邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第二百五十五話 変容:Change
7章 あゝ神よ
そして、黒い影から解き放たれたクーフーリンの身体は、見るも無残に変わり果てていた。
見たところ体に損傷はない、が、目には光などなく、だらしなく涎を垂らしながら呻き声を上げる口からはガサゴソと何かが這い回る音と共に唾液に濡れてぬらりと光る数多の黒い甲殻が見えた。
『ほら、これで生きながら死んでいる亡者よりおぞましいものの完成だ。彼は今、正気を保ったまま気の狂うような激痛と幻覚に苛まれている。死を拒絶し、現実を拒絶した彼にそこから抜け出す手段はない。精神が燃え尽きて 廃人になることすらない。ただ僕の自由に動く傀儡の出来上がりさ。どうやら彼は、外側だけ残して身体の肉も、骨も、内蔵も全て蟲に置換されたようだね。自分の体を幾万もの蟲が這い回るってどんな感覚なんだろうねぇ?』
「…………ほかの人も、そうしたのか」
『ああ、その通り、まぁ人によって個じ
その言葉を遮って再び剣閃が閃く。
神を殺す刃は意味をなさず、再びルキフグスの身体を通り抜けるのみだった。
『……まったく、人は学習しないねぇ。攻撃は無意味と言っただろう?創造神たるダグザを取り込んだ僕はこの世界を拒絶しうるほどの力を得た。つまりこの世界にあるものは僕にダメージを与えられない。無駄なんだよ。何もかも』
クーフーリンが腕から解き放たれ、佇む腐乱した騎士の一団に加わる。
『さて、君と話すのも飽きてきた。さようなら、そこの子達の相手をしてあげてくれ』
ルキフグスが間の抜けた発言と同時にルキフグスが手を振り下ろすと、今まで整然と並んで何もしなかった黒い獣や腐乱した騎士がゆっくりと、それでいて隙無く歩き始める。
それと同時に黒渦が再び開き、クリードとコインヘン、そしてルキフグスがその中へと入る。
『これはゲームだよ。時間内に敵を全部倒したら僕のところに来れるようにしておいた。僕は城で観戦させてもらうから、せいぜい頑張ってくれ』
その言葉と同時にルキフグスは黒渦の奥へと溶け合うように消えていった。
あとに残されたのは腐乱した騎士と黒獣、シグレと屍肉によって作られたであろう時計である。
おそらくカウントダウンの為のものであろう。
「……………………」
無言で立つシグレに対し、今も黒渦から湧き出てくる大量の黒獣が襲いかかった。
誤字脱字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです
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そして、黒い影から解き放たれたクーフーリンの身体は、見るも無残に変わり果てていた。
見たところ体に損傷はない、が、目には光などなく、だらしなく涎を垂らしながら呻き声を上げる口からはガサゴソと何かが這い回る音と共に唾液に濡れてぬらりと光る数多の黒い甲殻が見えた。
『ほら、これで生きながら死んでいる亡者よりおぞましいものの完成だ。彼は今、正気を保ったまま気の狂うような激痛と幻覚に苛まれている。死を拒絶し、現実を拒絶した彼にそこから抜け出す手段はない。精神が燃え尽きて 廃人になることすらない。ただ僕の自由に動く傀儡の出来上がりさ。どうやら彼は、外側だけ残して身体の肉も、骨も、内蔵も全て蟲に置換されたようだね。自分の体を幾万もの蟲が這い回るってどんな感覚なんだろうねぇ?』
「…………ほかの人も、そうしたのか」
『ああ、その通り、まぁ人によって個じ
その言葉を遮って再び剣閃が閃く。
神を殺す刃は意味をなさず、再びルキフグスの身体を通り抜けるのみだった。
『……まったく、人は学習しないねぇ。攻撃は無意味と言っただろう?創造神たるダグザを取り込んだ僕はこの世界を拒絶しうるほどの力を得た。つまりこの世界にあるものは僕にダメージを与えられない。無駄なんだよ。何もかも』
クーフーリンが腕から解き放たれ、佇む腐乱した騎士の一団に加わる。
『さて、君と話すのも飽きてきた。さようなら、そこの子達の相手をしてあげてくれ』
ルキフグスが間の抜けた発言と同時にルキフグスが手を振り下ろすと、今まで整然と並んで何もしなかった黒い獣や腐乱した騎士がゆっくりと、それでいて隙無く歩き始める。
それと同時に黒渦が再び開き、クリードとコインヘン、そしてルキフグスがその中へと入る。
『これはゲームだよ。時間内に敵を全部倒したら僕のところに来れるようにしておいた。僕は城で観戦させてもらうから、せいぜい頑張ってくれ』
その言葉と同時にルキフグスは黒渦の奥へと溶け合うように消えていった。
あとに残されたのは腐乱した騎士と黒獣、シグレと屍肉によって作られたであろう時計である。
おそらくカウントダウンの為のものであろう。
「……………………」
無言で立つシグレに対し、今も黒渦から湧き出てくる大量の黒獣が襲いかかった。
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