがない。
英雄として?
否。
二度目の生を与えたものへの返礼として?
否である。
英雄、屍、それ以前の自身の姿。
ただの人であり、そして、1人の武人であったただのジークフリートせいねんとして。
生への飽くなき欲求、そして、ジークフリートじぶんの、いや、武人としての本能に身を任せ、ジークフリートは発走する。

全ては、この一撃に。

遂に天の一撃がジークフリートに届こうとした時、ジークフリートの体が光に包まれた。


内部時間での一瞬を一話にしてしまったよ。

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