邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第二百二十三話 遭遇

7章 あゝ神よ


「答えなくていいぜ。ブチのめせば済む話だからなぁ!」

黒い渦から出現した男はシグレの言葉を遮ってそう言うと杖を構えた。

アンサズ!」

男が言葉を発すると同時に杖の先の虚空に文字のようなものが現れた。

それは収束して炎となり、シグレに襲いかかるが、シグレの足元からせり上がった水によって防がれた。

「北欧のルーン魔術でしたかね?珍しいものをお使いのようで」
「知ってんのか、博識だな!じゃ、続きいくぞ!」

アンサズ!」

「同じ攻撃は効きませんよ?」

再び迫る火球に対しシグレは先ほどと同じように水による回避を試みる。

「どうかねぇ?ケン!」

虚空に出現したルーンが火球へと溶け込み、火球が水の壁に接触する。
先ほどと同じように消滅するかと思われた火球は煙ひとつあげず水壁を貫通しシグレに迫った。

短距離転移ショートジャンプ!」
「させるかよ!ナウシズ!」

男がブンと杖を振るとシグレの体にルーン文字が浮かび、転移が阻害された。

「チッ!破壊の手デストロイハンド!」

魔術を破壊する魔法による迎撃が間に合っい、再びの水壁による防御により火球が消え去った。

「チッ!流石にケンの方を破壊されてからじゃその水は突破できねぇか」

そう言いながらも男はまったく悔しそうではなく、それどころかその貌を凶悪な笑顔へと変え、その紅い瞳は爛々と輝いている。

「そう言えばケルトは神話でも有数の戦闘狂バトルジャンキーの集まりでしたね……これだから戦闘狂バトルジャンキーの相手は面倒なんですよねぇ……」

「こんな状況でも楽しんじまうのは戦士の性が、俺の気質なのか、まあなんにしろどうだっていい!俺は俺だからな!イスエワズアルジズ!」

その言葉と同時に空中に三つのルーンが浮かび上がり、混ざりあって魔法陣を作り出す。

それは男の体に絡みつき、瞬く間に氷の鎧と男の身長と同じくらいの長さを持つ長槍となった。

「仕上げだ!イスエワズマンワズ!」

またも空中に現れたルーン文字が混ざり合い、今度は全てが氷でできた巨人が複数現れる。

「チッ……」

黒渦を見ればまた先程のように獣の足がもがいている。
もはや時間はない___

その瞬間、今まさにシグレに襲いかからんとしていた巨人が、槍を投擲した男の鎧が、全て蒸発した。

「あまりこちらとしても時間はないので、手短に済ませましょうか」


ルーンの解説(使用されたもののみ)

ケン 不朽 松明など
火球に対して使用することで不朽を付与し、水壁による消滅を防いだ

イス 氷
氷ツクール

エワズ 変化など
鎧や槍などに氷を変形させた

マンワズ 人間
エワズによる変形対象の指定

アルジズ 保護など
鎧などの防御力、耐久性向上

アンサズ 炎 神
火球ツクール

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