邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
閑話 毀骸の王子 十三頁
閑章 遥か遠く、あの宙の下で。
ー招待状が届きました。招待を受けますか?ー
殺して、殺して、殺して、殺して。
幾星霜の時を経て、それでも魔王をみつけることすらできなかった。
悪魔を狩って、殺して、滅して、ただそれだけを数万年。
もう自分の祖国は残っていないし、変質した肉体のせいで思い出すことすらできない。
幾つの国の、幾つの文明の、幾つの時代の終わりを見て来ただろうか。
とうに肉体は変質しきり、真に人にも怪物にも受け入れられぬ醜悪な怪物へと成り下がっていた。
食事も、睡眠も、何も必要のない悪魔を殺すことにのみ特化した肉体。
それを動かしていたのはただ一心。少女を解放すること。それだけである。
そのために悠久とも呼べる年月をさまよい歩き続けた。
その末に精神は擦り切れ、呪いによって壊れはしないものの限界を迎えようとしていた。
世間では水晶の柩を携えて悪魔を屠る怪物、もしくは最悪の魔王の再来として伝説になり、悪魔からは悪夢の象徴として恐れられていた。
そんな折、転機は訪れる。
いつも聞くようなものとは違う世界の声。
世界、あるいはそれに近しい力を持つものからの招待状。
招待状を出しているからには、危害を加えるつもりは一応ないのだろう。
もし襲ってきたとしても、その時は全力で逃げればいい。
魔王である可能性は限りなく低い。
奴はもう自分には飽きて、他のおもちゃでも探しているだろう。
仮に奴であったとしたら、自分の全身全霊を掛けて殺せばいい。
正直なところこれからの成長に一抹の不安を抱いていた彼は力を得れるのならば儲けもの。そう考えて世界の声に返答した。
ー承認を確認。転送を開始しますー
直後、体を包む極光と浮遊感が現れる。
それに対して何か行動を起こすまもなく、視界が白化した。
____________目の前には宮廷が広がっていた。
美しい白亜の宮殿などではない。
もっと邪悪で、冒涜的な黒いもの。
光を呑み込みそうな程に黒い、純黒の石材によって形作られた異形の神殿。あるいは祭壇。
たどり着いた場所は、そんな印象であった。
光源となるものがないのにもかかわらず、純黒の神殿ははっきりと視認できた。
そして、真下を見つめると、見慣れた水晶の体ではなく、元の人間としての肉体があった。
貴様に、力を与えよう
抱いた困惑をよそに、突然謎の声がそう告げて来た。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)
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(IDは@87lnRyPJncjxbEpです)
Fictionalizerに参加したいという方は私のTwitterにリンクが載ってますのでそちらからどうぞ
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殺して、殺して、殺して、殺して。
幾星霜の時を経て、それでも魔王をみつけることすらできなかった。
悪魔を狩って、殺して、滅して、ただそれだけを数万年。
もう自分の祖国は残っていないし、変質した肉体のせいで思い出すことすらできない。
幾つの国の、幾つの文明の、幾つの時代の終わりを見て来ただろうか。
とうに肉体は変質しきり、真に人にも怪物にも受け入れられぬ醜悪な怪物へと成り下がっていた。
食事も、睡眠も、何も必要のない悪魔を殺すことにのみ特化した肉体。
それを動かしていたのはただ一心。少女を解放すること。それだけである。
そのために悠久とも呼べる年月をさまよい歩き続けた。
その末に精神は擦り切れ、呪いによって壊れはしないものの限界を迎えようとしていた。
世間では水晶の柩を携えて悪魔を屠る怪物、もしくは最悪の魔王の再来として伝説になり、悪魔からは悪夢の象徴として恐れられていた。
そんな折、転機は訪れる。
いつも聞くようなものとは違う世界の声。
世界、あるいはそれに近しい力を持つものからの招待状。
招待状を出しているからには、危害を加えるつもりは一応ないのだろう。
もし襲ってきたとしても、その時は全力で逃げればいい。
魔王である可能性は限りなく低い。
奴はもう自分には飽きて、他のおもちゃでも探しているだろう。
仮に奴であったとしたら、自分の全身全霊を掛けて殺せばいい。
正直なところこれからの成長に一抹の不安を抱いていた彼は力を得れるのならば儲けもの。そう考えて世界の声に返答した。
ー承認を確認。転送を開始しますー
直後、体を包む極光と浮遊感が現れる。
それに対して何か行動を起こすまもなく、視界が白化した。
____________目の前には宮廷が広がっていた。
美しい白亜の宮殿などではない。
もっと邪悪で、冒涜的な黒いもの。
光を呑み込みそうな程に黒い、純黒の石材によって形作られた異形の神殿。あるいは祭壇。
たどり着いた場所は、そんな印象であった。
光源となるものがないのにもかかわらず、純黒の神殿ははっきりと視認できた。
そして、真下を見つめると、見慣れた水晶の体ではなく、元の人間としての肉体があった。
貴様に、力を与えよう
抱いた困惑をよそに、突然謎の声がそう告げて来た。
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